鈴木内科クリニック・鈴美館

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大麦

大麦パンケーキ

今朝の朝食。大麦のパンケーキで卵サンドとバナナサンド。バナナサンドにはメープルシロップもかけてます。あとはダイシモチパフのヨーグルトパフェ。糖質量は全部で60gぐらいかな。これだけ食べても血糖最大値でも135まででした。βグルカンはパンケーキで1.4gダイシモチで1gぐらいで合わせて、2.4gになります。だいたい一食当たり2から3g取れれば、糖質量が増えても血糖の上昇が自分の場合抑えられます。なにより大麦粉のパンケーキ、もっちりしていておいしいです。血糖値やインスリン分泌が気になる方におすすめ。大麦は血糖値を抑えるだけでなく、インスリン分泌も少なくて済みます。

 

そもそも、糖質制限というのは血糖のスパイクを抑え、インスリンの分泌を少なくするのが目的だったはず。大麦食べればそれが可能になるのがはっきりわかったので勧めているわけです。足りなかったのは水溶性食物繊維で、糖質量は関係なかったのはもうはっきりしている。

 

いつの間にか糖質制限は最初の目的を見失い、糖質制限自体を目的とした人たちがたくさん増えてしまった。彼らに大麦食べればいいといったところで、なんでそこまでして糖質をとらなければいけないの?といわれるだけだろう。今や、糖質制限が正しいということを正当化する論理にしか興味がないようだ。もう血糖やインスリン分泌量を抑えることはどうでもいいのかな。

 

糖質控えすぎて糖新生に頼り、タンパク質を必要以上にたくさんとってかえってインスリンの必要量をふやし、朝の血糖値を上昇させ、ちょっとの糖質で血糖値が上がる状態が日常的になって、さらに糖質を恐れるという状況になるひとも多い。この不自然さをやり方や筋肉量が足りないせいだとか、その人個人の問題であって糖質制限が間違っているのではないというのなら、もう議論する余地はない。

 

糖尿病の血糖コントロールに対するβグルカンの有望な効果

グーグルの翻訳機能を使えばざっと見て理解できると思いますが、近年になって糖尿病に対してオーツ麦と大麦のβグルカンの効果が注目され、多くの研究がされていることがよくわかる論文です。

 

2型糖尿病に関する効果をみると、ある程度の期間と量の継続が必要であることがわかります。

 

いくつかの論文からまとめると効果をだすのにおおむね4週間から12週間は必要で、βグルカンの一日量が最低3gから6gは必要だということになると思います。

 

興味深いのは、長期介入試験で効果がなかったというものもあったのですが、それは一日3.5gのβグルカン強化スープを2か月とってもらうというもので、βグルカンだけとっても意味がないのを裏付けるものになっていました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0924224418307489?fbclid=IwAR24HUVIsigEyVwh5nsufQAxoMLOb9q_9ccPTqOXn4cmpJDFMMh6XMg5mqg#bib8

 

糖尿病に対する麦飯の効果について

糖尿病の患者さんたちにオートミールや麦飯をすすめ、一か月後の結果が出てきています。

 

ある程度予想はしていましたが、糖質制限をすすめた時とは違いほぼ全例でA1cが改善するようなことはおきていません。A1cだけで言えばやや悪化した人のほうが多く、横ばいの人、少し改善した人もいて結果はまだバラバラです。

 

まだまだ、例えば朝食でとっていないとか、大麦の割合が少なすぎたり、わかってもらったと思っていても、間違ったやり方をしていたりするので、まだ評価できません。

 

糖質制限をしたことがあって、糖質制限はつづかなかったものの、無意識でも糖質はそれなりに控えて血糖をコントロールしてきた人は、GLP-1の分泌能が落ちている状態で、糖質量を積極的に増やせばA1cの短期的な悪化は仕方ない部分があるとは思っていました。腸内細菌の変化には最低でも2,3週間はかかります。

 

それでも、空腹時血糖が今までになく下がった人などが出てきていて、改善の兆しはあります。また、かなり糖質量を増やしているのに、横ばいの人も意味があると思います。何より、患者さん自体がしっかり糖質をとれることでの腹持ちの良さや、満足感を体感できているので、あまり不安は感じていません。

 

アルバイト先での外来で今まで食事に関してあまり節制もしていなかった糖尿病の患者さんについては、麦飯導入でA1cは下がっています。

 

どれぐらいの経過でA1cが改善していくのか、まだ未知の部分はありますが、経過はいづれにしろ報告しますので、積極的な糖質摂取に不安を覚える糖尿病の方はそれを見極めたうえで判断されてもよいと思います。

 

何にも考えずに薬だけ飲んでた糖尿病の人は、麦飯で悪化することもなく普通にA1cの数値がよくなってる。それなりに節制して来た場合に、最初は数値的には悪化しやすい。ここをどれくらいで乗り越えられるかをはっきりさせることができるかどうかがポイントになるはず。

 

全粒穀物について

米国糖尿病学会や米国農務省などをはじめとする多くの機関が、全粒穀物の健康効果についてエビデンスが高いと認識し、推奨しています。

野菜も健康には有用な食品ですが、野菜から食物繊維をとることが糖尿病の予防になるかについては証拠は示されていません。糖尿病予防について科学的根拠がはっきりしているのは穀物由来の食物繊維穀物をとることの有用性なのです。

 

この全粒穀物とは具体的に言うと玄米や全粒小麦でできたパンやパスタ、オーツ麦(オートミール)などになります。

 

精麦された大麦は、正確に言えば全粒穀物とは言えなかったためか、言及されないことも多かったのです。

しかしながら大麦は精麦したあとでも食物繊維の量は他の全粒穀物と比べ全くそん色なく、水溶性植物繊維(βグルカン)の量で言えば最も優れているといってよい特別な穀物なので、特に日本では全粒穀物以上に推奨されるべき穀物です。

麦飯カレー

高木兼寛という人をご存知でしょうか?明治の初め英国に留学した後、海軍の軍医となり、脚気の予防に麦飯を取り入れ、脚気の撲滅に多大な貢献をした人として知られています。その説に反対した陸軍の軍医であった森林太郎(森鴎外)は日露戦争において、麦飯を採用した海軍とは違って、多くの兵士を脚気で失ったというのは有名な話です。

 

またこの人は、日本にカレーライスを広めた人としても知られています。英国海軍のシチューとパンを日本人むけに小麦粉でとろみをつけたカレー風味にし、パンのかわりに麦飯にかけて海軍の定番料理としたわけですが、この味を覚えた兵士たちが家庭でもその味を再現して食べるようになって広まったということです。日本のカレーライスの元祖は麦飯カレーであったわけです。

 

彼が設立した成医会講習所がのちの東京慈恵医科大学であり、今この大学の先生方が大麦の有用性を精力的に発信しているのを知って、妙に腑に落ちた気がしました。

急成長している雑穀市場

僕がオートミールや麦飯を流行させようとしているなんて言う人がいますが、恥ずかしくなるのでそんなことは言わないでください。僕が糖質制限に引っかかっている間にもすごい勢いでもう広がっていたんです。それを僕は気がつかなった。でもまだまだ気づいていない人の方が多いだけです。僕は全然遅かった。

 

糖質制限などとっくの昔にもう終わっていたんです。(今の流行は最後のバブルです)低糖質にこだわる意味などないことは、近い将来誰にとっても常識になると思います。にもかかわらず、それをこれから広めようとする人がまだまだいる。ものすごい情報格差がこんなにもネットが利用できる時代にあるなんて、いかにとらわれの気持ちがあると、必要な情報が目の前にあるのに見えてこないのかに本当に驚かされます。

 

大麦のβグルカンに関しては、基礎研究も臨床での研究もたくさんなされていますし、大麦の生産体制の強化やその商品開発が今すごい勢いで進んでいます。医療の世界ではまだまだ一部のようですが、生産者や加工業者は大麦のスーパーフードとしての価値の高さに完全に気がついています。雑穀の市場は急成長しているんです。

 

今もすでにありますが、今後ますます大麦粉やもち麦を使ったスイーツや様々な料理法の研究がなされ、市場やレストランで供給されるようになると思いますので、食品や飲食、健康に関係する仕事をされている方にはその流れに乗り遅れないようにしていただき、みんなで広めていけたらいいなと思います。。

大麦の可能性に気が付いたのは

大麦の可能性にきがつくきっかけとなった患者さん。当院には平成26年から来ていただいており、糖質制限を継続していましたが、なんとか維持するのが限界。途中から、糖質選択に切り替えていますが、やはり積極的に糖質を取るところまでは踏み込めませんでした。

 

今年の1月に大麦のフレークを取るように勧めたところ、継続していただけて、数値がいままでになく改善してきたことがわかりました。

 

その後、オートミール、さらに麦飯に変えることでもっと良い効果がえられることがわかったので、今後の経過でさらなる改善が期待できると考えています。

大麦パンの効果の実験

本の中での実験の紹介。

 

食物繊維を多く含む大麦パンと精製した小麦パンの効果を20人の健常者で比較。3日間連続して食べ、4日目の朝、同じ試験食の後に採血した。全員が2種類のパンを食べるクロスオーバー試験。

 

結果

大麦パンで精製小麦粉パンに比べ食後血糖とインスリンはそれぞれ22%、17%低下しインスリン感受性が25%改善した。空腹時の短鎖脂肪酸は18%増え、食後のGLP-1は56%増加した。

 

これらのことから全粒粉の大麦パンは短期間に腸管ホルモンの分泌を高めることで、食欲抑制、インスリン感受性を高め、糖代謝を改善することが示された。

 

これは健常者の実験で短期でも効果がありとしたものですが、逆に28人の高インスリン血症を有する糖尿病予備軍について、小麦全粒粉のシリアルとこれを含まないシリアルを毎日摂取させ一年間にわたって3か月ごとに調べた調査も紹介されており、GLP-1が25%増えるのに1年かかったことから、腸内細菌が最適な発酵環境になるには時間がかかると推測されています。

 

しかしこれはもう気がつかれたと思いますが、小麦全粒粉であることが問題で、大麦を使用していればこんなには時間を要しなかっただろうと思います。このことから稙田先生はあの日向先生の水溶性食物繊維に焦点をあてた論文はご存じないと思います。ここがつながっていれば本の内容もより食事に焦点があてられたものになっていたと思うのです。