GLP-1を分泌するL細胞が大腸にあることの意味

GLP-1を分泌するL細胞を刺激する物質はわかっていて、グルコース、アミノ酸、そして脂質では一価不飽和脂肪酸(MUFAs)、ω―3多価不飽和脂肪酸(PUFA)です。多く含む食品としてオリーブ油、アボガド、アーモンド、魚や亜麻仁油などがありますから、これは地中海式食事が健康に良いとされる根拠の一つになっています。

 

GLP-1の分泌は食後15分から30分の間におこる最初の反応と60分前後のピークの2相性でそこから次の食事に向けて徐々に減少していきます。ここでGLP-1を分泌するL細胞の場所が小腸下部から大腸なので、そこに食物が至るまでの時間を考えて、最初の反応は小腸上部にあるk細胞または神経系を介した分泌であると考えられているわけです。

 

この食事によるGLP-1の分泌が肥満や糖尿病の患者において低下していることがわかって、それを治療する目的で、以前からGLP-1の分解酵素阻害薬はありましたが、特にGLP-1の様々な役割の研究が詳しくなされ、β細胞の保護作用も期待できることも相まってGLP-1の注射製剤を比較的早期から糖尿病患者に使うことが推奨されるようになってきています。

 

ですから、糖尿病のサイトで調べてみれば、GLP-1の作用については詳しく知ることができますが、ここで気づいてほしいのはL細胞の存在する場所の表現の違いです。小腸下部とだけ書かれていたり、小腸から大腸にかけてという表現がされていますが、実は大腸に最も多く存在しています。

 

最初に示したような栄養素がもはやそれほど存在しない大腸に最も多く存在しているという理由がうまく説明できないので、そのような表現になっているのかはわかりませんが、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸がL細胞のGLP-1分泌を刺激することがわかったことで、大腸に最も多く存在する理由ははっきりしたと思います。

 

となれば肥満や糖尿病患者のGLP-1分泌が低いことの理由として、腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸が足りないためL細胞の数が減少し、GLP-1の分泌が慢性的に不足し、時間の経過とともにインスリン抵抗性をはじめとする病理を作り出していると考えるのはかなり理にかなっていると思います。

 

主食として大麦やオーツ麦をとることが、GLP-1の慢性的な不足を外から補充せずに、食事で内因性に補充することにつながるなら、肥満や糖尿病の本質的な食事療法になるといっても言い過ぎではないと思いませんか?

糖尿病には麦飯!

Metabolic improvement of male prisoners with type 2 diabetes in Fukushima Prison, Japan

 

福島刑務所での男性受刑者の2型糖尿病の患者での後ろ向きカルテ調査の研究。2007年の論文ですがいろいろなところで紹介されていますので、知っている方もいると思います。

 

刑務所に入った2型糖尿病患者のHbA1cが平均値で8.4から5.9に改善し、インスリン治療を受けた囚人18人中5人(28%)および経口血糖降下薬で治療された34人中17人(50%)は治療を中止出来た。というもので素晴らしい結果です。

その原因としてもちろん刑務所ですから、規則正しい生活と労作業、そして管理された食事(麦飯)が上げられています。

 

標準的な摂取カロリーでカロリー制限をしたわけでもなく、PFCバランスも糖質や脂質を制限するわけでもなく、有酸素運動や筋トレをしたわけでもないのに、(これは推測です。本文が見つからないので)ここまでの成果が出る大きなポイントは主食が麦飯であること、つまり水溶性食物繊維の摂取量にあるとしか、頭が麦畑状態の自分としては考えられないわけです。

 

この論文の本文がみれないので、いろいろ探しているうちに、やはり海外のβグルカンの研究者たちがこの論文を重視して多く引用していることもわかりました。

もち麦ダイエット

 もち麦ダイエットというのを聞いたことあると思います。よくある流行りのダイエットの一つのように思われるかもしれませんが、これは肥満や二型糖尿病に対して非常に本質的な食事療法かもしれません。水溶性食物繊維、βグルカン、腸内細菌がキーワードです。調べていくと、面白い研究論文が、どんどん見つかります。

実際に、患者さんたちのなかではっきり効果が出てきた人がポツポツと出てきたこともあって、今自分の頭の中は大麦、もち麦、オーツ麦のことでいっぱいの麦畑状態になってます。

 

 

もち麦や雑穀をご飯や玄米に混ぜて食べている人は多いと思いますし、それはそれでいいのですが、はっきりと肥満や糖尿病を目的とした食事療法としての効果を期待するためには、量と継続期間が大事なポイントになります。水溶性食物繊維のβグルカンの量として一日あたり3g以上というのがいくつかの論文での一致した見解になっています。そのためには、大麦では50g、オーツ麦(オートミール)なら100gぐらいが必要な量になります。50gという量はもち麦100%で茶碗に軽ーく1杯ぐらいになります。オートミールは1食30、40gが普通の量です。

 

これをいろいろな比率で、食事の主食として分けてとっていけばいいわけで、その辺はいろいろ好みで応用できそうです。例えば朝はフルーツと一緒に30gのオートミール、昼、夜はもち麦ご飯(もち麦3割から5割)におかずといった感じとか。

我が家では定番の鶏ガラスープでのオートミール以外でも、押し麦やもち麦もスープに合います。もち麦おにぎりもよさそうですよね。家内に頑張っていろいろ作ってもらいまーす。

 

 

オートミールやもち麦比率の高いもち麦ご飯は、たくさんは食べれませんし、腹持ちがとても良いので無理なく過食をコントロールできるようになります。結果的に摂取される糖質量もコントロールされるので糖質制限でもあり、カロリー制限でもあるのですが、最も糖質選択による効果というのがふさわしいのではないかと考えています。ただしそれだけでは対症療法的な効果です。

 

個々人の腸内細菌叢というものが肥満や2型糖尿病の病態に大きく影響していることはわかってきていますから、水溶性食物繊維を十分に摂取することでおきる腸内細菌叢の変化は本質的な治療に結び付く可能性が十分にあるとおもいます。そうであればこれはたんなる対症的な食事療法ではないということになりますから、その可能性に興奮してきます。

 

2019年7月24日 | カテゴリー : もち麦 | 投稿者 : suzukinaikaC