風邪の漢方薬

お知らせ

一昨年9月に鈴木内科クリニックは閉院しました。

理由は受付の家内と二人だけで診療している状態では、コロナの感染防止対策を行いつつ診療を続けることは難しいと思ったからです。他にも受診控えや長期投与希望などによる患者数の減少などもありますが、まあ赤字は今に始まったことではないので大きな理由ではありません。マスクをしながら漢方診療をしなければならないのが、だんだん苦痛になってきたというのもあるかもしれません。僕はもともとマスクが嫌いで、インフルエンザの患者さんを診るときでさえ、マスクは不必要と思っていましたから。 

閉院すると決めてから来院した患者さんには、通常の処方以外に『荊防排毒散加板藍根』という煎じ薬も処方し、風邪ひいたかなと思った段階ですぐに服用できるよう家庭に常備してもらいました。 新型とはいえコロナはもともと風邪のウイルスであり、そうである以上感染したごく初期の段階で追い出すことが、重症化を防ぐ最大の防御となり、周囲への感染を防ぐことにもつながると思ったからです。 

普通の風邪でもこじれれば気管支炎や肺炎になりえますが、死亡するようなことはめったにありませんから、新型コロナの場合その重症度が比べ物にならないほど酷いので、恐ろしいウイルスであることは確かであったと思います。

しかし一方で日本人の場合、感染者に占める無症状や軽症者の割合もかなり高いようであり、つまり感染初期の段階で、自然にもっている免疫力で排除できている人もまた多いわけで、そういう意味においてこじらせさえしなければそこまで恐れる必要はないといってもよいのではないかと昨年秋ぐらいには考えるようになり、さらに変異を得た現在のオミクロン株に関して言えば、もはや通常の感冒と同様の考えで対処したほうが良いと思っているのですが、、。

ニュースやネットなどからわかってきた新型コロナで死にかけた人の体験談などから分かることは、最初、のどの違和感や倦怠感、微熱などの状態(表証)があってもただ様子を見て過ごしているうちに発熱し、解熱剤を使って一旦熱を下げても再び上がる状態を繰り返し(半表半裏)たのち、呼吸困難におちいる(裏証)という経過をとっているようです。 

東洋医学ではそれぞれの状態(証)に応じて処方があります。この場合表証に対しては解表剤、半表半裏に対して和剤(柴胡剤)、裏証に対しては清熱解毒剤を用います。中国で新型コロナ患者に投与され有効率が高かったとされる『清肺解毒湯』という処方がありますが、これは半表半裏から裏証の段階の処方になります。 

中医学において新型コロナに対する解表剤で推奨されているのは『荊防排毒散加板藍根』です。これは新型コロナに限らず通常の風邪に対するファーストチョイスでもあり、家庭の常備薬的処方(麻黄などが入っておらず、体質が虚の人であっても穏やかに効くため安全性が高い)でもあり、僕の常用処方でもありました。風邪の解表剤として日本では葛根湯や麻黄湯がよく使われていますが、荊防排毒散加板藍根を用いるようになってはじめてかなり自信をもって、きちんと初期に服用さえできれば、数時間以内に風邪は治せるといえるようになりました。それが新型コロナの解表剤としても推奨されているのを知って(聖光園細野診療所のブログ。台湾国家中医学研究所のガイドラインで新型コロナに対する予防薬として紹介されていました)間違ってはいないようだという思いを強くしました。 

5月より鈴木漢方内科クリニックと名前を変更して、今度は自由診療のみのクリニックとして再開することにしました。荊防排毒散加板藍根の煎じ薬をご希望の方には問い合わせいただけばお出しできます。(1日分550円)

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