糖尿病の食事療法のセンターピンは大麦だ

海外では今まで全粒穀物から食物繊維をとることが重要という表現がされていましたが、ここ数年前からは大麦に焦点をしぼってきた論文がかなり増えてきています。

 

その中で、やはり大麦のグリセミック指数がすべての穀物の中で一番優れていることや、βグルカンの効果が特に強調されており、糖尿病患者に一番推奨されるべき穀物としての評価を確定させようとしつつある感じがします。

 

二型だけではなく、一型糖尿病患者に大麦と従来の糖尿病食を食べる群に分けて、インスリンの必要量や血糖コントロールの状態などを調べる比較的長期の試験なども去年から行われていて現在進行中のようであり、来年には結果が出るようです。

 

近い将来、糖尿病の食事療法のセンターピンは大麦だといわれるようになるのではないかと思っています。

2019年9月17日 | カテゴリー : 糖質制限 | 投稿者 : suzukinaikaC

万年ダイエッター

ダイエットを繰り返すうちに、体が低カロリー状態に適応してしまい、少ないカロリーにもかかわらずそれ以上痩せられない状態となることがしばしばおこる。過度な有酸素運動でやせようとしているときも、同様なことがおこってくる。この状態に陥ると、少し摂取カロリーを増やしただけでもすぐに体重は増加するし、運動量を減らすことも怖くてできなくなったりする。いったん体重が増えようが、しっかり食べて運動をやめリセットするしかないのだか、恐ろしくてそれはできない。この状態は体を消耗します。

 

糖質量を控えることで血糖値をそれなりにコントロールしてきた人は、少しの糖質で血糖値が跳ね上がるようになってしまっているのでので、怖くてしっかり必要な糖質をとることができない。インクレチンの働きを理屈の上でわかったつもりになっていても、本当に理解できていなければ摂取量が中途半端となり、結果を出すことが非常にむずかしい。万年ダイエッターと同じ罠にはまってしまうのだ。

大麦パン

今朝は新しいパターン。昨日家内が焼いてくれた自家製大麦パンにピーナツバターをつけて。バーリーマックスフレークはヨーグルトとイチヂクと一緒に混ぜて。バター無しで焼いたパンは大麦の香りがして、外側はフランスパンみたいにパリっとして、なかはもっちり。美味しい!

 

初めてのパターンなので血糖値を測っています。45分値で131、1時間値で112でした。糖質量は計算していませんが、そもそもある程度の量以上になると糖質量は関係ありません。大事なのはインクレチン効果であって、糖質量ではないからです。ヨーグルトには砂糖も少し入っていましたが、水溶性食物繊維と一緒であればそんなに気にする必要もありません。同じ糖質量であっても小麦のパンなら自分の場合、160台くらいには血糖値は上がると思います。
血糖の上昇を抑えているのは、7割がたインクレチンの作用です。インスリン分泌はむしろ少なくて済んでいるはずです。

お昼になっても朝の食事で腹持ちがよくて、お腹はそんなにすいた感じはありません。糖質をとるとすぐにお腹がすいて、どうしても間食したくなるというのも完全に間違いだということがよくわかります。水溶性食物繊維と一緒であれば、糖質は重要な効率の良いエネルギー源となります。

 

 

 

 

2019年9月5日 | カテゴリー : 糖質制限 | 投稿者 : suzukinaikaC

問題はエネルギー不足であって糖質の過剰ではない

糖質の過剰摂取が問題だと思っている間は、常に糖質は控えるべきものという考え方から抜け出すことはできない。

最初に問題にすべきだったのは必要な糖質が足りていないことによるエネルギーの不足のほうだった。だから間食がやめられない。だからいつもカロリーや食べすぎに注意していなければならない。

糖質選択だけの理論の時には白米はやはりできるだけ避けるべきものだった。でも今は麦飯だからしっかり白米が入っている。麦の水溶性食物繊維と一緒に食べれば白米の糖質も避けるべきものではなくなり、重要なエネルギー源だと認識できる。麦飯でなくとも白米だけでもいいのだ。その時はしっかりおかずを意識して選べばいい。脂質の制限も水溶性食物繊維の働きを知れば、そんなに過度にする必要もない。何かを過度に悪者にしなくて済むのは指導するうえで本当にありがたい。

しっかり食べることで逆に食欲は抑えられ、少しづつ体型の変化まで感じられる。これは嬉しい。患者さんたちも笑顔になる。

アルバイト先の外来では糖質制限をはじめからしたことがない人ばかりだ。僕の話を患者さんたちは素直に目を丸くして聞いてくれる。そしていいこと聞いたと笑顔で去っていく。そして次に来た時にいろいろな体感を語ってくれる。外来がまた楽しくなった。

 

追記

 

 

エネルギー不足とカロリー不足とでは意味は違う。インクレチンの働きが不十分だと例えば肝や筋への糖の取り込みがしっかりできないのでカロリー過剰であってもエネルギーは不足してしまう。そしてそのインクレチン分泌を刺激する短鎖脂肪酸を作るためにも、腸内細菌自体のエネルギー源としても炭水化物はしっかりとらなければならなかったのです。この場合も水溶性食物繊維が足りなければカロリー過剰であっても腸内細菌にはエネルギー不足ということがおこりうる。それが脳への信号(GLP-1の低下)を介してヒトを過食にはしらせていた。

ある糖質制限推奨派医師の発言

ある糖質制限推奨派医師の発言です。

 

「 糖質制限実践後に耐糖能が悪化したと心配する人へ。それは耐糖能が悪化したのではなく、もともと糖質とは人体にそういう影響をもたらすものだということ。糖質摂取習慣でそれに適応しようとするも、適応しきれなくなると身体に障害が蓄積されるということ。血糖値だけ見て本質を見失わないことを願う。」

 

この医師はこれだけではなく、非常に問題のある発言を繰り返している。これが糖質制限が糖毒教といわれてしまう理由です。糖質制限の最大の問題は、それを啓蒙する医師が糖質制限の利点ばかりを強調し、欠点については真摯に検討することが全くなく、詭弁を弄して一般人をだましていることに、言っている本人も気付いていないことにあります。

 

もともと糖質とは人体にそういう影響をもたらすもの

 

この思想が糖毒教。これが洗脳。

 

糖質とはそんなものではない。質の良い糖質はたくさんとればとるほど、耐糖能は逆にどんどん良くなる。そしてその糖質を含む炭水化物には、同時にヒトにとってかかせない食物繊維が多く含まれているのだ。

 

問題なのは糖質の量ではなく、あくまでも質なのにこのようなことを公言してはばからない医師の存在は非常に問題だ。

 

糖質制限を推奨しているが、自分はこんな考えではないから関係ないという医師の方にいいたい。

 

だったら、批判しあいましょうよ。個人の非難ではなく、医学的に間違っていることを放置することは認めていることと同じです。正しい糖質制限を広げたいのであれば、糖質制限推奨派医師同士で、もっと激しい議論があってしかるべきだった。そうすれば糖質制限問題がこんなにややこしくならなかったはずだ。自分も含め医師の責任は大きい。

 

昔、釜池先生と江部先生がやりあった時みたいに。

2019年8月18日 | カテゴリー : 糖質制限 | 投稿者 : suzukinaikaC

日本人の体質

糖質制限批判の中で、よく指摘されていたのが、


もともと日本人は炭水化物をしっかりとることで、少ないインスリン量で血糖をコントロールしてきたが、炭水化物の摂取量が減ってしまったことで、より多くのインスリンが必要になった。

というものです。たしかにこの説明では十分な理解を得ることは難しかったと思います。

しかしこれは、表現は不十分ではありますが基本的には全く正しかった。

 

どうですか、まだ何を言っているのかさっぱりわかりませんか?

 

これだけGLP-1やグルカゴンについて説明しているのに、まだ理解できないとしたら、それは知識を拒む洗脳された頭で考えている証拠かもしれません。

 

指摘する側も実ははっきりわかっていなかったから、なおさらわかりにくかったようです。理解されなくてもこれでは仕方がないですね。

 

日本人(アジア人)は特有の体質として、特にGLP-1の利用度が高いようです。この辺の研究も進んでいくでしょう。

2019年8月16日 | カテゴリー : 糖質制限 | 投稿者 : suzukinaikaC

戻ってこーい

今体調がいいからといってなんで糖質制限にこだわるの。もっといい方法があるかもしれないとはなぜ思えないの。

 

ヒトの体には飢餓の時代を乗り越えてきた様々な素晴らしい仕組みがあるのは確かです。

 

確かに糖質とらなくたって、いや逆に悪い糖質ばかり取ってきた人なら、とらないことでよくなったという人が多くいることもわかります。

 

でも糖質をいつまでも避けるのは本来の自然な姿じゃない。

 

茶碗一杯のご飯も怖くて食べれない状態は健康とは言えない。

 

そうなってしまったのは、つねにグルカゴンが暴発しやすい状態を作ってしまったからです。

 

問題点と解決の方向性はもう見つかっているんです。耐糖能は固定したものではありません。一生糖質を避けて控えて生きていく必要なんてもうないんです。


なんだかジャングルに隠れている日本兵に、もう戦争は終わったんだ。戻ってこーい。と呼びかけている気分。

ヨーロッパ糖尿病学会(2016)「インスリンとグルカゴン命のパートナー」

糖尿病はグルカゴンの反乱だった  から引用

ヨーロッパ糖尿病学会(2016)は「インスリンとグルカゴン命のパートナー」と題したカンファレンスを開催し、世界をリードする研究者の意見を集約して以下のごとくまとめています。

2型糖尿病では末期に至るまでの全過程および1型糖尿病ではまだβ細胞機能(インスリンを分泌する力)が残存している過程においては、血中グルカゴンの不適切な過剰分泌が肝糖産生の増大を惹起して高血糖を生じており、グルカゴンの働きを抑えることができれば、血糖の正常化が期待できる。そのためにはインスリンの基礎分泌の残存が前提であり、その限りにおいては、グルカゴンの抑制は重要な治療標的になりうる。

これが現時点におけるグルカゴンに対する世界の見解なのです。

 

わかりますか?何度も書きますがこれは間違いなく糖尿病患者さんたちにとって福音なのです。(糖尿病が治る可能性が十分にあるといっています)ですから、過去の経緯のみにとらわれ、現在の医学の進歩に目を閉ざしてしまった糖質制限の指導者たちのことは無視して、まだ間に合う患者さんたちにこのことを伝えたいんです。僕の一意見などではないんです。

インスリン抵抗性を作っていたのはグルカゴン

二型糖尿病ではインスリンが正常もしくは過剰に分泌されているにもかかわらず、血糖値が下がらない状態になります。それをインスリン抵抗性といってインスリンが効きにくいためとしていました。

 

しかし、そうではありませんでした。通常であれば、血糖値があがれば抑制されるはずのグルカゴンが逆に血糖値の刺激でさらに分泌され、肝臓から糖を血中に放出していたことがあきらかにされたのです。食事でとった糖以外に、内因性の糖が追加されてしまっていたのです。

 

「グルカゴンの反乱」

 

そうなんです。二型糖尿病の原因は糖の過剰とそれによるインスリン抵抗性などではなく、グルカゴンの反乱だったんです。

 

そして同じ現象が厳密な糖質制限で起こりやすくなるのです。インスリン抵抗性がない状態での糖新生は危険はないと主張した人がいましたかが、そもそもインスリン抵抗性の概念自体が修正しなければならないものになりました。

 

糖質量の問題ではなく、グルカゴンを抑制する仕組みの問題であり、つまりGLP- 1の分泌低下が最大の焦点なのです。

 

しつこく何度も書きますよ。いいですか。

糖をとりすぎるから血糖が上がるのではありません。グルカゴンの抑制が効かないから血糖が上がるのです。

インスリンからグルカゴンへパラダイムシフト

インスリンは血糖を下げるホルモンです。グルカゴンは血糖を上げるホルモンです。

 

ということは血糖値が高くなるのはインスリンの作用が弱い時でも、グルカゴンの作用が強いときでもおこります。

 

通常であれば食事をすればインスリンが分泌され、グルカゴンは抑制され、血糖の上昇がコントロールされます。

 

今までのパラダイムはこの食事におけるインスリンの作用不足が糖尿病の原因であるとしたわけです。

その中で、糖質過剰やインスリンの利きやすさ(インスリン抵抗性)が悪くなることによるインスリン過剰が問題視されたわけです。糖質制限の基本理論もその中にこそ存在します。

 

しかし、新しいパラダイムではインスリンの作用不足が糖尿病の原因ではなかったことが立証されていました。「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」

 

グルカゴンの抑制ができなくなることが糖尿病の本質だったんです。

ですからいかにグルカゴンを抑制するかに、治療の中心が変わったんです。

 

注射でのインスリンではグルカゴンを制御することはできません。

 

そこで注目されるのがGLP-1というわけで、別の言い方をすればGLP-1の分泌不足が糖尿病の本質かもしれない。という風につながります。

まさにこれこそパラダイムシフトかもしれません。糖尿病患者さんにとっては福音となるはずです。

 

糖質制限の考え方はその理論的根拠を失っていたんです。