鈴木内科クリニック・鈴美館

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肥満の原因

肝と膵への脂肪蓄積

アジア人は北アメリカ人より低いBMIで2型糖尿病を罹患する傾向があり、中国人の平均2型糖尿病のBMIは23.7である。
ここでの重要な要因は総脂肪量ではなく、肝と膵への脂肪の蓄積である。
一般的な2型糖尿病と比較的やせ形の2型糖尿病の病理は似ており、LCHFとIF(間欠的ファステング)による食事介入は有効である。

とDr Fungは言っており、臨床例も紹介しています。彼自身中国系ですし、The Obesity Codeの枠組み、考え方はアジア系の人たちの臨床例も数多く経験したうえでの議論であることは明らかだと思います。

果糖(フルクトース)の問題点

果糖(フルクトース)は血糖値を上昇させないし、インスリンレベルを上昇させない。それでは果糖はよい糖かというと実はよくないということはよく知られています。
フルクトースの問題点はその代謝にあります。

もしショ糖(砂糖の主成分、フルクトースとグルコースが一対一の割合)をとれば体のすべての細胞でグルコースは利用することができますが、フルクトースはほとんど利用することができず、肝臓で代謝されます。

フルクトースはグルコースに転換することもできますが、すでにグルコースがたくさんあれば、直接脂肪に転換されます。つまりグルコースよりも脂肪肝をつくりやすく、それがインスリン抵抗性の原因となるため、フルクトースは肝臓の世界では大きな問題であり、グルコースより20倍悪いとDr Fungは言っています。加工食品に含まれる異性化糖(果糖ブドウ糖液)はさらに危険です。(Dr. Jason Fung – ‘A New Paradigm of Insulin Resistance’)

 

お米の主成分はでんぷんであり、グルコースがたくさん集まったものです。当たり前ですがフルクトースは含まれていません。よく見るご飯と角砂糖の山の比較の写真は、単に糖質量(カロリー)の比較であり、その代謝とインスリン抵抗性の原因という観点から見た場合、同等に扱うべきものではないということになります。

 

糖質そのものは肥満の原因ではない

結論を言えばThe obesity Code の中での糖質制限や間欠的ファステングは肥満の治療のための方法論であるという位置づけです。

糖質そのものは肥満の原因ではありません。

なぜなら糖質をとっていても肥満にならない人はいくらでもいるからです。

その事実は無視してはいけない。肥満の本当の原因は西洋化した食品としています。

この場合の西洋化とは肉食や高脂肪の食品のことではなく、加工食品のことです。

カロリーあたりのビタミン、ミネラルなどの栄養素に乏しい食材に様々な食品添加物が加えられた食品です。

これらの食品は糖質を多く含んでいた場合はもちろんのことですが、低糖質なものであって短期的には体重増加につながらないようでも、長期的には体重のセットポイントを狂わしてしまいます。

砂糖や精製された穀物(特に緑の革命以降の品種改良された小麦)はその中毒性からも特に問題視していますが、お米に関してはかなり寛容です。

この点はやはりほっとしたというか、うれしかったです。

糖質制限が目的化してしまって、加工食品に寛容になってしまった現在の流れはやはり修正していかなければならないことを、糖質制限をすすめてきた自分としては強く感じています。

 

糖質中毒からの離脱

インスリン抵抗性の治療において、まず、最初に糖質制限つまり断糖は糖質中毒からの離脱のために絶対に必要です。

ここを否定されては話になりません。

この時期は、肉の過食も、糖質制限スイーツも有効な手段だと思います。

ただし、ある程度糖質中毒であったことがはっきりわかるぐらい自覚症状の改善があり、さらに体重の減少が一旦落ち着いてしまった段階では、糖質中毒に戻るリスクを少なくするために、糖質選択にきりかえて、質の良い食材をしっかりととり、食事の間隔をあけることで、栄養の質と吸収力を改善させることに重点を移した方がよいと思います。

これでさらにケトン体を利用する時間も増えますから生活の質、活動の質も向上していくと思います。

いろいろな方法はありますから、その人に合ったやり方でよいと思いますが、同じやり方にこだわる必要もありません。

倹約遺伝子仮説では肥満症の説明にはならない

肥満の遺伝的かたよりを説明する最初の試みは倹約遺伝子仮説である。

それは1970年代に一般的になった。この仮説では、すべての人間が進化的に生き残るメカニズムとして体重を増やす傾向を持っているとしている。

議論はこのように進む。

旧石器時代、食べ物は少なく手に入れるのは困難だった。飢えはもっとも強く基本的な人間の本能の一つだ。倹約遺伝子はわれわれにできるだけ食べるように強制する。そして体重を増やすこの遺伝子を持っていることは生き残るうえで有利である。

体の食べ物の蓄積(脂肪)を増やすことは食べ物が少なくなったときに、より長く生き残れる。それらを蓄える代わりに、カロリーとして燃やす傾向のある人々は選択的に取り除かれてきたのだとする。

しかし倹約遺伝子は現代の何でも食べられる時代に適応すると、体重を増し、肥満になるにつれて病気になってしまう。

しかし我々は単純に脂肪を増やせという遺伝子の勧めに従っているのだ。

この倹約遺伝子仮説の欠陥を考察する。

最も明らかな問題は、野生の状態で生き残ることは体重が少ないのも多すぎることにも左右されない。

太った動物は動きが鈍く痩せた仲間より機敏ではない。

捕食者は捕まえるのがより難しい痩せた獲物より、太った獲物を好んで食べるだろう。同じように太った捕食者はやせてすばしっこい獲物を捕らえることはより困難であるとわかるだろう。体の脂肪は必ずしも生き残るうえで利益があるわけではなく、かわりに非常に不利益にもなりうる。

太ったゼブラやガゼルがいますか?

太ったライオンやタイガーがいましたか?

 

人間が遺伝的に食べすぎるように仕組まれているという仮説は正しくない。ただ空腹のホルモンの信号に従ってたくさん食べたら、食べるのやめる時ををわれわれに伝えるたくさんのホルモンがある。

 

食べ放題のセルフサービスの食事のことを考えてみよう。

お腹いっぱいになってしまうので単純にやめずに食べ続けることは不可能だ。

食べ続ければ気分が悪くなるかもどしてしまうかもしれない。

たくさん食べさせる遺伝的傾向などはない。

代わりに食べすぎに対して強力な防御機構が内蔵されている。

倹約遺伝子仮説では慢性的な食糧不足が肥満になるのを妨げていたと仮定している。

しかし、伝統的な社会では一年中豊富な食糧があったところはたくさんある。

 

例えば、トケラウ、南大西洋の辺鄙な部族ではココナッツやパンノキ、魚などで生活しているがこれらは一年中手に入れられる。

にもかかわらず産業が興り伝統的な食事が西洋化するまでは、彼らの中に肥満は見られなかった。現代の北アメリカでさえ、大恐慌以降広範囲な飢饉は一般的でない。

しかし肥満の増加は1970年代だけから起こったのだ。

 

野生動物の世界では、正常な生活サイクルの部分として例えば冬眠するような場合を除いて、豊富な食糧があるときでさえ病的な肥満はまれである。

豊富な食糧は個体数の増加をもたらすが、サイズを巨大化させたりはしない。

ラットやゴキブリで考えてみよう。食べ物が減ればラットの数が減り、食べ物が増えればラットの数は爆発する。正常以上の大きさのラットは多くなるが、病的な肥満のラットではない。

 

非常に高い体脂肪率を持つことは生き残るうえで利点はない。

男性のマラソンランナーは5%から11%の体脂肪だ。この量でも一か月以上食べないで生き残るのに十分なエネルギー量である。

 

ある種の動物は定期的に太る。例えば冬眠に入るクマが定期的に体重を増やすがそうしても病気にはならない。

しかし人間は冬眠はしない。太ることと肥満であることでは重要な違いがある。

肥満は健康上有害な結果をもたらすまで太っている状態である。

クマにくわえてクジラやセイウチなど、他の脂肪を蓄えている動物は肥っているが健康上の問題がないので肥満ではない。彼らは実際、遺伝的に太るようにプログラムされている。

 

我々はそうではない。人間において進化は肥満に対して好意的ではなく、むしろ痩せている方を好む。

 

倹約遺伝子仮説では肥満症の説明にはならない。

では何が説明できるのか?

肥満の根本的原因で主役となるのは、高インスリン血症による複雑なホルモンバランスの乱れである。

赤ん坊のホルモンの輪郭は、生まれる前の母親の体の中での環境に影響され、高いインスリンレベルの傾向に設定されると、のちの人生での肥満に関連してくる。

カロリー不均衡としての肥満症の説明では、食べることや運動することは自発的な行動であるので、単純にいってこの主とした遺伝子的効果を考慮に入れることができない。

肥満症がホルモンの不均衡によるとすると、より効果的にこの遺伝子効果も説明できる。

 

The Obesity Code より

人を太らすものは何か?

人を太らすものは何か?

 

砂糖とでんぷん質の食べ物。

そんなことは1900年代以前にはすでに当たり前に分かっていた。

 

現在、誰もが常識だと思っている、医者や栄養士や肥満の特集の雑誌でもひたすら言われているカロリーの取りすぎが肥満の原因だ。

 

もっと食べるのを控えて、運動しなさいという指導は実は以前にはなかった。

 

食品をカロリーで考えるというのは1900年代から始まった新しい(科学的な!)考え方だった。

このころの抗生剤の発見や衛生環境の変化が人の平均寿命を飛躍的に伸ばし、人の死因が結核や感染症から変化したときに、1950年代になって注目を集めたのが心臓疾患である。実際には心臓病が増えていたわけではなかった!

心臓疾患のリスクが高まるのは60歳代からで、その前に結核などで亡くなることが多かったというわけであった。
そしてアメリカでは犯人探しが始まって、脂肪が悪者にされた。

 

ただここで問題が出てきた。

脂肪が悪いということになると、必然的に食べるものはタンパク質か炭水化物しかない。

タンパク質は脂肪を多く含むものが多い。

となると炭水化物を増やすしかないが、炭水化物は肥る原因といわれている。

 

この矛盾を解決してくれたのがカロリー理論である。

人を太らせるものは特定の食品ではなく、あくまでもカロリーの全体量である。

カロリーの取りすぎと運動不足が人を太らせる原因であると決められた。

そして、アメリカでは1980年以降、政府の決定によって、食事のガイドラインが定められ、5年ごとに改訂された。

その中にはあのフードピラミッド(炭水化物か一番下の基本となる食品である)が含まれている。

世界中がそれに従った。

 

多くの砂糖を避けることが“アメリカ人のための食事のガイドライン”の明白な目標であったにもかかわらず、砂糖の消費の増加もとにかく2000年まで続いた、すべての注意は脂肪に集中していたので、目をそらしてしまっていたのだ。

 

すべては低脂肪、低コレステロールであり、そして誰も砂糖に注意を払わなかった。

食品加工者はこのことを見つけ出し、加工食品の味を上げるため砂糖のくわえる量を増やした。精製された穀物の消費は増加した。
結果はまさに、アメリカ政府が食事の内容に介入してから肥満症が増大している。

そしてそれは世界中に広まった。

あくまでも肥満症のメカニズム

一連の投稿はThe Obesity Code の紹介です。

この本の内容は深いため、どうしても一部分のとぎれとぎれの情報では誤解されてしまう方が多いようです。それでも重要な内容なので、多くの人にわかってもらえるようにいろいろな形で紹介は続けます。

ただお断りしておきたいのはこの本はあくまでも肥満症のメカニズムを大きな枠組みの中でとらえて、治療することを目的としています。

そこが理解できるといままでの議論の誰もが正しい部分があり、だれもが不完全であるということがわかり、その不完全な部分のあら捜しには意味はないということもわかります。

その共通の土台の上で、さらに人の体の仕組みのわからないところを議論して発展していくことを意図しています。

その発展の中に、肥満症以外の人への応用や2型糖尿病の様々な病期での状態や1型糖尿病もはいって来ますが、ネット上には出てきていますが、これはまだ本にはなっていませんし、確認したわけではありませんので、僕は今の時点で理解できているわけではありません。

繰り返しますが今のところはあくまでも一般的な肥満症への考え方の枠組みの紹介です。

 

それ以上のことは個々人で考えるか、実際に文献で調べてください。

 

とにかくこの本はすべての医師の方に読んでいただきたいです。

 

特に糖尿病とは共通点が多いですが、同じというわけではありませんのでご注意ください

。単なるダイエット目的の場合も参考にはなると思いますが、それを目的で書いているわけではありません。

 

個人的にはスポーツへの応用は自分の体で実験していますが、これも自己責任です。

 

肥満症は糖尿病をはじめとするあらゆる疾患の入り口になります。その肥満症に対して医師たちが全く関心を持たず、間違ったカロリー理論をおしつけて患者を苦しめている。そのことを著者は段階的にあらゆる角度から科学的に検証し、現在の枠組みがいかに科学的とは言えないということを完膚なきまでに論破していきます。

しかもそれを世界に向けて発信している。

それによってケトジェニックを理解していた医師たちでさえ、多くの修正をすでに行っています。

ファステングに関してもかなり誤解があるようです。

安易に取り組んだり、むやみに恐れたりする前に、まず正確に分かっていることを理解すること。それが第一番目です。

ファステングは以前からその効果(それこそ、2000年前から)のあることは知られていますが、知識がなければ危険なのは当然です。

それで害が出た人がいたからと言ってすべてを否定してしまったら、糖質制限で失敗した人がいるから糖質制限が危険だといっているのと同じになってしまいます。

 

著者は糖質制限やケトジェニックの効果を否定しているわけではありません。

それどころか、それはもう当然のことととらえています。

そのうえで見過ごされてきたことを指摘しているわけです。タンパク質でもインスリンは分泌されるということは事実ですから、それを踏まえて修正していくことで、今まで理解できなった現象もさらにわかりやすくなっていきますし、それでさらに救われる人がもっと増えるはずです。

 

タンパク質でもインスリンを分泌させるという事実をもって、糖質制限自体が誤りであったかのような記事が出ていますが、それとは次元が違います。

しかし、事実は事実なのでこの修正を受け入れなければ、かえって糖質制限が大間違いであったかのようにされてしまいます。

血管の炎症の原因

血管の炎症の原因はなんであろうか?

高血糖そのものはどうやら直接の関係はあまりなく、インスリン抵抗性によるサイトカインと、インスリン自体が問題のようだ。

この点は、新井先生の臨床データからよく理解できる。

そして明らかなのは脂質のオメガ6の過剰摂取の影響である。

この辺は吉富さんがやたら詳しいのでそちらを参照してください。

肉でもインスリンの分泌がなされるのであれば、肉に含まれるオメガ6の量はかなり考慮すべき問題となる。血糖を上げないという利点や栄養素としての利点はもちろんあるが、こちらの方も問題とすべきだ。

糖質は確かに必須ではない。

しかし、糖質を含む食品には糖質以外の要素つまり食物繊維ほかのデトックスとして役立ったり、腸内細菌の働きを含め様々な要素がある。これもまた、吉富さんがやたら詳しい。

糖質のみの砂糖や精製された穀物を除けば、血糖上昇よりも利点が上回る食材を、一律に排除する意味はもうない。それより、人工的な添加物や保存料をもっともっと注意すべきだ。糖質フリーは免罪符にはならない。

便利さや、手軽に食べられることも、保存がきくことも関係ない。

いやそれこそが、肥満を作り出してきた元凶だったのではないか。