鈴木内科クリニック・鈴美館

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ケトン体

”褐色脂肪細胞”と”白色脂肪細胞”の役割

脱共役タンパク質(UCP)とはミトコンドリア内膜にあるタンパク質で、エネルギーを生産する(ATPを作る)替わりに熱を生産するのにつかわれるタンパク質です。もっとも代表的なのは褐色脂肪細胞のUCPですが、白色脂肪細胞や筋肉にも存在します。

褐色脂肪細胞はミトコンドリアが豊富なため褐色で、新生児に多く存在しますが、成人するまでにかなりすくなくなり、成人に存在するのはほとんど白色脂肪細胞です。白色脂肪細胞の役割は脂肪を蓄えることです。
それに対し、褐色脂肪細胞は熱を産生するのか主な役割です。それが少ない大人は筋肉の震えで熱を作ることができます。

 さて、インスリンレベルが高い状態においては、インスリンが褐色脂肪細胞のUCPの活性を低下させ、白色脂肪細胞のようにシフトさせてしまうということです。

逆にインスリンレベルの低いケトジェニック状態においては、ケトン体が白色脂肪細胞のUCPを活性化し、褐色脂肪細胞のように熱を産生させることにエネルギーを使うようにシフトさせる働きがあるということが述べられていました。

カロリー制限理論ではカロリー消費を増やすために運動すべきとなりますが、運動しなくてもホルモンバランスの変化つまり、インスリンレベルを下げケトジェニックモードになることで、エネルギーは熱の産生(体温の上昇)の増加分によっても消費され、脂肪がより使われることになるということでした。

若い時には食べても肥らなかったのに、中年になると同じように食べても肥りやすくなってくるのは、徐々にインスリンレベルが上がってくることで、このUCPの活性が低下してくるためと思われます。糖尿病などでは筋肉のUCPの活性が低下していることなども知られています。ケトジェニックではそれをリバースし、基礎代謝を上げることができるということになります。

別の動画で、絶食でケトジェニック状態になるのは食料の少ない時、つまり冬が当然多かったであろうことから、冬眠しない人間は体温を上げる方向にシフトするのも理にかなっているというようなことも述べていたり、Dr Fungと同様にインスリン自体がインスリン抵抗性の原因であることを強調しており、高いインスリンレベルがどのように細胞膜に影響してインスリンレセプターの働きを抑えるのかなども研究しているようで、目が離せない博士です。

簡単に言ってしまうと

「ケトン体は脂肪を蓄える白色脂肪細胞を、熱を産生する褐色脂肪細胞にシフトする」

Dr. Benjamin Bikman – ‘Insulin vs. Ketones – The Battle for Brown Fat’

糖質中毒からの離脱

インスリン抵抗性の治療において、まず、最初に糖質制限つまり断糖は糖質中毒からの離脱のために絶対に必要です。

ここを否定されては話になりません。

この時期は、肉の過食も、糖質制限スイーツも有効な手段だと思います。

ただし、ある程度糖質中毒であったことがはっきりわかるぐらい自覚症状の改善があり、さらに体重の減少が一旦落ち着いてしまった段階では、糖質中毒に戻るリスクを少なくするために、糖質選択にきりかえて、質の良い食材をしっかりととり、食事の間隔をあけることで、栄養の質と吸収力を改善させることに重点を移した方がよいと思います。

これでさらにケトン体を利用する時間も増えますから生活の質、活動の質も向上していくと思います。

いろいろな方法はありますから、その人に合ったやり方でよいと思いますが、同じやり方にこだわる必要もありません。

グリコーゲン

グリコーゲンは筋肉と肝臓に貯蔵されています。

肝臓のグリコーゲンは血糖値が下がると分解して使われるため、血糖を維持する目的で蓄えられています。筋肉のグリコーゲンは血糖を上げるためには使うことはできません。
グリコーゲンの量は筋肉量にもよりますが筋肉の方が多く、肝臓の3,4倍蓄えられます。
ファステング状態では肝臓のグリコーゲンは空っぽですが、すでに安定した脂肪からの糖新生が行われ血糖を維持しています。筋肉のグリコーゲンはしっかり蓄えられたままです。
通常はマラソンなどの長時間の運動により肝臓のグリコーゲンが枯渇すると、血糖を上げられなくなり、いわゆるハンガーノックをおこします。このとき筋肉のグリコーゲンが残っていても使うことはできません。それを防ぐため、糖質を過度に運動中に補給をすると今度はインスリンの働きで脂肪の燃焼の妨げとなります。補給の仕方がとても重要となります。
ファステング状態からの運動では初めから血糖の維持に肝臓のグリコーゲンにたよっていませんし、筋肉のグリコーゲンは使えます。エネルギー源ははじめから脂肪燃焼モードです。
大まかで正確ではありませんが、これがファステング状態が運動に適している理由と推測しています。

ただし、いきなりやってもできません。時間をかけてケト適応してから可能となります。

低インスリン状態

結局のところ、ケトン体とは食べない時間に利用する人間のエネルギー源です。

低インスリン状態が必要になります。

食事をするとインスリンがでますので、糖質を利用するモードとなります。糖質を利用するモードではかなずしも血糖が高い状態とは限りません。
常にインスリンレベルが高い状態が続くとインスリン抵抗性という病理状態となります。

だから、この状態を改善させるための間欠的ファステングが必要になるわけです。
普段から糖質モードの人は寝ている間ぐらいしか、ケトンモードになれませんので、脂質代謝機能が落ちてしまっています。

この脂質代謝機能を鍛えることがケト適応です。

ケト適応すると今度は糖質代謝機能が落ちます。
ケト適応にはある程度時間がかかりますので急には無理ですが、いったん適応状態になると運動選手にとっては非常にパフォーマンスが上がります。そうでなくてもやりたいことがたくさんある人にとって、とても人生が楽しくなします。

とにかくこのケトンモードは活動するのに適しています。

食べなきゃ運動できないのは脂質代謝機能が衰えているからと思ってください。
ミトコンドリアは糖質も脂質もエネルギー源にできますが、同時に利用することは苦手のようです。

2017.1.8 菜の花マラソン裸足で完走

菜の花マラソン、今年も無事裸足で完走できました。

2017.1.8

最後尾からのスタートでスタートロスは16分。タイム的には去年より、ちょとだけ早くなりましたが、大した進歩はありませんでした。

やはり足裏が仕上がっておらず、厳しかったです。来年は菜の花はビブラムにします。(鹿児島マラソンはこりずに裸足でいきます)

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それ以外はいろいろ貴重な経験ができました。

家内特製のケトンバー6本(糖質あわせて7g)と、梅干し、ハラガワ、トン汁などわずかな糖質でエネルギー切れなしで走りきれました。

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走る前、血糖値115、ケトン0.6走り終わって血糖値105 ケトン2.8でした。

やはり運動でケトンは上がります。ここまでケトンがあがると走り終わっても、糖質への欲求もあまりなく、夜はしっかり焼肉いただきました。

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足裏はきつかったですが、最後陸上競技場では全力疾走でき、びっくりでした。カーボローディングなど必要ないことを確信しました。

ケトンモード

飢餓感があるうちは痩せられない。

ケトンモードに入れば飢餓感はなくなる。

空腹感を楽しめる。食事は痩せすぎないように、筋肉が落ちないように食べる。

カロリー制限のダイエットは辛い山登り。

油断すれば、すぐずるずるともとに落ちてしまう。

ケトンモードでは体重を落としたければ、山を下るようなもの。

ブレーキ踏みながらゆっくり行きたいとこまで下りればいい。

でも調子に乗ってスピードの出しすぎと、下り過ぎには注意しましょう。

脂肪を燃やせ!断糖の目的は再起動

脂肪を燃やせ!

故障の原因やパフォーマンスが上がらないのはエネルギー源として脂肪をうまく使えていないからだ。そう提唱したのは心拍数を目安にすることで持久力を向上させるマフェトン理論で有名なフィル マフェトン(医師ではなく、カイロプラクター)です。以前にも書きましたが、彼が食事においては糖質制限を大前提としていることはあまり知られていないというか無視されてきました。日々のトレーニングとして長時間にわたる高強度運動に取り組んでいるアスリートたちは、高炭水化物食品をとらなければならないというのは常識であった1980年代(いまだに続いているのかな)、彼の考えは完全に異端であったからでしょう。それで心拍数トレーニングの方だけが紹介されることがおおくなってしまったようです。しかし時代は変わり、医師であり、スポーツ科学の権威であり、自らもウルトラランナーでもあり、かつてカーボローデングの提唱者であったティム ノークス博士はマフェトンが正しかったことや自分の誤りを認め、バンティングダイエット(MEC食に近い)というローカーボ食を現在は推奨しています。

マフェトンの推奨する食事の割合は炭水化物:脂肪:たんぱく質=4:3:3となっており、これでは穏やかな糖質制限といえるぐらいなのですが、省かれてしまう大切なことは、彼が治療の最初に2週間の完全糖質断ちを行わせることと、そして徐々に糖質をとらせながら、個人において最適な量の糖質量を見つけさせることです。糖質4割はとれということでは決してありません。
2週間の断糖が、質的変化をもたらすこと、そしてそのあとであれば低糖質が問題にならないこと、許容できる糖質レベルが個人によってかなり異なることなどをすでにマフェトンは知っていたのです。

 これらのことが紹介されているのがNATURAL BORN HEROESです。作者は多くの裸足ランナーたちが誕生するきっかけとなったBORN TO RUN のクリストファー・マクドゥーガル。クレタ島を舞台にした英国特殊部隊の話の中に、その英雄的活動を可能にした源動力として人間本来の自然な動き(ナチュラルムーブメント、筋肉より筋膜)と人間本来の食事としてでてきます。

 

以下はこの本からの一部抜粋です。

 

スチューが今のやり方を劇的に変えない限り、きっともっとひどい故障をすることになる。わかりました。僕の問題点は何ですか
ランニングのテクニック?土踏まずのアーチが弱いこと?…
砂糖だ。
砂……本当に?
甘いものや炭酸飲料だけじゃない。とフィルは説明した。パスタ、エナジーバー、パンケーキ、米、シリアル、(略)スチューがランナーの理想食だと聞いていた、精製された炭水化物すべてだ。

「トレーニングのポイントはどれだけ早く足を動かせるようになるかじゃない」とフィルは言った。「ポイントは身体がエネルギーを得るやり方を変えることなんだ。もっと脂肪を多く燃やし、糖を減らした方が良い」。このころのスチューの体は「糖を燃やし、脂肪を蓄えるモンスター」だった。

簡単なことだ、とフィルは語りだした。脂肪を燃料として使うにはふたつのことだけやればいい。糖を減らし、心拍数を下げることだ。

脂肪に頼ることを身体に教えれば、炭水化物の燃焼は減って、炭水化物を無性に欲しがることもなくなる。ただし、ここでごまかしはきかない。身体は脂肪が大好きだ。我々の器官はその宝物を燃やすよりもそのままためこんでおきたいため、ほかに燃やせるものがあると感づいたら、そちらを先に使い、残りをさらなる脂肪に変える。糖を燃やすサイクルから解放されるためには、スチューは糖への依存を即座にきっぱりやめるしかなかった。一日中いくらでも食べ続けていいが、それは肉、魚、アボガド、野菜、ナッツ類に限られる。豆はだめ、果物もだめ、穀物類もだめ、大豆もだめ、ワインも、ビールもだめ、サワークリームや本物のチーズといった全脂乳製品ならいい、低脂肪牛乳はなしだ。

ひとたび腹を再起動すれば、われわれが依存するようになった偽物ではなく、ずっと狩猟し採集してきた食料を欲しがるようになる。デンプンのサイクルから脱出し、体が自然な代謝に戻ったら、我慢できない空腹や午後の低血糖や真夜中の間食から解放されるのだ。たった一つの大雑把なルールを守りさえすれば、14日しかかからない。高血糖の食べ物は口にしないこと。
2週間後には血糖値点からいってまっさらな状態になっていて、砂糖による急上昇からさらなる急上昇へとつづく悪循環は断たれているはずだ。そしてテストが終わったっら、精製炭水化物をすこしづつ食事に戻していって、どうなるか様子を見る。パン一切れ食べて、もし変化がなければ大丈夫。でも膨満感があったり、けだるくなったり、眠くなったりしたら体が効果的に代謝するにはデンプンが多すぎたということだ。

断糖の目的は再起動

運動前後のケトン値

今日も運動前後のケトン値調べてみました。

朝、ギー入りコーヒー一杯、昼にギー入りココア一杯。

朝食、昼食はなし。

運動前、血糖125、ケトン0.5

午後13時から16時まで3時間。

HR130前後での裸足スロージョギング。24㎞。

運動後、血糖95 ケトン1.7でした。

飢餓感はありません。

空腹感は少しだけ。

まだ、走れる感じで終了しました。補給は水のみです。

いろいろ考察できると思いますが、脂肪を燃やしやすい体質に変化しつつあるのは確かです。運動後も糖質の補給はしません。

ヒトエンジンの出力曲線

極端なたとえです。

これはヒトエンジンの出力曲線。

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横軸はエンジンの回転数、縦軸は出力です。

本来のヒトはハイオクガソリン(LCD)で走るように設計されており、高回転、高出力のスポーツカーです。しかしレギュラーガソリン(HCD)では本来の性能は発揮できません。

ヒトによっては軽油(砂糖)を混ぜてしまい、エンジンがトラブル続きの人もいます。

この場合でも、いったん燃料タンクから燃料を抜き、ハイオクに入れ替えてエンジンにもオイル(肉、鉄、ビタミンなど)等の補充をしてあげればまだ本来の出力が出せるようになるかもしれません。

 

スポーツ栄養におけるパラダイムシフト

 

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対象はアイアンマンや50km以上のウルトラマラソンのエリートアスリート。

習慣的にLow Carbの食事(平均diet期間20か月)をとっている組とHigh Carb の2組10名ずつ、その他の条件(年齢、身長、最大酸素摂取量等)をマッチングさせ、トレッドミルで最大酸素摂取量を1日目に測定、2日目は三時間の64%の強度で測定し、比較する。

HighCarbの組は最大酸素摂取量の50%あたりに脂肪燃焼のピークが来ます。

これはつまり脂肪を効率的に燃やすためには5,60%の強さの運動が適しているという意味で、従来のスポーツ生理学の教科書のとうりです。

それに対してのグループはそのピークが70%あたりまで移動し、しかも脂肪の燃焼量は2倍にまで上がります。これは運動強度を高めても脂肪を効率的に燃やすことができる。ということを意味します。

 

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三時間のトレッドミルでの脂肪の貢献割合はHigh Carbの56%(これも教科書どうり)に対しLow Carbはなんと88%となりました。

 

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運動において脂肪を主たるエネルギー源にすることのメリットは従来からわかっており、いかに脂肪を燃やせる体にするかがトレーニングの目的の一つでもあったわけですが、食事習慣によるこの圧倒的な違いには驚かされます。カーボローデングや運動中の糖質の補給も、脂肪以外の44%はグリコーゲンが絶対必要であり、いかにそれを高め、節約し、効率よく補給するかが重要であるということが前提となっています。その前提がLow Carbに適応した(通常半年以上かかります)アスリートにはあてはまらない!ということが確かめられました。

 

以下はJeff Volek教授が述べていることです。
これらの結果はスポーツ栄養における本物のパラダイムシフトであることを示している。我々はこの40年間、カーボローデングに関して全く逆の理解をしていたのかもしれない。
すべてを再び調べなおさなければならない。
人がどれだけ脂肪を燃やせるかについて、我々ははるかに過小評価をしていた。ただ糖質を制限するだけでひきだせる、おおきな予備能力があったのだ。
今のところこれは草の根的な動きだ。アスリート自身が穀物を取ることをやめた。そして多くの成功体験をした。ウルトラエンデュランスの世界ではすでに離陸したと思う。しかし多くのあらゆるスポーツ競技、様々なスポーツチームがLow Carbを実験しつつある。

同時に筋グリコーゲンの生検もおこなわれ、運動後の筋グリコーゲンが120分の回復期にHigh Carb とLow Carb のグループとで同じように合成されることもわかりました。このことも従来の運動回復期の筋グリコーゲンの補充に、糖質が必須であるという考えを否定するものです。
筋グリコーゲンは1960年代に発見され、アスリートにとってだいじなエネルギー源であることはわかっています。それゆえ強度の運動の間、エネルギーの必要を支えるHigh Carb dietが何十年もの間強調されてきました。
しかしとVolek教授は言います。かりに炭水化物が食事で限られた場合であっても、グリコーゲンレベルを支えるエレガントなシステムを体は持っている。脂肪またはケト適応する青写真はわれわれの遺伝子コードの中に固く埋め込まれている。

しかしながら古典的な健康食(糖質を主要な栄養素とする)はこの代わりの代謝作動システムが起動するのを妨げる。

炭水化物を制限することでこのプログラムを再起動させると、多くのアスリートの健康レベルやパフォーマンスを改良することができる。

 

注意点として人が完全にケトジェニックな食事に適応するのに数週間からそれ以上の期間が必要であるということです。

だからこの研究実験ではCarbを制限して少なくとも六か月以上の者だけを適格者としています。

僕自身、アスリートとは到底言えませんが自分の体で実験し、以前の自分との比較ですが強度を上げた運動で心拍数を上げても、苦しくないという体験をしました。

 

最終的に、不毛なケトン体が危険だとかいう論争に終止符が打たれるのは、スポーツの世界ではLow Carbに適応しなければ勝てなくなるということが誰の目にもあきらかとなり、さらに医学の分野ではLow Carbががん治療の基本となった時だと思いますが、それはもうすぐ目の前まで来ていると僕は思います。