江部先生は神様じゃない

糖質制限vs.糖質制限反対派のような議論は何の役にも立たない。そんな議論が延々繰り返されてきました。否定は何も生まない。

その通りです。

 

水溶性食物繊維の不足が一番の問題だったことがはっきりと生理学的にうらずけられてきたのは最近のことです。(経験的には昔から言われていましたが)

 

糖尿病学会も糖尿病患者に白米を食べさせるなど、間違った食事指導を押し付けてきました。その点で、糖質制限は正しかったんです。

 

ですが、糖質制限も一律に糖質の種類によらず控えるという点においては間違っていることがわかりました。

 

だから、糖質が含まれていても水溶性食物繊維が入っているものについては、意識してとっていった方がよい(例えばオートミールとか、山芋とか)というふうに糖質制限をしている人にも考えを修正していってもらい、その結果をみんなでシェアしていけば、さらにいろいろなことがわかってくると思います。

 

江部先生だって神様じゃないんだから、最初から全部正しいわけないじゃないですか。

糖尿病食の問題点

糖尿病の教育入院での食事といったら、まだまだどこでもカロリー制限食でそのうち6割は主食の白米か白パンでしょう。水溶性食物繊維なんか全然足りていません。これでは食欲は抑えられませんから、退院すれば元の食生活に戻ってしまう人が多いのも当然といえば当然です。

糖質制限がいくら本質とはずれているといっても、対症療法的な効果(それもかなり劇的な)を最初に経験していますし、従来の食事指導が(今でもか)間違っているのも確かですから、糖質制限をやめようとしない糖尿病患者さんの気持ちは理解できます。

 

糖尿病学会にも水溶性食物繊維の重要性に気付いている人はいるはずですから、早く従来の食事指導を改めて、薬剤中心の現在の糖尿病治療を変えてほしいものですが、これまた難しそうです。

 

つまりはどちらも正しかったわけでもないのですから、みんな本当のところはわかっていなかったんだから、患者さんたちには本当に気の毒でしたが、いろいろわかってきたことを取り入れれば、まだ間に合う人たちばかりですので、どうか心を開いて、新しいことを学んでほしいと切に願います。

 

糖質制限推進されている一般の方々にもお願いします。いろいろなことがわかってきました。まずは調べてみてください。数年前とはもう状況は違ってきています。

水溶性が大事!

くどいようですが大事なことなので何度も書きます。水溶性食物繊維の不足が問題なんです。

 

食物繊維が大事なことはいろいろなところで言われていますから、今さらのような感じがしますが、ここを意識しないと玄米菜食のような食事になってしまいます。これは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスが悪くなりやすく、食物繊維過剰の弊害も出やすくなります。ちなみに玄米では水溶性食物繊維が可食部100g中0.7g、大麦は100g中6gです。(不溶性は玄米2.3gに対し大麦3.6g)

 

不溶性食物繊維は腸内細菌のエサにはなりません。

 

大麦やオーツ麦は水溶性がおおく、水溶性と不溶性のバランスがよいので主食にするのに最もふさわしい穀物です。

昔の日本人や現在も長寿の方の地域では玄米や白米ではなく、麦飯やサツマイモを主食にしていたところが多いのです。

水溶性食物繊維、レジスタントスターチは主食を抜くと不足する

江部先生が8月2日に「ヒトと腸内細菌と食物繊維の関係」と題したブログを挙げられていました。その中で食物繊維は、ヒトと腸内細菌にとって必須であり、腸内細菌が食べる食物繊維は、水溶性食物繊維だと考えてほぼ間違いありません。と述べられています。

とここまでは全く異論ありませんが、問題なのは最後の結論です。



糖質制限食では、野菜、海藻、キノコ、大豆製品などから食物繊維を摂取できます。
特に水溶性食物繊維はアボカド、オクラ、こんにゃく、納豆などに多く含まれています。


先生!これでは全く足りません。イモ類や穀物など主食としてとるものに含まれるレジスタントスターチが必要です。糖質制限をしていなくて、普通にご飯を食べていても、または玄米食でも不足(玄米には水溶性食物繊維は少ない)しがちな水溶性植物繊維やレジスタントスターチを、主食を減らしておかずだけで十分に補うなど、よっぽど無理しないと不可能です。

 

更に言えば大腸の健康だけの話ではないんです。短鎖脂肪酸がGLP-1の分泌刺激になることを知っていれば、肥満や糖尿病の人の減ってしまった短鎖脂肪酸の合成を増やすために、水溶性食物繊維は普通以上に意識しとるべきものになります。そんな時に主食を減らしていたら、どうなっちゃうんでしょうか。水溶性食物繊維が大事と思われるなら、それが豊富な麦飯やオートミールを主食でとるべきです。水溶性食物繊維はビタミンやミネラルのように微量でもよいわけではありません。ある程度の量が必要とされます。(例えばβグルカンのみなら1日3g最低ライン)

 

GLP-1があらかじめ分泌されていれば、β細胞はすぐに反応でき、肝臓や筋肉の血糖の取り込みも促進され、結果少ないインスリン量で食後血糖を下げられ、なによりそれ自体がβ細胞の増殖につながることが言われている以上、糖質量にこだわる理由は複合糖質の場合はないはずです。

 

腹持ちがよい食事とは

GLP-1の血中濃度は絶食状態でもある程度はあり、食物摂取後に2から4倍に増加します。半減期はわずか数分で、分泌されてもすぐに分解され非常に短いので、基礎的な分泌は持続的にあるわけです。しかしこれが肥満と糖尿病の患者さんにおいては減ってしまっている。

 

食後のGLP-1の分泌は神経性の反射と小腸のL細胞からの分泌が主役でしょう。これにはグルコース以外に肉や卵、魚などのタンパク質が分解されたアミノ酸、一価不飽和脂肪酸(オリーブ油、アボガドなどに多い)ω―3多価不飽和脂肪酸(魚など)などが刺激となりこれらを含む食事はたしかに食後の満足感が持続しやすいと思います。しかし、食後数時間たった後からの基礎的なGLP-1分泌の場所は大腸に移っているわけで、この段階でもGLP-1の分泌がある程度持続していること(水溶性食物繊維や難消化性糖質の多い食事)が、次の食事での血糖の上昇と過食を抑えることに大きく役立ち、これがセカンドミール効果でした。

 

いわゆる腹持ちがいいといわれる食事の正体は、GLP-1を分泌させ続けることにあるのではないか。この状態では強い空腹感を感じることなく、カロリーを少しづつ減らしていくことが可能になります。またGLP-1の基礎分泌量がカロリー制限でおこりやすい代謝の低下や筋肉の減少を防ぐ下支えにもなってくれるのではないかと推測されるわけです。

 

オートミールやサツマイモなどで回数を分けて糖質をとりつつ、かさましと称してキノコやオクラなど水溶性食物繊維豊富なものとタンパク質はしっかりとる。ボディビルダーの減量期の食事の仕方などが実に理にかなっていると思いました