「堀の中の患者様」刑務所医師が見た驚きの獄中生活       日向正光著より抜粋 その1

前任の医師からヒントをもらい日向医師は糖尿病受刑者を何人か診察すると、確かに血糖値がよくなっていることに気がついた。

 

でも、これって当たり前だよな、強制労働させられて、食事のカロリーも少なくて、規則正しい生活をしているのだから、、、と初めは考えた。だが毎回検食する受刑者の食事を思い浮かべると、麦飯に汁物、副菜ととてもバランスよく、おいしいのだが同時にとても食べきれないほど分量が多いのだ。

 

彼が所内の職員に聞いたところ、受刑者は作業に応じて1日に2220から2620kcalといわれたが、もっと多い気がして管理栄養士のところまで行って詳しく尋ねると実際はさらに400kcalほど、食事くらい良くしないと暴動が起きかねないのでという理由で増やしていたことを知る。なんととんでもない量を食べていたのだ。

 

受刑者の実際の食事も紹介されていた。ハンバーグやカレーライス、うどんや魚フライなど献立も多彩でメニューも豊富であり、味も意外においしいと書かれている。

 

とにかく受刑者たちは日々こんなものを食べ、日々健康を回復していく。もちろん初めから食事制限されている受刑者もいたが、制限されていなくても血糖値が改善している受刑者もたくさんいた。

 

過去のカルテを引っ張り出して調べてみると、驚異的に改善しているデータが次々と確認された。何もしないで勝手に血糖値が改善した者、内服薬が減らせたり中止で来たりした者、中にはインスリンすら中止できた者までいた。それも一人や二人ではない。全体で100人以上いた糖尿病受刑者のうち、実に8割以上の驚くべき数値で改善していたのだ。

 

これは大変なことではないか、と彼は大学の恩師に相談してみる。しかしそんなのあたりまえじゃないか、論文にはならないよと笑われた。

しかしめげない彼はひとり調査研究にたちむかうことを決めたのだ。続く

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