鈴木内科クリニック・鈴美館

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The Obesity Code

糖質そのものは肥満の原因ではない

結論を言えばThe obesity Code の中での糖質制限や間欠的ファステングは肥満の治療のための方法論であるという位置づけです。

糖質そのものは肥満の原因ではありません。

なぜなら糖質をとっていても肥満にならない人はいくらでもいるからです。

その事実は無視してはいけない。肥満の本当の原因は西洋化した食品としています。

この場合の西洋化とは肉食や高脂肪の食品のことではなく、加工食品のことです。

カロリーあたりのビタミン、ミネラルなどの栄養素に乏しい食材に様々な食品添加物が加えられた食品です。

これらの食品は糖質を多く含んでいた場合はもちろんのことですが、低糖質なものであって短期的には体重増加につながらないようでも、長期的には体重のセットポイントを狂わしてしまいます。

砂糖や精製された穀物(特に緑の革命以降の品種改良された小麦)はその中毒性からも特に問題視していますが、お米に関してはかなり寛容です。

この点はやはりほっとしたというか、うれしかったです。

糖質制限が目的化してしまって、加工食品に寛容になってしまった現在の流れはやはり修正していかなければならないことを、糖質制限をすすめてきた自分としては強く感じています。

 

最終段階

最終段階に至れば、糖質制限もケトジェニックも間欠的ファステングも不自然な方法論となり、もはや必要なくなります。

しかし、そこにいくまでには、それぞれとても有効な方法論です。

ですので、間違いであったとかではなく、初期の効果の凄さの実感から、それにとらわれ過ぎることが一番問題になってしまうと思います。

肉食にしても菜食にしても一緒です。

いろんな状態の人がいますから、だれもが正しい。でも考え方の共通の枠組みは必要で、そこを共有していける人が増えていけば、不毛な議論が減って前向きな討論ができるようになるはずです。

きちんとした食事をしてきた人からすれば、糖質制限は批判されても仕方なかったと思います。

糖質制限を広めるために、様々な加工食品がつくられるようになりました。

まだ知らない層に糖質中毒のことを知ってもらうために必要だという考えもある(ちょっと前まで僕もそうでした)とは思いますが、これらの加工食品の害についてThe Obesity Codeを読んでわかってしまったので、それはこれから伝えていかなければならないと思います。

The Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめ ナンバー3

ナンバー3
食べない時間に利用する人間のエネルギー源は、脂肪をもとに肝臓でつくられるケトン体です。ケトン体を作るには低インスリン状態が必要になります。

食事をするとインスリンがでますので、糖質を利用するモードとなります。
普段から糖質モードの人は寝ている間ぐらいしか、ケトン体を使うケトンモードになれませんので、脂質代謝機能が落ちてしまっています。この脂質代謝機能を鍛えることをケト適応といいます。ケト適応にはある程度時間がかかりますので急には無理ですが、いったん適応状態になると運動選手にとっては非常にパフォーマンスが上がります。ケトン体自体に、アンチエイジング作用や抗ガン作用などもあることもわかってきました。

とにかくこのケトンモードは活動するのに適しています。積極的にケトン体を利用して、脂肪を燃やせる体にする食事法のことをケトジェニックダイエットといいます。

この食事法では良質な脂質をしっかりとることがポイントになります。

 

常に同じ刺激が加わると、体はそれに適応し反応が鈍くなってしまいます。そのためホルモンの分泌例えば、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンや成長ホルモンなども日内変動があり、刺激の波を作っています。出続けることはありません。

 

 例えば、静かなところで寝ている赤ん坊は外の突然の騒音で目を覚まし、再び寝てもまた騒音があれば目を覚まします。間に静かな時間があれば騒音に慣れるということはありませんが、つねに同じレベルの騒音が続いている状況では慣れてしまい目を覚まさなくなります。

 

 インスリン抵抗性とはこのような状況で、繰り返される食事によってインスリンレベルが下がっている時間がインスリンレベルの高い時間に比べあまりに短くなってしまったために、インスリンが効きにくくなり、そのためさらにインスリンの分泌が必要になっていく悪循環が起きている状態をいいます。このインスリン抵抗性こそが体重の設定点を徐々に上げてしまう原因となります。

 

このインスリン抵抗性を治療するためには、インスリンの分泌されない時間をとることがとても大事なことになります。

砂糖や精製された穀物には中毒性があり、頻回の食事回数となりやすく、また血糖の上昇が大きいので、よりインスリン分泌を刺激します。したがって、まずこの糖質依存状態を絶つために、糖質制限をすることはとても効果的な治療方法の一つとなります。

そして最近では糖質にかかわらず、ほとんどの食事がインスリンの分泌刺激になるということがはっきりわかったので、間食をしないということと、食事の回数がとても重要であることがわかりました。

 

一旦おしまい。まだまだつづきます。

The Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめ ナンバー2

ナンバー2

カロリーの取りすぎと運動不足が肥満の原因ではないことははっきりしました。

では再び、肥満の原因は何でしょうか?
身体には、甲状腺、副甲状腺、交感神経、副交感神経、呼吸、循環、肝臓、腎臓、消化管、副腎システムなどすべてを管理しているホルモンの働きがあります。これは体脂肪も例外ではありません。

体は実際には体重を管理する多様なシステムを持っており、体重の増減を意識的にコントロールすることはできないのです。肥満の問題とは、例えば過剰のエネルギーが体温の産生を増やして消費される代わりに、脂肪に転換されてしまうといったエネルギーの配分の問題なのです。
ここで機能している基礎的な生理学的原理は恒常性の維持(ホメオスターシス)である。体の体重と脂肪に関しては“設定点”が決められています。ホメオスターシスの機能がこの体の体重の設定を規定し、変化に対して上げたり下げたりします。もし体重が設定以下に低下した場合、代償機能が活性化して体重を引き上げます。体重が設定以上に増加すれば、代償機能がそれを引き下げるように活性化します。肥満の問題はその設定点が高すぎるということにあるのです。
例えていえば、部屋の空調が30度に設定されてしまっているようなものです。氷をたくさん部屋においたり、窓を開けたりして一時的に温度を下げても、氷が融け、窓を閉めればまた元の30度に戻ってしまいます。ダイエットが厳しく、しばしば失敗する理由は私たちが絶えず、自分の身体と戦っているからなのです。体重を減らせば、体は元に戻そうとする。ですから賢い解決方法は体の恒常性維持の機能を認識し、それを下の方向に調節することです。空調の設定温度を快適な21度に下げればいいのです。

肥満症はカロリーの取りすぎでおこるのではありません。それは肥満の原因ではなく、むしろ結果です。肥満の原因は、体のホルモンバランスの崩れが、体が体重を高すぎる状態に設定させてしまうことでおきているのです。ホルモンのバランスを崩す要因は実は一つではありませんが、特に重要な主役となるホルモンがインスリンです。(脇役は抗ストレスホルモンのコルチゾールであるが、ここでは触れません)インスリンは貯蔵のホルモンです。私たちが食べるとき、インスリンは上昇しエネルギーをグリコーゲンと脂肪として蓄積します。私たちが食べないとき、インスリンは低下し、私たちは貯蔵したエネルギーを使います。

食べることと食べないことのバランスがとれている限りこのシステムもバランスが取れています。

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The Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめ ナンバー1

 

今まで投稿したThe Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめです。少し表現をかえています。

ナンバー1

何が人を肥らすのでしょうか?砂糖や穀物、でんぷん質の食べ物つまり糖質です。現在、糖質を控えることでやせる食事療法、糖質制限が広まってきましたが、実はそのことは1900年代以前に、すでに当たり前に分かっていたことでした。誰もが常識だと思って疑わない、医師や栄養士から、またダイエットの特集記事などでもひたすら言われている、「カロリーの取りすぎが肥満の原因だ。もっと食べるのを控えて、運動しなさい」という指導は、実は以前にはなかったのです。

食品をカロリーで考えるというのは1900年代からは始まった新しい(科学的な!)考え方です。

このころ、抗生剤の発見や衛生環境の変化などがあり、それが人の平均寿命を飛躍的に伸ばし、そして人の死因では結核や感染症が減少し、心臓疾患が目立ってきました。実際のところは、心臓疾患のリスクが高まるのは60歳代からであり、その前に結核などで亡くなることが多かっただけで、心臓病が増えていたわけではなかったのです。ともあれ、アメリカでは犯人探しが始まって、ここで初めて脂肪が悪者にされます。ただここで問題が出てきます。脂肪が悪いということになると、必然的に食べるものはタンパク質か炭水化物しかありません。タンパク質は脂肪を多く含むものが多い。となると炭水化物を増やすしかありませんが、炭水化物は肥る原因といわれています。この矛盾を解決してくれたのがカロリー理論でした。つまり、人を太らせるものは特定の食品ではなく、あくまでもカロリーの全体量である。カロリーの取りすぎと運動不足が人を肥らせる原因であると、根拠もなく決められてしまったのです。

そして、アメリカでは1980年以降、政府の決定によって、食事のガイドラインが定められ、5年ごとに改訂されます。その中にはあのフードピラミッド(炭水化物か一番下の基本となる食品とされた)が含まれています。世界中がそれに従いました。すべては低脂肪、低コレステロールであり、そして誰も砂糖に注意を払わなくなりました。食品加工者はこのことを見つけ出し、加工食品の味を上げるため砂糖をくわえる量を増やします。精製された穀物の消費も増加しました。その結果どうなったでしょうか?まさに、アメリカ政府が食事の内容に介入してから肥満症が増大し、そしてそれは世界中に広まってしまったのです。

カロリーを制限しても運動を増やしても、体重の減少は一時的でやがて、元に戻ってしまいます。なぜこれではうまくいかないのでしょうか?それは、カロリーの取り込みとカロリーの消費はお互いに独立していて関連しないというカロリー制限理論の前提条件が間違っているからです。実際にはお互いに連動して変化します。つまり、カロリーを減らせば一日に必要なエネルギーの不足分は、蓄えていた皮下脂肪を燃やすのではなく、基礎代謝を抑えることによって調節されてしまうのです。運動を増やした場合はどうでしょうか?この場合、運動していないときの消費カロリーを抑えてしまったり、飢餓感を増やして摂取するカロリーを増加させたりしてやはり結局調節されてしまいます。
例えていうと、あなたが一月に100万円稼ぎ、同じだけ支出していると仮定します。もし月収が50万円になってしまったら支出には何が起こるでしょうか?貯金を取り崩して、100万円使い続けますか?あなたはそんなやがて破産してしまうことが、すぐに想像できることをするほど愚かではないでしょう。代わりに50万円に支出を控えて、予算のバランスをとろうとするでしょう。収入と支出は依存する変数です。片方の減少は直接もう一方の減少を引き起こすのです。
実際におこっていることは深刻です。ダイエットに先立って一人の女性が一日に1600カロリーの食事をしていたと仮定します。彼女は医師や栄養士の指示に従い、適度のタンパク質と低脂肪のカロリー制限の食事に取り組み、一日当たり摂取量を500カロリー減らします。すぐに彼女のエネルギー消費量もまた一日当たり500カロリーか、もしかするとそれ以上落ちます。基礎代謝が低下するため、不快な気分で疲れやすく、寒さを強く感じ、飢餓感が強く常にあります。しかしそれに執着していれば、最終的には改善するに違いないと思い込んで続けたとします。最初は彼女の体重は減少しますが、彼女のカロリー消費量がカロリー摂取量に合わせて減少するにつれて、体重の変化はなくなります。彼女は頑張って努力を続けますが、一年後状況は改善していませんでした。同じ量の食事をしていたにもかかわらず、彼女の体重はゆっくりと戻り始めていきます。冷えや疲れがあまりにひどかったので、ついに失敗した食事法をやめ、一日当たり1600カロリー食べることに戻します。彼女の代謝は一日当たり1100カロリーの支出に低下しているので、脂肪が急に増え体重がもどり、もっと悪いことには以前よりさらに肥りやすい体になってしまいました。彼女の周りの人たちは暗黙裡に彼女は意思が弱いと責めます。よくある話ですよね?

でも彼女の体重が増えたのは彼女のせいではありません。

それどころかそれは始めから予想できたことだったのです。

 

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肥満症は脂肪細胞のホルモン的調節障害

肥満症は脂肪細胞のホルモン的調節障害である。

体は体重を家の室温調節器のように設定し維持しています。

体が体重を高く設定しすぎると、肥満症が発生する。

もし現在の体重が設定した体重より下になれば、体は飢餓感を刺激するか代謝を落とすかして体が設定した体重にとどくように体重を増やす。

だから、過度に食べてしまったり、代謝が落ちてしまうのは、肥満の原因ではなく、結果なのです。

 

The Obesity Codeより

 

肥満症はカロリーの取りすぎでおこるのではない。そうではなくて、体のホルモンのバランスの崩れが、体に体重を高すぎる状態に設定させてしまうことでおきる。

考え方の枠組み

The Obesity Code が素晴らしいところは、考え方の枠組みを提供してくれるところにあります。確かに、インスリン抵抗性の重要性やタンパク質でもインスリン分泌があること、そして間欠的ファステングの方法などは目を引きますが、それ自体はこの本で初めて発見され、紹介されたというわけではありません。以前から分かっていたことです。

肥満を理解する枠組みを新しく作り上げるためには、まず従来のカロリー制限理論が出来上がった背景とその不完全さを徹底的に理解する必要があり、そこに多くのページがさかれています。そして肥満症はホルモンの異常であるという新しい枠組みを提供し、その治療法へと続いていきます。

 

従来肥満の原因と考えられてきたものを取り上げてみると・・・・

カロリー、砂糖、精製された炭水化物、小麦、すべての炭水化物、食事からとる脂肪、赤身の肉、すべての肉、乳製品、間食、食べ物中毒、睡眠不足、ストレス、食物繊維不足、遺伝、貧困、富、腸内細菌叢、幼少期の肥満 などがあげられます

 

様々な理論がお互いに主張しあい、あたかも本当の肥満の原因が一つしかないかのように排他的になっている。

例えば低カロリーと低炭水化物食を比較する試みでは、もし一つが正しければ、もう一つは間違いであると仮定している。大抵の肥満研究はこのような方法で行われている。

 

これらの理論はすべて、いくつかの正しい要素を含んでいるので、著者はこのような迫り方は間違っているとしています。

 

カロリー理論をとりあげてみても、すべて間違っているわけではありません。

ただ半分だけ作られた橋のようなもので、それだけでは役立たないということです。

著者の例でいえば(たとえ話がとてもたくさん出てくる本です)

心臓発作の原因を考えると
家族歴、高コレステロール血症、年齢、喫煙、性別、ストレス、糖尿病、身体活動の不足、高血圧などがあり、どれもリスク要因となります。
例えば喫煙がリスクを高めると主張して、そのことで糖尿病がリスクではないといったらおかしなことになります。さらに非喫煙者でも発作を起こすから喫煙がリスクでないとすることもおかしいわけです。

この例ではよくわかると思いますが、肥満に対する議論はそんなおかしな話がつねにおこなわれています。

最近でも腸内細菌叢に焦点を当てることがとても大事であり、そのために糖質を含んでいても有用な炭水化物はとるべきであるという主張で糖質制限を批判する意見がありましたが、正しいと思います。

しかし腸内細菌叢の問題だけで、すべてを解決することはできません。

逆に糖質制限だけもすべてを解決することはできません。

すべて解決できないからといって、そこにまたカロリー制限理論や運動療法をくみあわせてもだめです。

間欠的ファステングは有用な手段ですが、それですべてが解決するわけではありません。

 

そこも強調しておきたいと思います。

ノークス博士の書いたTHE OBESITY CODEの序文

一般向けではない話です。
医師であり、スポーツ科学の権威であり、自らもウルトラランナーでもあり、かつてカーボローデングの提唱者であったティム ノークス博士はマフェトンが正しかったことや自分の誤りを認め、バンティングダイエット(MEC食に近い)というローカーボ食を現在は推奨しています。そのノークス博士の書いたTHE OBESITY CODE の序文の抜粋を紹介します。

彼の興奮がよくわかります。

ティム ノークス博士が序文の中で触れている少なくとも3年の間、自分の中で解決できなかった問題とは、まさにタンパク質とインスリン分泌の問題だと思われます。

 

NATURAL BORN  HEROESのなかでも “もうすぐ午後一時、ノークスは午前中ずっと学会に缶詰め状態で、主に彼の専門家としての最大のミスについて話し合っていた。” という箇所があるのですが、時期的にもこのことを指しているようです。

 

以下、序文抜粋

2014年12月より前、私はJASON FUNG医師の存在を知らなかった。

あるとき、 二型糖尿病の二つの大嘘、いかに二型糖尿病を自然に元に戻すか という彼の二つの講義を、ユーチューブで偶然みつけた。私自身は病気ではないが2型糖尿病に特別な関心があるものとして、私は自然に興味をそそられた。

この聡明な若者は誰だ?

彼が確信をもって2型糖尿病を治せるといっているのはなぜだ?

しかも自然にだって?

そしてなんと勇敢にも自分の職業に対して嘘を言っていると責めている。

FUNG医師が正当であるだけでなく、どんな医療も不要にしてしまうことができるということさえわかるのに時間はかからなかった。彼の示した理論は、すくなくとも3年の間私の心の中で解決されることなく、弾みまわっていたものであった。しかし、私は彼ほど同じように明晰に理解することも、同じように強調したり、平易に説明することもできなかった。彼の二つの講義が終わる時までには、私は若き大家を目撃したことを知ったのだ。最後には、私は自分が何を見落としてしまっていたのかを理解した。

FUNG医師がした二つの講義は、現在の一般的な2型糖尿病の医学管理のモデルを徹底的に破壊するものであり、そのモデルとは世界中様々なすべての糖尿病学会によって強制されているモデルである。さらに彼はこの間違った治療モデルが、必然的に不幸にもそれを受けざるを得ないすべての患者の健康を害していることまで説明している。

FUNG医師の最新の貢献は、2型糖尿病の治療がインスリン抵抗性という根本原因よりも、むしろ血糖の上昇という症状に焦点をあててしまっているという洞察にある。そしてインスリン抵抗性の最初の治療は炭水化物の摂取を制限することであるべきである。この単純な生物学を理解することで、この疾患があるケースでは元に戻ることができるかもしれないということがわかるし、また逆になぜ現在の炭水化物の制限をしない2型糖尿病の治療の結果が悪くなっていくのかも分かる。

The Obesity Code  FUNG医師はおそらくかつてない肥満に関する分野の最も重要な本を作り出した。
その強みは反駁できない生物学と注意深く示された証拠に基づいていることだ。平易で、確信のある、わかりやすい伝え方の理路整然とした文章で書かれていて、連続する各章が体系的に発展し、一層ごとに論理的な単純さをもって、エビデンスに基づく生物学の肥満のモデルを完全に意味のあるものにしている。それは懐疑的な科学者を確信させるのに充分な科学を含むだけでなく、生物学の基礎知識のないひとにもわかりにくくなっていない。これほどの偉業を成し遂げる驚くべきサイエンスライターは、いまだかつてほとんどいなかったであろう。

必要な解決策はFUNG医師が今や示した。肥満症は、多元的な疾患である。我々に必要とされるのは、いかにすべての要素がともに一致するのかを理解できるための、骨組みと構造と首尾一貫した理論である。あまりにしばしば我々は、現在の肥満症のモデルの真の原因はただ一つであると仮定し、ほかの多くを次の候補者としてきた。終わりのない議論が続いてきたが、どれもすべて部分的には正しいのだ。

彼の表現した真実はいつの日か自明のこととして認められるだろう。その夜明けが早ければ早いほど、我々みんなにとってより幸いである。
ティム ノークス
ケープタウン大学名誉教授

運動の限界 厳しい現実

運動の限界 厳しい現実

確かに、運動には大変大きな健康上の利点がある。

医学の父といわれている古代ギリシャの哲学者ヒポクラテスも

“もし正しい栄養と運動を多すぎもせず、少なすぎもせず、すべての個々人に与えることができるなら、健康に対する最も安全な方法であるということがわかるであろう。”

といっていた。

1950年代、心疾患への増大する懸念から、身体活動や運動への関心も大きくなり始めた。1966年までにはアメリカ公衆衛生局が身体活動を増加させることが体重を減らすためのもっともよい方法の一つであると提唱し始めた。エアロビック教室が嵐の後のマッシュルームのように芽吹き始めた。
ジム フィックスの本“奇跡のランニング”は1977年のベストセラーとなった。彼が2回の心臓発作により50歳で亡くなった事実は、わずかな後退にしかならなかった。ケニークーパー医師の“新しい有酸素運動”は私が通っていた高校で1980年代読むべきとされていた本である。より多くの人たちが、余暇の時間に身体的活動を組み込むようになった。

 

運動する割合が増えるにつれて肥満率が低下することを期待するのは当然と思える。

結局、世界中の政府が体重減少のために運動を推進するために何百万ドルもそそぎこんだ。

イギリスでは1977年から2008年にかけて規則的な運動習慣は男性で32%から39%まで、女性で21%から29%まで増加した。
しかし問題があった。これらのすべての活動は肥満に対して少しも効果がなかったのだ。我々が昔に帰って汗をながすようになっても、肥満は容赦なく増加した。

憂鬱な真実がここにある。

身体的活動が増加しようと減少しようと肥満の流行とは関係がない。

運動量を増やしても肥満は減らない。それらは無関係だった。

ある人はもっと運動しろといい、他の人はするなという。

肥満はその量にかかわらず増加する。

 

子供の肥満を減らすのに運動が重要だろうか?

短く答えればノーだ。

2013年のある論文5で、3歳から5歳の子供の身体活動(加速度測定法を用いて測定)と彼らの体重を比較した。著者は活動と肥満の間に関連性はなかったと結論付けた。

 

何が間違っているのか?

 

カロリー理論にもともと内在する考えは、身体活動の減少が肥満の流行にカギであるという考えである。

労力を減らす例えば車などの装置の増加が、我々の運動量を減少させ、肥満に導く。

ビデオゲームやテレビ、コンピュータの増殖もまた座ってばかりいる生活スタイルに貢献していると信じられている。優れた詐欺的手腕のように、これは最初はとても理にかなっているかのように聞こえる。ただちょっと問題がある。 そう、ただ正しくないのだ。

 

Herman Pontzer氏は現代のなかで狩猟採集の原始的な生活スタイルをしている部族の研究者である。タンザニアのハッザ族は一日に食べ物を集めるために15から20マイル移動する。彼らの一日のエネルギー消費量は典型的なオフィスワーカーよりかなり多いと思うかもしれない。Pontzer氏はニューヨークタイムズの記事の中で驚くべき結果を公表した。

 

“我々が分かったことは、すべてのこの身体的活動にもかかわらず、ハッザ族が一日に燃やしたカロリー量はヨーロッパやアメリカの典型的な男性と区別できるほどではなかったということである。”

 

運動量の減少が肥満の原因となる役割を演じていることなど、最初から起こりえないことなのである。

 

カロリー支出

一日に使われるカロリーの量(カロリーアウト)はより正確に定義づけると、全エネルギー支出となる。全エネルギー支出は基礎代謝(以下に定義した)、食物の熱産生効果、非運動活動による熱産生、運動後過剰酸素消費、そしてもちろん運動の合計である。

ここでの重要点は全エネルギー支出は運動量と同じではないということである。全エネルギー支出の圧倒的な多数派は運動ではなく基礎代謝量である。

それは呼吸や体温の維持、心拍出量の維持、重要な臓器、脳機能,肝機能、腎機能等の維持といった体という家庭内を保つための仕事である。

 

例を見てみよう。軽作業をおこなう平均的男性の基礎代謝量は一日におよそ2500カロリーです。適度なペースの歩行(一時間に2マイル)毎日45分間は約104カロリーを燃やすだろう。

いわばそれは全エネルギー支出の5%の消費でさえないということだ。カロリーの大多数部分(95%)は基礎代謝に使われる。

非運動性活動による熱産生は寝たり、食べたり、運動したりする以外の活動によって使われるエネルギーです。例えば、歩いたり、ガーデニングしたり、料理をしたり、掃除や洗濯などです。

 

食べ物の熱産生効果とは食べ物のエネルギーの消化や吸収に使われるエネルギーです。ある食べ物、例えば食事性の脂肪は容易に吸収され、代謝にもわずかのエネルギーしか必要としない。

タンパク質は加工がより大変で使うにはよりエネルギーを必要とする。

食べ物の熱産生効果は食事の量や食事の頻度そして三大栄養素の構成によって変化する。
運動後過剰酸素消費とは(アフターバーン現象)は細胞の修復や燃料の補充、そして運動後の他のリカバリー活動に使われるエネルギーです。

基礎代謝、食物の熱産生効果、非運動活動による熱産生、運動後過剰酸素消費を測定することは複雑なので、これらの要素がいつも同じであるという単純で間違った仮定をしてしまった。この仮定が、運動が全エネルギー支出の唯一の変数であるという決定的に不備のある結論を導いてしまった。

 

このようにしてカロリー支出を増やすこととより運動をすることが同一視されることとなった。一つの大きな問題点は基礎代謝は同じでいるわけではないということだ。

カロリーの取り込みの減少は基礎代謝を最大40%にまで下げうる。

カロリー摂取の増加で50%まで増加させることも可能である。

 

運動と体重減少

従来、食事と運動は、あたかもそれがどちらも同様に重要であるかのように肥満の治療のための処方箋とされている。

しかし食事と運動は50対50のパートナーではない。

食事はバットマンで運動はロビンだ。

食事が95%の働きをし、すべての注目を得るのに値する。

だから論理的に言って食事に焦点を当てるのが賢明だ。

運動は健康にとって重要だ。

しかし、体重を減らすためには、食事と同様には重要なのではない。

運動には多くの利点があるが、体重減少はその中にはないのだ。

 

The  Obesity Code より

「The obesity code」と「The Complete Guide to Fasting」

The obesity code とThe Complete Guide to Fastingはきっちり読みました。

その内容の凄さに驚愕しました。何より著者の、100年にわたる不毛な議論に終止符を打ち、共通の枠組みを共有し、新たな発展につなげようとするその意識の高さに大変感銘を受けました。巻末の参照すべき論文の膨大な量が、著者の並々ならぬ真実を求めようとする姿勢の表れの一つであると思いました。

著者の思想の根底にあるものは、人間の身体というものは素晴らしくよくできた仕組みがあり、それをもっと信頼すべきであるということ。そして食に関して不自然な食べ物があまりに増え、それを医療も政府も容認し、見逃すだけでなく、問題をすり替えてきたこと。そして、圧倒的なのは近代の栄養学や予防医学自体が、難治性の肥満症を作り出してきたことや現在の糖尿病治療に対する完膚なきまでの批判です。

結論はすでに出していますが、やはり結論だけではその意味の重大さが理解できないというのも仕方がないことだと思います。

なのでやはり少しずつ順を追って紹介していくことにしますが、最低でも3か月から半年かかりますのでお付き合いください。