糖質の過剰ではなく、食物繊維の不足が問題

食後の血糖値のスパイク、インスリンの過剰分泌や食後の眠気、そしてそのあとの急激な血糖低下による空腹感からの間食、中毒性のある頻回摂取などによる体重増加など、糖質制限では糖質の過剰を問題にしました。炭水化物の摂取を控えることは、一時的には功を奏します。

炭水化物=糖質+食物繊維


しかし本質は糖質の過剰ではなく食物繊維の不足によるインクレチン効果の低下であって、その証拠に十分な食物繊維と同時に糖質をとれば、最初に述べたすべての症状はおきません。これは麦ごはんを水溶性食物繊維豊富なおかずとともに食べてみればすぐに理解できることです。糖質量は関係ありません。

糖質制限とは糖質量を問題にして、炭水化物を控える食事法です。結果的に食物繊維の摂取量を減らしてしまったため、徐々にその弊害が出てきてしまいます。一番は食物繊維を利用する有用な腸内細菌叢を減らしてしまうことによっておきてきます。特に日本人は炭水化物の中の食物繊維をうまく利用することで、少ないインスリン分泌能で効率的に糖質をエネルギー源として利用してきたのでなおさらです。

糖質の過剰ではなく、食物繊維の不足だった。この裏表の関係は、インスリンとグルカゴンにも当てはまりました。血糖値が上がってしまうのはインスリンが分泌されていても利きが悪いのではなく、グルカゴンが抑制されていなかったためです。ここにおいても、問題は糖質過剰でなく、食物繊維の不足によるGLP-1分泌不足の方だったわけです。

2019年9月11日 | カテゴリー : 食物繊維 | 投稿者 : suzukinaikaC

短鎖脂肪酸の効果

短鎖脂肪酸の効果凄いですよ。一か月しっかり麦飯食べましたが、運動量はかなり少なくなっているのに(投稿でいそがしかったから)3週目くらいから変化を感じました。

 

お腹周りの脂肪が落ちてきた感じです。こんな感じは初めてです。体脂肪率はたいして変化していませんが、これは全くあてになりません。あくまでも自分の見た感じでの感想で、個人的な経験にすぎませんけどね。

 

ちなみにカロリー制限はしていませんが結果的にそんなに食べていないようです。おそらく1600から2000の間ぐらい。

 

主食分(麦飯、オートミール)は800kcal.ぐらいは必ず食べています。痩せるつもりはなかったのですが、体重は2㎏程度落ちました。

 

今日食べたもの

 

朝のオートミールにフルーツ盛り、昼は今日は外食、冷やしぶっかけネバネバそば、これは山芋とろろ、納豆、オクラ、なめこなど水溶性食物繊維しっかり入ってます。夜は5割の麦飯2膳とおかず。 間食はなし(お腹はすかない)

 

 

毎日いつもこんな感じというわけでもありません。朝のオートミールはいつも食べます。昼は麦ごはんにおかず、夜はハンバーグとかとんかつとかもたまには食べたりします。要するにオートミールと麦ごはん以外は普通に食べています。

グルカゴンの反乱の意味

グルカゴンの反乱の意味をもう少し分かりやすく説明します。

 

正確な表現を心がけようとすればするほど、わかりにくくなるようですので、断定と思い込みもたくさん混じった僕の独り言だと思って読んでください。

 

肥る原因は食べすぎと皆さん思っているのでしょうが、そうではなかった。正しくは過度に精製された状態(水溶性食物繊維がない状態)でとった糖質が問題であったわけで、水溶性食物繊維と一緒にとる糖質はむしろ足りていなかった。この不足が様々な代謝異常を起こす原因だったとは。

 

糖質はその性質上、水溶性食物繊維に含まれつつゆっくり吸収される必要があり、それによって安全に、β細胞にも負担をかけず、エネルギー源として利用する仕組みがきちんとあったわけです。だからこっちの糖質はむしろ増やさないといけなかった。同時に精製糖質の過剰はたしかに問題なので、この糖質を制限することは全く正しいのです。しかし増やすべき糖質まで控えてしまうことは、エネルギー的にも、腸内細菌叢にとっても非常にダメージが大きかった。僕が問題にしているのはこの点です。

 

精製糖質は小腸上部で吸収されてしまいます。ここで吸収されるとグルカゴンの分泌が刺激されますから、同時にインスリン分泌も刺激されても血糖コントロールするには非常に効率が悪い。グルカゴンが肝臓から糖を血中に放出してしまうわけですから、インスリンは余計に働かなければならなくなります。部屋を掃除しているのに、同時に散らかすやつがいるようなもので、たまったものではありません。筋肉も糖を取り込む準備ができていないのでインスリンはたくさん必要になります。

 

しかしここを水溶性食物繊維にふくまれて通過していけば、糖は小腸下部まで達し、そこでGLP-1が刺激されることによって、筋肉も糖の取り込みをする準備を始めますし、血糖が上がる前にしっかりグルカゴンの働きも抑えます。それによって少しのインスリンで血糖をコントロールすることができますから、高インスリンによっておこる代謝の異常や過度の同化(肥るってこと)はいくら糖質をとってもこの場合おこらないのです。

 

他にもいろいろな要素がありますが、ここまでの部分だけでも一律な糖質制限には問題があるのです。

 

常に過度に刺激されたα細胞(グルカゴンの分泌細胞)はやがて暴走を始めます。これはインスリンの分泌が減ってしまってきた糖尿病状態でおこるのではなく、まだまだβ細胞が全く正常に分泌されているごく初期から起こっていた.そしてその暴走にあわせて、インスリンがどんどん必要になって高インスリン状態が続き、それがいろいろな病理を引き起こしていった。つまりインスリンはぜんぜん悪者ではなかったんです。グルカゴンの反乱こそが肥満や糖尿病の原因であったということになります。

糖質制限しながら水溶性食物繊維のサプリではだめな理由

腸内細菌のための水溶性食物繊維の重要性など知っている。糖質制限したままでもイヌリンなどのサプリをとれば問題ない。という主張が出てきましたが、人の体はそんなに単純ではありません。その理由を説明するためには、小腸レベルにおけるインクレチンの作用をもう少し詳しく知っておく必要があります。

 

消化管ホルモン(インクレチンと呼ぶ)GLP-1を分泌するL細胞は小腸下部(回腸)から大腸にかけて分布するわけですが、実は小腸上部(十二指腸と上部空腸)に多く存在するK細胞というのがありまして、ここからGIPというインクレチンホルモンが分泌されます。

 

このGIPもまたβ細胞のインスリン分泌作用があるのですが、糖尿病患者においてはその働きが著しく落ちてしまっている。そして、GLP-1とは逆にこのGIPはα細胞のグルカゴンの分泌を促進する働きがあるのです。だから糖尿病治療薬としては使えない。

 

大事な点はグルカゴン分泌を抑制するGLP-1を分泌するL細胞を最も大きく刺激するものが糖だということです。そしてL細胞は下部小腸にある。

 

糖は水溶性食物繊維と同時に摂取すれば、その中に包まれてゆっくり吸収されるので下部にあるL細胞にとどきますからGLP-1の分泌を促すためにはしっかりとるほど有用です。特に、GLP-1の刺激でβ細胞のさらなるアポトーシスを防ぎ、増殖を促したい糖尿病患者にとってはなおさらです。

 

しかし、水溶性食物繊維のない状態で摂取された糖は小腸上部で吸収されてしまい下部まで届かない。そしてK細胞を刺激してしまうことでグルカゴンの分泌を促進し血糖をさらに上げてしまいますから、糖尿病患者は避けなければならない。

 

これが、糖質選択の生理学観点からの必要性です。この視点が欠如しているから糖質制限には問題があると指摘しているわけです。(提唱者の無知が最大の問題)

 

実際にこのことがはっきりしたのも、前に紹介しました小腸のバイパス術による糖尿病の改善患者においてGLP-1の分泌が亢進していた事実でした。これはK細胞の存在する小腸上部をバイパスし、直接下部小腸に糖が流れ込むことによっておきていたのです。この場合の糖は有用だったわけです。

 

またペットボトル症候群という糖を多く含む飲み物を大量にとることで急速におこる糖尿病の最初の機序が、インスリンの分泌低下やインスリン抵抗性などではなく、この小腸上部のk細胞を糖が強く刺激することによっておこるGIPの分泌とグルカゴンの過剰な分泌によるものであったことなども知られています。

 

糖質と水溶性食物繊維を一緒にとらなければ意味がない理由は以上のような生理学の知識がなければ理解できないのは仕方ないかもしれませんが、医者でもなく知識もないのに糖尿病患者に勧めるようなことは本当にやめていただきたい。

まずはきちんとした朝食を食べること

セカンドミール効果は二つあり、これをしっかり理解することがダイエットのためには絶対必要です。

 

一つ目はオートミールや麦飯などの水溶性食物繊維豊富な食事(豆などのレジスタントスターチ豊富なものでもよい)を朝食でとると、昼食での血糖上昇が抑えられるというものです。

 

朝食後数時間たって、大腸で短鎖脂肪酸がつくられ始め、それによって大腸のL細胞からGLP-1が分泌されます。

 

食事をとれば、膵臓は血糖の上昇に反応してインスリンを分泌しグルカゴンの分泌は抑制され、また主に筋肉を中心に血糖を取り込むことなどによって血糖の上昇をある程度のところで抑えるわけですが、GLP-1の分泌はそれらのことがより速やかに行われるように、あらかじめ準備するように指示する信号のような役割をしてくれますので、素早く血糖の上昇に対応できます。

 

よく勘違いされているところですが血糖があまり上がらないからといって、インスリンが大量に分泌されるわけではありません!グルカゴンの抑制と筋肉での取り込みの亢進と素早いインスリンの分泌(遅れるとより大量に必要になる)によって、インスリンの分泌は逆にすくなくてすみます。

 

これらのことは(血糖の変動が少ない、インスリンの分泌が少ない)実際に血糖を測らなくても食後の眠気やだるさが少なくなることで実感できる感じがします。

 

朝食をとることで体のホルモンバランスがリセットされるので、朝食は大事!などというようなことを聞いたことはあると思いますが、これらのことを知ると腑に落ちます。(以前は朝食は否定していました。大間違いでした。すいません。)ただし朝食をとらないよりはとった方がましとばかりに朝から菓子パンなどを食べてしまっていては、これらの効果は全く期待できないですし、逆に食べないほうがましです。やはりきちんとした朝食をとりましょう。

 

これらのことは大腸におけるインクレチン(消化管ホルモンの総称)効果ともいうべきものです。食事の時にすぐに始まる小腸までのレベルでのインクレチン効果(こちらも重要ですが)とは区別してください。

二つ目は昼食での食事量が自然に少なくなる効果です。適切な量の食事で満足できるようになります。これはGLP-1の食欲中枢に働く作用で説明されます。

 

そして昼食でも水溶性食物繊維をさらにしっかりとると、朝との相乗効果もあって、夕食時になってもいわゆる腹持ちの良い状態が続いている場合が多くなります。食べなくてもいいかな?という気分にまでなっていれば、ここでスキップするなり、タンパク質中心の食事を軽くとるなりすればよいと思います。夕食に糖質をどれくらいとるかは、その日の活動量で自然にきまってきます。

 

結果的に一日の摂取カロリーや糖質量は減ってきますので、自然なダイエット効果が期待できます。

 

朝食をとらないと太ります。朝食をとらないから逆に太るんですと言われることの意味がこれでしっかり説明できます。朝食に何を食べるべきかをしっかり理解していないので、朝食を食べると太るから朝食は抜いたほうが良いと思ってしまっていたのです。

 

カロリー制限や糖質制限ではなく、自然なカロリーや糖質のコントロールを目指すことがダイエットの成功の一番の近道です。

 

まずはきちんと食べること

 

昔から言われている当たり前の結論ですが、GLP-1のことを知れば、よりその重要性が理解しやすいと思います。

水溶性食物繊維、レジスタントスターチは主食を抜くと不足する

江部先生が8月2日に「ヒトと腸内細菌と食物繊維の関係」と題したブログを挙げられていました。その中で食物繊維は、ヒトと腸内細菌にとって必須であり、腸内細菌が食べる食物繊維は、水溶性食物繊維だと考えてほぼ間違いありません。と述べられています。

とここまでは全く異論ありませんが、問題なのは最後の結論です。



糖質制限食では、野菜、海藻、キノコ、大豆製品などから食物繊維を摂取できます。
特に水溶性食物繊維はアボカド、オクラ、こんにゃく、納豆などに多く含まれています。


先生!これでは全く足りません。イモ類や穀物など主食としてとるものに含まれるレジスタントスターチが必要です。糖質制限をしていなくて、普通にご飯を食べていても、または玄米食でも不足(玄米には水溶性食物繊維は少ない)しがちな水溶性植物繊維やレジスタントスターチを、主食を減らしておかずだけで十分に補うなど、よっぽど無理しないと不可能です。

 

更に言えば大腸の健康だけの話ではないんです。短鎖脂肪酸がGLP-1の分泌刺激になることを知っていれば、肥満や糖尿病の人の減ってしまった短鎖脂肪酸の合成を増やすために、水溶性食物繊維は普通以上に意識しとるべきものになります。そんな時に主食を減らしていたら、どうなっちゃうんでしょうか。水溶性食物繊維が大事と思われるなら、それが豊富な麦飯やオートミールを主食でとるべきです。水溶性食物繊維はビタミンやミネラルのように微量でもよいわけではありません。ある程度の量が必要とされます。(例えばβグルカンのみなら1日3g最低ライン)

 

GLP-1があらかじめ分泌されていれば、β細胞はすぐに反応でき、肝臓や筋肉の血糖の取り込みも促進され、結果少ないインスリン量で食後血糖を下げられ、なによりそれ自体がβ細胞の増殖につながることが言われている以上、糖質量にこだわる理由は複合糖質の場合はないはずです。

 

腹持ちがよい食事とは

GLP-1の血中濃度は絶食状態でもある程度はあり、食物摂取後に2から4倍に増加します。半減期はわずか数分で、分泌されてもすぐに分解され非常に短いので、基礎的な分泌は持続的にあるわけです。しかしこれが肥満と糖尿病の患者さんにおいては減ってしまっている。

 

食後のGLP-1の分泌は神経性の反射と小腸のL細胞からの分泌が主役でしょう。これにはグルコース以外に肉や卵、魚などのタンパク質が分解されたアミノ酸、一価不飽和脂肪酸(オリーブ油、アボガドなどに多い)ω―3多価不飽和脂肪酸(魚など)などが刺激となりこれらを含む食事はたしかに食後の満足感が持続しやすいと思います。しかし、食後数時間たった後からの基礎的なGLP-1分泌の場所は大腸に移っているわけで、この段階でもGLP-1の分泌がある程度持続していること(水溶性食物繊維や難消化性糖質の多い食事)が、次の食事での血糖の上昇と過食を抑えることに大きく役立ち、これがセカンドミール効果でした。

 

いわゆる腹持ちがいいといわれる食事の正体は、GLP-1を分泌させ続けることにあるのではないか。この状態では強い空腹感を感じることなく、カロリーを少しづつ減らしていくことが可能になります。またGLP-1の基礎分泌量がカロリー制限でおこりやすい代謝の低下や筋肉の減少を防ぐ下支えにもなってくれるのではないかと推測されるわけです。

 

オートミールやサツマイモなどで回数を分けて糖質をとりつつ、かさましと称してキノコやオクラなど水溶性食物繊維豊富なものとタンパク質はしっかりとる。ボディビルダーの減量期の食事の仕方などが実に理にかなっていると思いました

水溶性食物繊維、腸内細菌

食物繊維の大切さはよく聞くところだと思いますが、食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。

 

腸内細菌は食物繊維を餌として短鎖脂肪酸を作り出しますが、この短鎖脂肪酸が健康を維持するうえでとても重要な様々な生理活性を持つことがわかってきました。そしてその餌となる食物繊維は水溶性食物繊維であり、野菜や果物、豆類などで含まれる量で充分に補うのはなかなか大変で、不溶性食物繊維に比べより不足しやすいのです。

 

ここに主食として大麦やオーツ麦をとることの大きな利点があります。

 

腸内細菌の分布がエネルギーの吸収度に影響し、同じものを食べても脂肪の付きやすさが違うというような話題も聞いたことがあると思います。

例えば痩せ菌としてしられるアッカーマンシア・ムシニフィラという腸内細菌は、2型糖尿病や肥満の患者において健常者より少ないということがわかっています。この痩せ菌、または善玉菌と呼ばれる腸内細菌は水溶性食物繊維の摂取量を増やすことで増やすことができ、その観点で肥満や糖尿病の治療の本質に近い食事療法なのではないかと思ったわけです。

2019年7月25日 | カテゴリー : 食物繊維 | 投稿者 : suzukinaikaC