鈴木内科クリニック・鈴美館

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肥満の原因

耐糖能を改善させるために

耐糖能が低下してしまった人が耐糖能を改善させるための方法は、当然のことですが治療食ですので極端といえば極端であり、また中途半端ではうまくいきません。

糖尿病学会が勧める炭水化物と脂質の割合は60%と25%ですが、これは標準的な和食が基準となっており、このレベルでは低脂質とはいえません。

これでは全く不十分であったようです。

したがって中途半端で効果が出なかったため、血糖コントロールだけが目的化し、薬物治療に重点が置かれたため、合併症の進行を防ぐことが難しかったのだと思います。

その中で、糖質制限は対症療法としてであっても、確かに従来の糖尿病の食事療法よりはメリットがあったと思います。

しかしながら最近の研究成果で、糖尿病の本質的な原因が脂質にあることが明らかになりつつあり、そして脂質割合を10%前後にまで控えた低脂質食が、実際に臨床的に糖尿病に効果があることが証明されている以上、あとは個人差や病歴の長さによってどこまで改善するかまだはっきりしていないことはありますが、対症療法の糖質制限より根治を目指す食事療法を選択するのは当然のことではないでしょうか?

すべての糖尿病の人が可能であるとはもちろん考えてはいませんが、糖尿病はコントロールするという時代から、すみやかに治すという時代に今後変わっていくかもしれません。

糖質と脂質の二つが過剰になって代謝の異常がおきているとき、糖質を控えることはどちらも過剰なままよりはましでしたが、本来控えるべきは脂質の方であったというのが、今の自分の見解です。

 

「低炭水化物ダイエットへの警鐘」

昨年、「低炭水化物ダイエットへの警鐘」という本からコリン・キャンベルを知り、気にはなっていたのに、なぜか手に取ることを避けていた「チャイナスタディ」を読んでから、低脂質、高炭水化物、高食物繊維の食事(プラントベース、ホールフード)の食事が、アメリカで糖尿病、高血圧、肥満といった成人病の治療において結果を出して注目されていることを(たいへん)遅ればせながら知りました。

さらに、「Reversing Diabetes」のニール バーナードの糖尿病の患者への結果や、「Prevent and Reverse Heart Disease」のコールドウエル・エセルステインの冠動脈疾患への驚くべき臨床結果などにも衝撃を受けましたし、他にも、「Eat to Live」ジョエル・ファーマンや「The starch solution」ジョン・マクドゥーガルなども知り、これらのこの分野を引っ張る研究者たちから大急ぎで知識を得ようとしている最中です。

もっと早く知っておくべきでした。

興味のある方はぜひ調べてみてください。

本質的な原因を理解する

Dr Fung のホルモン肥満仮説では、間食の頻度が増えたことがインスリン優位の時間が常に続くことにつながり、そのホルモンバランスの異常がインスリン抵抗性の原因となり、つまり肥満の原因となるというものでした。

そして間食が増える原因は栄養のない食べ物と過度に精製された糖質の依存性によるものだとしていました。

つまりインスリン抵抗性の原因はインスリンそのものとしているわけですが、これは間違っていると思います。

過食の原因は食べ物の選択にあることは間違っていませんが、本質的なことは糖質代謝が障害されていることによるエネルギー不足にあるという視点から見れば、間食の頻度が増えたことは結果であって原因ではない。したがってインスリン優位のホルモンバランスの崩れも結果であって原因ではありません。

砂糖の依存性が強くなるのも、糖質代謝の異常に伴うエネルギー不足がその根底にあると考えれば、砂糖自体が間食を増やす本質的な原因とは考えられないのです。

原因と結果がぐるぐる回って、増幅するのでわかりにくいのですが、本質的な原因をしっかり理解していないと、対症療法的な結果しか得ることはできません。

ホルモンバランスの乱れも結果であるならば、ホルモンバランスを調整するための間ファスは本質的な治療にはなりません。

砂糖を絶っても肥満は治らないのも、砂糖が本質的な原因ではないからです。

もちろん糖質過剰摂取を原因として行う糖質制限も違います。

すべて対症療法です。

原因を知らないまま行う対症療法は、よくなったように見えてかえって事態を悪化させていきます。

逆に原因を知ったうえで行うのであれば、対症療法も必要な場合もあります。

エネルギー不足をきたす代謝異常の本質的な原因はやはり脂であると考えると、いろいろなことがすっきりと説明されていきます。

これは仮説ではありますが、それを裏付ける臨床結果が海外ではすでにたくさん報告されています。

ローカーボの研究者たちはそれを無視しており、残念なことにDr fungも例外ではなかったようです。

視点を変えてみよう!

視点を変えてみよう!

糖質代謝が悪くなり、様々な問題が出てきているとき、糖質が悪いという前提に立てば、低糖質な食事を勧めることに何の問題もありません。

しかもすぐに効果も見られます。

しかし、これが仮に正しいとしたら、なぜ多くの人が糖質制限を続けられないのでしょうか?

なぜ糖質制限でいろいろな問題が出てくる人がいるのでしょうか?

これらの疑問に対し、もちろん様々な答えはあります。それはたくさん見てきました。

しかし、その答えは糖質が悪いという前提のものです。

Dr Fungですら、糖質そのものは悪くはないとしながら、過剰な糖質が悪いという立場には変わりはありませんでした。

なぜ、糖質が過剰になるのか、それはやはり糖質自体に中毒性があるからとしかDr Fungも考えていないのです。

過度の加工や精製度を理由にしていますが、やはり悪いのは糖質ということになっていることには変わりはありませんでした。

視点を変えるとは、糖質代謝の悪化の原因は糖質ではなく,脂であるという立場に立って考えるということです。

こちら側から、いろいろな現象を説明してみるとどうなるかということです。

絶対に視点を変えようとせず、自分の立場からしか反論できない糖質制限の指導者たちのいうことをうのみにせず、自分の頭で考えてみてください。

肥満の原因は・・・

肥満の原因は糖質代謝の異常。

糖質中毒とは糖質代謝の異常であり、糖が原因ではない。

糖質代謝を正常化することが、すべてに優先する。

この視点に立つといろいろなことががすっきりと説明できるようになります。

脂質代謝は糖質代謝の補助として働くという意味で大切な役割があるのであって、痩せるために糖質代謝を抑えてまで働かせてはいけない。

糖質代謝をおさえ、脂肪を燃やそうとする食事法が糖質代謝の悪化の原因となり、リバウンドを招くのは当然であった。

そして糖質代謝の異常を招く、最も大きな原因と考えられているのが脂です。

肥満の原因は一つではなく、様々な要素があるということ

The obesity codeからホルモンバランスを整えるための方法論として間ファスを知りました。

Dr Fungの優れていることは、肥満の原因は一つではなく、様々な要素があるということを強調していることです。

様々な要因がそれぞれある意味正しく、ある意味間違っており、一つの要素で説明すること自体がおかしかったのだという考え方にあると思っています。

 

カロリー制限ですら、正しい部分はあるのです。

でもそれでは一部しか解決できない。

 

ですから、糖質制限も正しいか間違っているかは議論する意味はない。

 

糖質制限だけでは解決できないことに対して、別の要素を考慮に入れる必要があったのは当然です。

 

肥満の原因をホルモンの異常としてとらえ、それを共通の枠組みとして、個々にホルモン異常をきたす原因を検証することによってより議論を深める必要がある。

それが、Dr Fungのもっとも主張したかったことであるというのが、私の解釈です。

 

最近、特に無視できないと思うようになったのは、今更ですがやはり気候や風土、人種の違いによる食事への影響です。

 

肥満の原因としてDr Fung はインスリン過剰によるインスリン抵抗性を重視していますが、それは欧米人がこのタイプが非常に多いためであり、これとてそれがすべてであるといっているわけではありません。

特に加工食品に含まれるよくない脂のことなども同様にインスリン抵抗性の原因として挙げています。

 

日本人の場合欧米型の肥満は少ないので、インスリン過剰もある程度当然関与しますが、それ以外の要素の方をより考慮する必要性があると強く感じますし、それが今後の検証課題です。

長期にわたっての糖質制限

長期にわたってそれなりの糖質制限を当初、健康目的またはダイエット目的で行ってきた人は、脂質代謝にそれなりに適応するため、どの程度の糖質制限をしているか筋肉量などによって個人差は出てきますが、糖質を処理する能力は落ちています。

このため、糖質摂取時にインスリンの分泌が過剰に必要になり、糖質酔いがおきやすくなります。インスリンの追加分泌を減らすために行った糖質制限で、逆にインスリンのスパイクをおこしやすい状態を作ってしまったことになります。

こうなると、インスリンはたくさん出るわけですから、ちょっとの糖質で逆に肥りやすくなり、糖質酔いもおこるため、糖質に対する恐れがますます形成されてしまい、糖質制限を継続せざるをなくなります。

 さらに問題なのはLowT3症候群です。糖質制限下でカロリー不足からこの症状がおこってしまったとき、脂肪やタンパク質を、主食で減らした糖質の分はもっと取るように指導されても、男性はまだしもそれは無理な女性はいます。このとき、糖質に対する恐れが形成されてしまっていると、糖質量を増やすこともできず、どうにもならなくなってしまいます。

これでは糖質制限の初期のメリットが台無しになってしまいます。何のためにしているのか、目的は何だったのでしょうか?

そうではないという人はそれでいいですから、思い当る人は一旦リセットしてみてください。最初はどうしてもインスリンの分泌が過剰になっていますから、体重は増えます。糖質とりはじめは、糖質酔いが怖いかもしれません。しかし、茶碗一杯のご飯が怖いという状態の方が普通でないということに気づいてください。

緩い糖質制限を続けていて、たまたまの検査で耐糖能障害を指摘され不安に思う人が増えているようです。糖尿病予備軍だと勘違いしてしまえば、さらに糖質制限を継続することになってしまいます。

ホルモン肥満仮説の図

ホルモン肥満仮説の図です。

肥らせる炭水化物が、インスリンレベルの上昇を引き起こします。
インスリン抵抗性はインスリンレベルの上昇によっておこり、それがまた新たなインスリンレベルの上昇をおこすという悪循環を引き起こします。
果糖はここには載せてませんが直接インスリン抵抗性を高めることで、重要です。
そしてインスリンレベルの上昇が肥満の原因であり、それによって過食や運動不足が引き起こされる。従来の説とは順序が逆です。

過食や運動不足が肥満の原因ではないんです。
それは結果なんだというのがDr Fungの主張です。

だから、カロリー制限や運動では肥満は治療できない。原因となるのはあくまでもインスリンレベルが高いことであり、それを増幅しているのがインスリン抵抗性だからです。インスリン抵抗性の原因は果糖とインスリンそれ自体です。脂肪ではありません。

ですから、インスリンレベルを下げ、インスリン抵抗性を改善させることが肥満の治療になるわけです。
そのために食べない時間をつくり、インスリンレベルを下げる必要があるのです。

 

インスリン抵抗性とインスリン感受性

インスリン抵抗性とインスリン感受性

インスリン抵抗性とは、常に分泌されるインスリンの刺激に慣れてしまって、より高いレベルのインスリンでないと働かなくなってしまった状態でした。いわばインスリンの利きが悪いので、余計にインスリンが必要な状態になってしまったことをいいます。

次にインスリン感受性ですが、これはインスリン抵抗性の逆です。インスリン感受性が高いとはより少ないインスリンで、インスリンが働く状態、つまり脂肪がつきやすい状態だと大まかに考えてください。

 肥満する人はインスリン感受性が高いのでしょうか、それともインスリン抵抗性が高いのでしょうか?

この問いには単純に答えることはできません。多くの人が混乱しやすい大事なポイントなのですが、その理由はインスリン抵抗性や感受性は場所によって異なるということと、経過によって同時に変化するわけでもなく、また個人差があるということからおこります。

インスリンが作用する体の部位は、脳、肝臓、筋肉、脂肪組織とおおまかに4つに分かれます。インスリンが常に分泌されることで、肝臓や筋肉におけるインスリンの利きが悪くなる(インスリン抵抗性の出現)ことがおこると、インスリンの分泌がより必要になります。

この時点ではまだ皮下脂肪組織はインスリン感受性が高いので、インスリンの働きでどんどん大きくなっていきます。そして脂肪細胞も大きくなるにつれ、徐々にインスリン抵抗性が出現しそれが高まると、もともと皮下脂肪よりもインスリン感受性が低かった内臓脂肪組織のインスリン感受性が相対的に高くなり、本来たまるべきではない部位に脂肪が貯まる(異所性脂肪)ようになります。これが危険な内臓脂肪です。

どこまで皮下脂肪が大きくなれるのか、そしてどの時点から内臓脂肪のインスリン感受性の方が相対的に高くなり、内臓脂肪が貯まり始めるのか、さらにどれだけインスリンを分泌する力があるのかなどの点は、非常に個人差があるところです。

皮下脂肪に蓄える能力のある人は、皮下脂肪のインスリン感受性が高かったから肥れたわけですが、すでにその肥った状態が限界に来ていて、インスリン抵抗性が高い状態にまでなっているか、それともまだまだ肥れる状態(インスリン感受性が高い)のかは、肥っているだけではわからないということになります。

日本人を含むアジア人はこの皮下脂肪の量が少なく、またインスリンを分泌する能力も弱いなど、たいして肥っていないようでもすでにインスリン抵抗性が高くなっていて、危険な内臓脂肪が蓄積することが欧米人に比べて多く見られ、人種の違いがあることは確かのようです。また内臓脂肪が糖尿病を含む様々な成人病の原因になること(メタボリック症候群)はわかっています。

肝臓と筋肉のインスリン抵抗性は直接影響せず、食事によって肝臓のインスリン抵抗性が改善したとしても、筋肉のインスリン抵抗性とは関係しません。運動の欠乏は筋肉のインスリン抵抗性の原因になりえます。その場合はまた逆に運動で筋肉のインスリン抵抗性が改善しても肝臓にはほとんど影響しません。肝臓と筋肉どちらのインスリン抵抗性が問題なのか、または両方なのか、個人により違っているだろうと思われます。

そして一番大事な点は、肝臓または筋肉のインスリン抵抗性の高まりに反応して、全体のインスリンレベルが高くなっても、脳の視床下部はインスリン抵抗性を持たないので、視床下部の食欲中枢が高いインスリンレベルに反応して体重のセットポイントを上げてしまうということになるのです。

グルカゴンはダイエットの味方

グルカゴンはダイエットの味方。

インスリンはエネルギーを保存するホルモン。グルカゴンはエネルギーを動員するホルモン。

だから、インスリンは血糖を下げ、脂肪の分解を抑える。グルカゴンは肝臓のグリコーゲンの分解を促進することで血糖を上げ、また脂肪細胞から脂肪を動員する(そしてケトンが続く)

インスリンとグルカゴンはお互いに制御しあう関係にあり、一方が優位になると一方が抑制される。インスリン抵抗性によってインスリンが優位な状態が続けばグルカゴンは抑えられ、脂肪は動員されにくい。

 

食事の回数を減らすことでインスリンの分泌回数が減れば、インスリンレベルは低下しグルカゴン優位な状態が生まれ脂肪はより動員されやすくなる。この状態ではグリコーゲンの分解もおこりやすくなるため、運動によっても、明け方のインスリンに拮抗するホルモンの上昇によっても血糖値は上がりやすくなります(暁現象)

つまり、一型糖尿病やインスリン分泌能が落ちてきた2型糖尿病の人に見られる暁現象が、ケトジェニックダイエットや糖質制限をしている糖尿病でない人で起こってくるわけです。

朝の血糖の上昇を見れば、まさに耐糖能障害を招いたように見えますので、これをもって糖質制限は危険であるとか、食事の回数を減らすことはよくない(一日3食きちんと食べないとダメ)ということが言われる根拠の一つになっています。

最初に戻ってインスリンは貯蔵のホルモン、グルカゴンは動員のホルモンですから、グルカゴン優位の状態であれば脂肪を燃やしたり、活動のための血糖を上げるのには有利ですが貯蔵はむしろ下手になります。つまりため込むことはできにくくなるので、食べすぎは即翌朝の血糖値に反映するようになるようです。

これ自体にはいいも悪いもありません。インスリンレベルが下がれば当然起こることですが、ダイエットにおいてグルカゴンは味方だといっていいと思います。

補足ですがタンパク質を食べた時におこりうるゆっくりとした血糖の上昇は、グルカゴンによっておこる肝臓からのグリコーゲンの分解(glycogenolysis)から生じるもので、タンパク質がすぐに糖新生(gluconeogenesis)によって血糖になったものではありません。

食事性たんぱく質由来のアミノ酸の一部が糖新生で糖になりグリコーゲンに終わるまでにはかなり時間がかかるようです。またかなりの部分の余剰のアミノ酸は糖新生で糖になるものより、窒素が外されエネルギー源として消費されるものの方が多いという記事もありました。