鈴木内科クリニック・鈴美館

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糖質制限セミナーダイジェスト

糖質制限セミナーダイジェスト

現在の状況では検診で血糖、中性脂肪、コレステロールの異常値、脂肪肝による肝機能異常、高血圧などが見つかってもそのまま放置されるか、毎年の異常に悪い意味で慣れてしまっている人があまりに多い。これらの異常値をきたす原因のほとんどは異常に蓄積された内臓脂肪つまり太りすぎである。一見さほど太っていないように見える人でもおなかはぽっこり(隠れ肥満)の人は多い。そしてこの内臓脂肪こそ、さまざまな病気をひきおこす原因(メタボリック症候群)となる。薬はのみたくないから病院には行きたくない(これはある意味健全であり、正しい)。かといって、日常生活の忙しさや疲れから、運動する気にもならず、食事に問題があるとは思ってもカロリー制限はつらく厳しい。付き合いもあるし、お酒もやめられない。これはいかんと一念発起して、体質改善に乗り出しても挫折する人の多いこと。はなからあきらめている人も又多い。かくして問題は先送りされ、いずれ大きな代償を支払うこととなる可能性は日増しに増大する。このことは本人だけでなく、その人が働く職場、その人の家族にとってもおおきな不幸であり、損失である。
いったい誰が悪いのか。もちろん、検診で異常を指摘されてもそのまま放置し、病院に行かず、生活習慣を改めようともしないその人本人である。かつては私もそう考えていた。しかし、今は違う。彼らはむしろ犠牲者である。最大の問題点は食事やダイエットに関して、広く一般に知れわたっている知識や方法論つまり医師や栄養士やマスコミがすすめる食事法の間違いであった。
脳はグルコースしか利用できないので、朝からしっかり朝ごはんを食べなければいけない。食事は一日三食規則正しく食べること。朝ごはんを抜くとおなかがすいて,お昼にたべすぎる原因になりやすい。太る原因は運動不足とカロリーの過剰摂取。とくにカロリーの高い脂肪は動脈硬化の原因ともなるのでできるだけ控えた方が良い。 … 結論を言えば、これらの朝食至上主義、カロリー神話、脂肪悪玉説は間違っている。
脳はグルコース以外にも脂肪を分解してできるケトン体を利用できる。これは生理学的事実あり、議論の余地はない。ほとんどの人が朝食をとらないと頭が働かないというのは、糖質に依存する状態になっているからであり、本来の状態ではない。喫煙者が、タバコを吸わないといらいらして頭が働かない、タバコを吸えば落ち着く、やはりタバコを吸わないと体に悪い。というようなものである。そんな馬鹿な理屈はもちろんない。非喫煙者はタバコを吸わなくても頭は働くし、イライラもしない。しかし、かつてそうであったことを喫煙者は忘れてしまっているかのようである・ 糖質はまさに脳にとって麻薬のようなものである。強い依存性をもつため、ご飯、パン、麺類などを断つ、この糖質制限という食事療法に対して、初めから考えることすら拒否したくなる人も存在するのも、実は無理ならぬことでもない。
血糖値を上げるのは糖質のみである。脂肪やたんぱく質は血糖値を上昇させない。(この事実はアメリカの糖尿病の教科書では近年改訂記載されたが、日本ではまだ記載がなく、糖尿病の患者さんに教育されてもいない。) 血糖値があがるとインスリンが分泌され、グリコーゲンとして蓄えられる以外の余った糖質は、脂肪として蓄積される。またインスリンが存在している状況では、脂肪を分解して消費することはおさえられ、血糖値を下げることが優先される。 この血糖の上昇とインスリンによる低下(グルコーススパイクとよぶ)こそが血管を傷つけ、動脈硬化の最大の原因となり、あらゆる組織の老化を促進させ、また食後2,3時間ごとに訪れる空腹感の原因となる。 空腹感は血糖の低下時におこり、かならずしも実際に低血糖であるとは限らない。コントロールの悪い糖尿病の患者さんは、空腹時血糖は高値であるにもかかわらず、実際には健常者よりも強い空腹感を感じていることが多いのである。 朝食で糖質をとっていなければ、最低限必要な糖質は肝臓で糖新生によりつくられ、脂肪は分解され続け、血糖の上下動がないので、昼になって、おなかはからっぽの空腹状態であっても、強い空腹感は生じない。まさに事実は逆であり、朝食で糖質を(脂肪やたんぱく質であれば問題はない)とることが血糖の変動に振り回されるスイッチの始まりになっている。 以上のように太る原因は糖質の摂取とインスリンの分泌である。そうである以上、糖質をコントロールする食事療法はきわめて効率的である。カロリー制限が全く必要ないわけではないが、血糖の上下動による空腹感がすくないため、食事量をコントロールすることもさほど苦もなく可能である。 運動によって脂肪を燃焼させ、痩せようというのも現実的でない。太った人が長時間の運動をおかなえば膝や腰を故障するだけである。脂肪を燃焼させるのにどれだけの運動が必要かご存知の方も多いと思います。そもそも空腹状態で運動しては体に良くないというこれまた間違った知識によって糖質をとってしまえば、運動しても脂肪が燃えることもありません。逆に運動しなくても糖質制限によって、安静にしている時でさえ、おなかの脂肪は燃え続けることになります。 あくまでも内臓脂肪の蓄積の原因は余った糖質とインスリンの働きである。脂肪が悪玉にされ、結果的に糖質摂取の割合が増えてしまったことも、近年の糖尿病や肥満の増加の原因となってしまった。
当然、間違った考え方に基づくダイエットは非常に効率が悪く、成功の可能性は低い。そればかりか、むしろこれは人を太らすための方法であるのだから、結果が出ないのは全く個人の問題ではない。結果、病院に行き、本質的な問題は解決されぬまま、検査の異常値を正常化するためだけに薬を処方され安心するか、放置するかのいずれかとなる。  つづく

糖質制限セミナー ダイジェストつづき2

つづき 2 糖質が必須な栄養素である根拠はどこにもない。必須アミノ酸、必須脂肪酸、必須ビタミン、必須ミネラルは存在するが必須糖質というものはない。糖質を必須とする根拠のひとつは、脳はグルコースしか利用できないというものだが前述したように、ケトン体を利用できるから問題はない。実はこの糖質を極度に制限した状態でおきるケトーシスという状態を病的とするか生理的(というか本来の姿)とするかで糖質制限に対する考えは180度異なるから、議論がかみあわないのである。
わかりやすいモデルは人のエンジンはそもそもハイブリッドだというものだ。燃料はグリコーゲン(糖質)と脂肪(ケトン体)。人の本来の姿では、空腹状態で脂肪を燃やして効率よく、持久的に活動を続けることができる。燃費の良いクリーンエンジンだ。それに対してグリコーゲンは、本来ターボエンジンとして予備的に働くものであって、パワーはあるが燃費が悪くすぐ枯渇…する。
糖質をとった後の高血糖状態(高浸透圧状態)は大変危険であるため、インスリンが分泌され、脂肪の分解は抑えられ、血糖を下げることがなにより優先される。糖質をとってしまえば、結果的にしばらくの間、脂肪を燃やすエンジンはつかえない。さらにいったん上がった血糖値が下がるとき空腹感をともなうので、ここで我慢しない限り、脂肪を燃やすエンジンには移行できない。再び糖質をとってしまえば血糖値も再上昇、かくして2,3時間おきに血糖値の上下動とインスリンの分泌が繰り返され、余った糖質は脂肪として蓄積され、脂肪が分解されるのは寝ている間の数時間だけとなる。
糖質制限は、このようにしてあまり使われなくなって錆びついてしまった、脂肪を燃やすエンジンを、再び滑らかに動かすトレーニングともいえる。このため初めの段階ではいろいろ不都合なこともあるが、すぐに本来の機能を取り戻してくれる。このエンジンが一旦スムーズに働きだせば、日中ほとんど食事をとらなくても活動でき、しかも疲れにくい。一日1食であっても強い飢餓感などは感じなくなる。運動を特にしなくてもどんどん脂肪が燃えていき、おなかがへこんでくる。まさに世界が一変する。この感覚は実際に経験しない限りわからない。
糖質制限を危険視する医師は実際にやってたしかめようとはしない。それどころか糖尿病の専門医で、自分が勧める糖尿病の治療食を自分で実際に実行している人がどれだけいるだろうか?糖質制限を勧める医者はどんどん増えているが、みんな自分で実行している。そのことだけで十分だとは思いませんか。  つづく

糖質制限セミナー ダイジェストつづき3

つづき3
それでは糖質の本質はなんであろうか。私見であるが次のように考えている。
必須な栄養素ではないが、非常に効率的に脂肪に変換して蓄えられるエネルギー源である。 飢餓で死ぬ危険性を避けるため、とれるときには常に糖質をとって脂肪として蓄えようとするのは人の本能である。満腹状態であっても糖質は別腹というわけだ。脳に対して糖質は多幸感をあたえ麻薬のように働き、容易に依存性をきたす。このことも、いつ食べられるかわからない飢餓の時代や地域では有利であるが、常に容易に食べ物が手に入る飽食の時代においては、単に肥満の原因となり、老化を促進させ、病気の原因となる。
糖質への渇望は人の本能だ。なくなることはない。そのことをしっかりわかっていれば、逆にコントロールすることもできるし、時には楽しんでもいい。必須ではないが、脳に多幸感をもたらし、依存性を起こしやすく、中毒状態になれば体をこわす。なんだかお酒に似てますね。
一番危険なのは自分が中毒状態であることを知らないことです。この状態ではコントロールはできません。
糖質中毒の症状は、糖質の過剰摂取によって蓄えられた内臓脂肪のために、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性、高インスリン血症)、代謝のバランスが悪くなり、食後血糖値が急上昇、急低下(グルコーススパイク)することでおきます。 昼食後に強い眠気を感じ、しっかり食べても2,3時間後には強い飢餓感を感じ、間食ががまんできず、つねに食べることを考えてしまう。常に疲労感がある状態です。ウエストサイズが気になりだしたら、程度の差はあれ糖質中毒を疑いましょう。
中毒状態であれば、そこから離脱する確実な方法は糖質を断つしかありません。禁煙するのと原理は同じ。吸う本数を減らして少しずつやめようとしてもかえってきついだけです。
まずは2週間の糖質断ちにチャレンジです。途中で挫折することを恐れる必要はありません。マラソンでいえばスタートラインに立つ勇気さえあれば、途中で歩くことになったとしても、すでにあなたは勝利者です。
糖質コントロール実践編
1、ご飯、パン、麺類などの主食を完全に食べない
2、果物、菓子類、牛乳、野菜ジュースなど糖質を多く含む間食も不可、アボガド、チーズ、アーモンドなどは可
3、肉、魚、卵、野菜、豆腐、海藻類はしっかり食べる。カロリーは気にせず満足するまで
4、お酒は焼酎、ウイスキーなどの糖質を含まない蒸留酒、辛口ワインは可
5、朝起床時と寝る前の体重を測る。
注意点としては開始初期にこむら返りを起こしやすくなる人がいます。これは代謝の急激な変化によるミネラル不足(おそらくマグネシウム)による現象と思われます。海藻類、魚介類をしっかりとり、チーズの取りすぎは注意してください。
2週間から一か月で体重は減少し、何よりおなか周りの変化に驚きます。
眠りの質が良くなり、目覚めが良い。皮膚の状態がよくなる。強い空腹感がなくなり、糖質への渇望感も徐々に薄らぐなどの様々な変化を実感できるはず。
ここから先はそれぞれ個人の状態や目標や考え方にあわせて、ストイックに続けるもよし、少しゆるめていくのもよしです。
江部先生、釜池先生、牧田先生、今西先生たちの出されている本もぜひ読んで、自分なりのやり方を研究してみてください。
セミナーではまだ続きがありますが、ダイジェストとしてはいったん終了です。

コレステロールは悪くない!No.1

前回(2014.3.8)の糖質制限セミナーはコレステロールは悪くない!をテーマにしました

そもそもコレステロールは体の細胞にとって大切なものであり、必要なものです。
肝臓で8割が合成され、LDLコレステロールが全身への運送屋、HDLコレステロールが回収屋です。
コレステロールが不足すると細胞膜の受容体の機能低下から神経伝達の不具合がおこりやすく、うつ状態になりやすくなります。
筋肉の収縮や肝臓の機能にも問題を生じ、免疫機能も低下することがわかっています。血管ももろくなり、脳出血もおこしやすくなります。細胞膜の修復の材料ですから、老化もすすみ、癌にもなりやすくなります。

ではなぜこんなに大切なコレステロールは悪玉にされてしまったのでしょうか 。
始まりは1970年代のアメリカです。肥満と心血管病の増加が著しくなっていました。このとき注目されたのが動脈硬化が進み詰まりかかった血管のなかにたまっていたコレステロールでした。じつはコレステロールは炎症をおこし、傷ついた血管を守っていたのであり、炎症をおこしていた真犯人(グルコーススパイク、トランス脂肪酸など)は別にいたのですが、それがわかったのは後の話です。

1977年の有名なマクガハンレポートで以下のようなことが推奨されます。
炭水化物の割合を増やし、脂質を減らし、とくに飽和脂肪酸(動物性脂肪)を減らし、コレステロールは1日300mg以下にする。(卵1個、約200mg)

他にも砂糖を減らすなど間違っていない方向の内容もありましたが、畜産業や砂糖業界の抵抗などでもめはしたものの、1980年代には、心筋梗塞を減らすためコレステロールを減らそうプロジェクトが確立しました。コレステロール低下薬が製品化されたのは1987年のアメリカです。コレステロール悪玉説にもとずくガイドラインが確立したのは1988年です。結果、コレステロール低下薬は大ヒット商品となりました。
肉、卵、乳製品などコレステロールの多い食品をさけ、コレステロール低下薬を飲んで、必死にコレステロールを下げる努力がなされます。そのなかで、低脂肪、低カロリーの和食もよいモデルとされました。植物油のリノール酸は体内でコレステロールを下げる働きがあるから体に良いとされ、動物性油にかえて血液さらさらにしようキャンペーンがなされ、バターも動物性脂肪だからだめ、植物性のマーガリンが安全とされます。穀物の油をとった搾りかすは、家畜の飼料になり、油は人にまわすことができたわけです。すべてはコレステロールが悪玉説が大前提でした。

結果、起こったことは炭水化物の摂取量の増大による肥満の激増、糖尿病の増加です。  コレステロール自体の研究もすすみ、はじめはコレステロールはすべて悪とされましたが、次にHDLコレステロールは善玉で(α-リノレン酸、EPA  DHAなどが関連)、LDLが悪玉といわれ、最新ではLDLも悪玉でなく必要であることがわかっています(天然の飽和脂肪酸が関連)。LDLのなかに一部悪いものもあります(糖質とトランス脂肪酸が関連)が、これは通常の検査では区別されません。動物性油からとってかわった植物性油そのもののもつ、性ホルモンかく乱などさまざま危険性も、時の経過とともに報告されるようになりました。

バターにかわったマーガリン(トランス脂肪酸)の害についてはいまさら書くまでもないでしょう。血管の炎症、腸管の炎症、脳への影響、アトピーなどのアレルギー、不妊症などさまざまです。血管の炎症の原因が血糖のスパイクやトランス脂肪酸などであることもわかってきたのは実は最近のことなのです。

すべてはコレステロール悪玉説からはじまり、それに便乗した製薬業界、食品業界が一体となってキャンペーンをおこなってきたわけです。  コレステロールは火事を消していた消防隊だったというたとえ話があります。消防隊の邪魔をし火をつけて回っていた犯人(糖質)をとりしまるどころか、さらに火をつけることを奨励し、野放し状態にし、消防隊を一生懸命取り締まってきた結果はもう十分すぎるほど出ています。  つづく

コレステロールは悪くない!No.2

つづき ナンバー2

コレステロール低下薬(スタチン)の作用
もちろん肝臓に働いてコレステロールの合成を阻害しますが、それだけではありません。
脂肪からつくられるケトン体というエネルギー源の合成をも阻害します。ケトン体は空腹時や睡眠時、絶食時の生理的なエネルギー源です。

これがつかえなければ筋肉をとかして、たんぱく質をエネルギー源にしてしまいます。つまりスタチンの副作用である筋肉痛、脱力、横紋筋融解との関連です。
中性脂肪をさげる薬との併用でよりおこりやすいこともすぐに理解出来ることです。

他にも最近になって明らかになったスタチン全般の副作用は以下のようなものです。
うつ状態、睡眠障害、記憶喪失、性機能障害、間質性肺炎、発癌、多発性神経炎 催奇性 肝機能障害 血小板減少

これって副作用でしょうか?まさにコレステロール合成阻害薬のスタチンの主作用そのものに見えてきます。

すべてはコレステロール悪玉説から始まりました。
真犯人がみつかり、コレステロールの冤罪があきらかになった今、いままでの食事指導とは真逆になるのは当然ですし、薬は毒薬に見えてきます。

とくに糖質制限をしている人にとって、スタチンはより危険だと思います。

コレステロールは悪くない!No.3

つづき ナンバー3

ここで質問がありました。コレステロールのとりすぎと脂肪肝、肝機能障害との関連についてです。

日常の臨牀の中でみる脂肪肝の原因の多くは中性脂肪です。
中性脂肪が高値となる原因は炭水化物であり、コレステロールではありません。

つまり断糖によってすみやかに脂肪肝は改善し、肝機能値は正常になります。このタイプの人はいわゆるメタボ体形か、おなかぽっこりの隠れ肥満の人です。

みのがされやすいのが中性脂肪も低値で、コレステロール値も低いのに脂肪肝と肝機能障害があるものです。
カロリー制限や低脂肪食をしているやせ気味の女性におおく、原因は不明とされていますが、飢餓状態におけるストレス反応です。

つまり皮下脂肪を内臓脂肪におきかえて栄養不足に対応しようとしているわけですから、コレステロールをおおく含む肉食でこれもすぐに改善します。このタイプの人は同時に果物を過剰摂取していることもおおく、いわゆる果糖による脂肪肝もみられます。

つまり、コレステロールが不足するために肝機能障害をおこすことはあっても、コレステロールの過剰摂取自体で肝機能障害を起こすことはないというのが、日常的に血液データと食事との関連をみてきた臨床医としての実感です。

コレステロールは悪くない!No.4

つづき ナンバー4

治療食としての断糖肉食の効果は2週間以内にすぐにあらわれ、1ヶ月も実行すればだれでもその結果に驚きます。
単に体重の減少や血液データの改善だけではなく、はっきり自覚していなかったさまざまな自覚症状の改善をも伴うからです。当然疑問に思うのは、これほどまでに効果のある食事方法なのに、特に肉食について、なぜ古くからの日本の健康食のなかではできるだけさけるべきとされてきたのかということです。日本の肉食は明治になってから始まったというのは正しくはない。縄文時代から肉食はなされていたが、はじめて肉食禁止令をだしたのは天武天皇です。
道教や仏教の影響とされるがそれだけとは思えない。日本での肉食禁止の内容の変遷や、そのなかで庶民がどのように肉を食べていたのかなどは調べていくと面白いのですが本題とすこし外れてしまいますのでここでははぶきます。

農耕社会のなかで権力者は庶民に貴重な肉を食べさせたくなかった。単に禁止してもやはり食べる人はでてくる。そこで肉に関してはさまざまな否定的なキャンペーンがなされた。獣肉食のタブーはそれを扱う人々までおよんでいる。

強調したいことは古くからの日本の健康食が、肉食が原則として禁止されていた状況の中でつたわってきたということだ。
禁止されているのだから、肉など食べなくても人間は健康に生きられる、いやむしろ肉など食べないほうがいいのだという考え方を広めることは当然とも思えてくる。

実際日本の健康食は、味噌や納豆などの発酵食品にみられる植物由来のたんぱく質のとり方の工夫や、鰹節などの保存食、どうしても炭水化物に偏りがちでビタミンの不足をきたしやすいことからいろいろな野菜をとることをすすめ、食物繊維を多く含む根菜類などをとることで血糖の上昇をゆるやかにするなど、さまざまな知恵の宝庫である。
”まごわやさしい”はまさに肉食禁止状態で健康長寿を目指した集大成ともいえる。漬け物などの発酵食品や食物線維も肉食しない日本人の腸内細菌叢を最適化するために役立っていたに違いない。

現代の食生活をみれば、むかしの日本にはなかった食品のオンパレードだ。特に小麦製品や、砂糖などの摂取量の増大による糖質中毒状態や、食品添加物やマーガリン、人工甘味料などの問題もある。これらによって健康を損なっている人に、肉食禁止時代の食養生をすすめても、ほぼ実行不可能であったし、実際効果も弱いしすぐにはでない。

排毒より修復に必要な栄養をしっかりとること。

”断糖肉食”は、まさに飽食の時代の現代に最適な食養生である。

コレステロールは悪くない!No.5

飽和脂肪酸(肉や乳製品に多く含まれる)がLDLコレステロール(いわゆる悪玉)を上昇させることは、議論の余地がなく正しい。そしてLDLの高値と心臓疾患の割合は高い関連がある。
このことは飽和脂肪酸にとって最も不利な証拠である。
しかしコレステロールの働きはもっと複雑だ。飽和脂肪酸は、血管の壁に蓄積するLDLコレステロールを除去する働きをする、いわゆる善玉とよばれるHDLコレステロールをも上昇させる。飽和脂肪酸はHDLとLDLの両方を上昇させることで、心血管を洗濯するのだ。
さらに、LDLには小さな密度の濃い粒子と、大きな粒子の2種類があることが今や科学者たちに知られている。大きな粒子のものはほとんど無害のようであり、これは脂肪の摂取により上昇する。一方、炭水化物の摂取が、小さな粘っこい粒子を増加させるようであり、そして今やそれが心疾患と関連することが明らかとなった。
私はこれらの観察から、飽和脂肪酸と心疾患が結びついているということに、どれだけ強い証拠(エビデンス)があるというのだろうと思った。と,LDLに関して先駆的研究者であり心臓学者でもあるDr. Ronald Krauss はいう。
リスク要因としてLDL粒子ではなくLDLコレステロールを使うことは、人々を間違った方向に舵をきらせるリスクとなる。

TIME 6/23号 Ending the War on Fat より一部紹介 つづく

コレステロールは悪くない!No.6

TIME 6/23号の特集記事は、かなり膨大でとても全部紹介はできませんので、ポイントのみ紹介します。
興味のあるかたは、ネット上でくわしく検索できると思います。

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脂肪悪玉説の始まりは1950年代のアンセル キーズ博士の7か国研究です。世界中をまわり、食事と心疾患の因果関係を調べ、飽和脂肪酸が心疾患の原因であることを突き止めたとされています。
この研究をもとに、米心臓病協会、上院(マクガバンレポート)、米農務省などが脂肪を減らす食事を推奨し、それに低脂肪をキーワードとした食品開発により売り上げを増大させていく食品業界、原料としてとうもろこしの生産を増大させた農業、近代医療や栄養学の中に1980年代にはしっかりと組み込まれていくなかで、異論をとなえることができない神話となっていった様子などが紹介されています。 そして、この脂肪を制限した40年間にわたるアメリカの栄養実験は失敗に終わりました。
脂肪を制限するかわりとして炭水化物の摂取量が増大し、肥満と2型糖尿病を増大させたのです。 脂肪の果たす役割の研究や、炭水化物は代謝されれば糖に代わりインスリンの分泌をもたらし、それこそが太る原因であること、低脂肪や低カロリーでは空腹感がまし、減量ダイエットはうまくいかないことなどもきちんと説明されています。
キーズ博士の研究は初めに結論ありきで、都合の良いデータを恣意的に採用していたり、都合の悪いデータを意図的に無視したりして、現在の疫学的調査の基準はとても満たせないものであることも明らかにしています。
最近になって科学者たちは脂肪と心疾患に因果関係がないとする疫学的研究を発表し、ついに脂肪悪玉説は常識とはいえなくなったわけです。

この記事の中で糖質制限(ultra-low-carb-diets)も紹介されていますが、積極的に推奨しているわけではありません。(否定しているわけでもありません)
そして肉食中心となった場合の大腸癌への懸念があることや加工肉の問題点、肉食中心となっていったときの地球規模の食糧の問題などにもふれています。
炭水化物の過剰摂取も肥満の程度も日本に比べアメリカのほうがはるかにひどいようです。しかし少なくともアメリカの科学者たちはその原因をはっきり理解しつつあるようです。
科学における巨大なパラダイムシフトであるという表現もありました。
しかし、産業構造にしっかり組み込まれ、40年間にわたって刷り込まれた考えを変えさせていくことは容易ではないだろうと書かれています。

日本においては糖尿病学会会長がいまだ糖尿病の原因は脂肪の取りすぎと運動不足による肥満であると主張し続けている状況ですが、それは記事の中で完全に否定されています。
糖質制限の危険性うんぬんの問題とは別次元の話であります。糖質制限の安全性を議論するより(長期の結果が出るのは将来の話ですから)、すでに結果の出ている、脂肪悪玉説の間違いを正していくことが重要だと、この記事をよんで思いました。