鈴木内科クリニック・鈴美館

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09月

押し麦、もち麦、ササニシキ推定糖質35g負荷実験の結果

3日間した押し麦、もち麦、ササニシキ推定糖質35g負荷実験の結果です。

昼前の時間で、朝はコーヒーのみ、第1食目という条件が同じにしています。

ほどほどの糖質制限を継続した状態で開始。

1日目の夕食はしっかり、天鴨つけ板そば。2日目の夕食はさんま焼き定食。

そして3日目の血糖値です。

 

前30分 60分 120分
1日目 117 140 186 162
2日目 104 111 158 117
3日目 103 137 138 119

 

 糖質制限を解除すると比較的短期間に、インスリン抵抗性が改善していくのがわかります。

この現象はβ細胞のインスリン分泌の遅れというより、末梢のインスリン抵抗性の変化の方が大きいと考えています。脳には糖質は必要ですから、糖質制限中は筋肉などの末梢組織が糖質を節約し脂肪を優先的に使うようになり、見かけ上インスリン抵抗性を高めますが、これは続けて糖質が入ってくれば比較的速やかに解除されます。

これはあくまでも見かけ上のインスリン抵抗性であり、膜の異常を伴うようなインスリン抵抗性とは本質的に全く異なるものです。

この見かけ上のインスリン抵抗性に関してβ細胞が休んでいただけだから大丈夫、反応が遅れただけという議論や、逆に休んでいるうちに委縮して元に戻らなくなるというような議論がありますがどちらも正しいとは思えません。タンパク質でもインスリンは分泌されるのですからどちらも考えにくいです。

見かけ上のインスリン抵抗性がいいことなのか、都合が悪いことなのかは、何のために糖質制限をしているのかによって異なりますので注意が必要です。体重を減らしたい人にとっては好都合ですし、脂質代謝を鍛えたい場合にも利点は多いです。

しかしこの状態で例えば運動選手がレースに出れば長距離の場合、補給時に血糖が上がりやすく、インスリンスパイクを招きやすくなるのは不利ですから、いいことばかりでもありません。グリコーゲンの補充がどうしても中途半端になるということもいえます。

また、維持目的であれば、糖質を少しとっても体重の増加がおこりやすく、血糖の変動も大きくなりやすいこの状態は安定的とは言えないと思います。安定しているように見えるのは糖質をとらない条件においてだけですが、これは一般的にはなかなか難しい。糖質制限が続かない理由の一つであると思います。

糖質制限が良い悪いということではなく、何の目的でしているのか、いつまで続けるのか、どこに着地すべきなのか、いろいろ考えていく必要があると思います。

本日の実験

本日の実験。

11時に第1食目、押し麦、もち麦、とササニシキで100g。推定糖質量、35g程度です。

血糖は前117 30分140 60分186 120分162

やはり、この程度の糖質量でしかも質を選んでも結構あがります。

糖質制限すると耐糖能が悪化して、糖尿病になってしまいますという指摘はここからきています。

2食目は16時、外だったので、前値は計れませんでしたが、110から120位には下がっているはず。

 

今度は、天ぷらつきの鴨板そばをいただきました。

以前、天ざるで昼に測定したときは1時間値が200位までいきましたが、今回は二食目です。

推定糖質量は80gかな。1時間値は154です。

やはり、もう体は対応してきました。

2時間値を普通にはかっても想像がついてしまったので、ここでさらにシュークリームとチーズケーキ を追加、そしてその1時間値は124でした。

予想はある程度していましたが、なかなか面白い結果でした。明日もやってみます。

”褐色脂肪細胞”と”白色脂肪細胞”の役割

脱共役タンパク質(UCP)とはミトコンドリア内膜にあるタンパク質で、エネルギーを生産する(ATPを作る)替わりに熱を生産するのにつかわれるタンパク質です。もっとも代表的なのは褐色脂肪細胞のUCPですが、白色脂肪細胞や筋肉にも存在します。

褐色脂肪細胞はミトコンドリアが豊富なため褐色で、新生児に多く存在しますが、成人するまでにかなりすくなくなり、成人に存在するのはほとんど白色脂肪細胞です。白色脂肪細胞の役割は脂肪を蓄えることです。
それに対し、褐色脂肪細胞は熱を産生するのか主な役割です。それが少ない大人は筋肉の震えで熱を作ることができます。

 さて、インスリンレベルが高い状態においては、インスリンが褐色脂肪細胞のUCPの活性を低下させ、白色脂肪細胞のようにシフトさせてしまうということです。

逆にインスリンレベルの低いケトジェニック状態においては、ケトン体が白色脂肪細胞のUCPを活性化し、褐色脂肪細胞のように熱を産生させることにエネルギーを使うようにシフトさせる働きがあるということが述べられていました。

カロリー制限理論ではカロリー消費を増やすために運動すべきとなりますが、運動しなくてもホルモンバランスの変化つまり、インスリンレベルを下げケトジェニックモードになることで、エネルギーは熱の産生(体温の上昇)の増加分によっても消費され、脂肪がより使われることになるということでした。

若い時には食べても肥らなかったのに、中年になると同じように食べても肥りやすくなってくるのは、徐々にインスリンレベルが上がってくることで、このUCPの活性が低下してくるためと思われます。糖尿病などでは筋肉のUCPの活性が低下していることなども知られています。ケトジェニックではそれをリバースし、基礎代謝を上げることができるということになります。

別の動画で、絶食でケトジェニック状態になるのは食料の少ない時、つまり冬が当然多かったであろうことから、冬眠しない人間は体温を上げる方向にシフトするのも理にかなっているというようなことも述べていたり、Dr Fungと同様にインスリン自体がインスリン抵抗性の原因であることを強調しており、高いインスリンレベルがどのように細胞膜に影響してインスリンレセプターの働きを抑えるのかなども研究しているようで、目が離せない博士です。

簡単に言ってしまうと

「ケトン体は脂肪を蓄える白色脂肪細胞を、熱を産生する褐色脂肪細胞にシフトする」

Dr. Benjamin Bikman – ‘Insulin vs. Ketones – The Battle for Brown Fat’

痩せているから過食する必要がない

痩せるために、カロリーを消費しようと走り続けると故障のリスクがだんだん上がり、どこかで走れなくなってしまいがちです。
確かにエリート長距離ランナーはみんな痩せています。走ることはエネルギーを消費するから痩せるのだと思われがちだが実はそうではありません。彼らは走り続けた結果、脂肪を落としてより効率的に走れるようにまで適応した結果そうなっているのです。したがって走るために必要とするエネルギーも走らない人に比べてずっと少なくなっています。
有名なマラソンパラドックスの一つでもありますが、彼らの筋肉の間には脂肪滴が貯まっていて、それをエネルギー源にすることができます。同様な脂肪滴は肥満した糖尿病の患者にも見られ、この脂肪の蓄積がインスリン抵抗性の原因と考えられていましたから、長距離ランナーに同様の脂肪摘がみられたことはまさにパラドックスでした。もちろんランナーたちはインスリン抵抗性は高くはなく、むしろインスリン感受性が高いのですから全く逆です。
痩せることで長く走ることに適応できるようになったということと、痩せるために長く走るということは違います。このことは肥満と過食の関係と似ています。食べるから肥るのではありません。肥っているから過食になるのです。痩せている人は過食しないから肥らないのではありません。痩せているから、過食する必要がないのです。

 

しっかり食べて間ファスで体脂肪を燃やす

間ファスで体脂肪を燃やすために、食べるときにしっかりインスリンを分泌させ、その反動でグルカゴンに活をいれる。

そして、そのまま脂肪分解モードを持続し、最初のインスリンで蓄えた脂肪以上に体脂肪を使うイメージです。

最初はしっかり食べないと、あとで脂肪はつかわれません。ただ、節約モードでやつれるだけ。

水の中に飛び込むイメージでもいい。しっかりジャンプして飛び込まないと、深く潜れない。

それがわかれば、もう糖質とっても大丈夫。

糖質制限から間ファス+糖質選択へ

50歳代男性、当院は平成28年4月が初診。

当院にかかる前は、糖尿病、HBA1cは6後半から7前後で経過。高血圧もあり、エクア、アマリール、ディオバン内服中であった。体重91㎏。

糖質制限を指導し経過は順調で、これらの内服は中止にでき、A1cも6.0前後にすぐに改善。

体重は5月85㎏、6月83㎏、7月81㎏、11月78㎏といい感じであったが、平成29年4月80㎏とすこしもどり、80㎏前後を行ったり来たりであった。

今年5月のデータA1c5.9、HOMA-IR4.5。
7月にまだインスリン抵抗性が高いので、改善させる必要性があるという説明を再度しっかり行い、間ファス+糖質選択を指導しました。

そして今日来院されたのですが、別人のように引き締まっていてびっくり。体重73㎏でした。

なかなかうまくいかない人も確かにいますが、この方のようにがんばっていたにもかかわらず、あと少しの結果が出せないでいた人に、間ファスは大変有効な方法論になります。

糖質制限の通説に対する違和感

糖質制限の通説に対して特に感じる違和感の一つが、必須アミノ酸、必須脂肪酸はあるが必須糖質はない。だから糖質は食事として外から取る必要がないという説です。
かつて、僕もそのようなことをセミナーなどで言っていたのでなおさらなのですが、確かに、糖は全くとらなくても体が糖新生で作り出すことはできます。でもそれは、むしろ体にとって糖が絶対必要だからと考える方が自然だったのではないでしょうか。絶対に必要だったからこそ、自分で作ることができるようになっているという意味で、外から取らなくていいわけです。
赤血球や一部の組織には絶対に必要ですし、脳もケトン体を利用できることは確かですが、何割かは絶対に糖が必要です。絶対に必要な部分の量の糖をわざわざ糖新生で作るより、直接食事でとった方が効率は良いですし、グリコーゲンの補充も糖でなくてもできますが、糖で補充した方がやはり効率は良い。食事でとった糖はダメで体がつくる糖はいいのでしょうか?効率の悪いことを長く続けて問題はないのでしょうか?

糖質制限から糖質選択に移行する必要性を感じたのはこれらのことも理由の一つです。
他の理由はより確実にインスリン抵抗性を改善させる間ファスという方法論を知ったこともあります。食べない以外に、より確実にインスリンの分泌を減らす方法はありません。それができれば、厳密な糖質制限やケトジェニックの必要性も薄れてきます。
過剰な糖質摂取を継続したことでおきた病理状態を治療するための糖質制限やケトジェニックを否定しているわけではありません。

非常に効果的な方法であると今でも考えていますが、どこまで継続するのかは個々に判断すべきです。継続することを目的化しないほうがいいと思っています。