鈴木内科クリニック・鈴美館

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04月

The Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめ ナンバー2

ナンバー2

カロリーの取りすぎと運動不足が肥満の原因ではないことははっきりしました。

では再び、肥満の原因は何でしょうか?
身体には、甲状腺、副甲状腺、交感神経、副交感神経、呼吸、循環、肝臓、腎臓、消化管、副腎システムなどすべてを管理しているホルモンの働きがあります。これは体脂肪も例外ではありません。

体は実際には体重を管理する多様なシステムを持っており、体重の増減を意識的にコントロールすることはできないのです。肥満の問題とは、例えば過剰のエネルギーが体温の産生を増やして消費される代わりに、脂肪に転換されてしまうといったエネルギーの配分の問題なのです。
ここで機能している基礎的な生理学的原理は恒常性の維持(ホメオスターシス)である。体の体重と脂肪に関しては“設定点”が決められています。ホメオスターシスの機能がこの体の体重の設定を規定し、変化に対して上げたり下げたりします。もし体重が設定以下に低下した場合、代償機能が活性化して体重を引き上げます。体重が設定以上に増加すれば、代償機能がそれを引き下げるように活性化します。肥満の問題はその設定点が高すぎるということにあるのです。
例えていえば、部屋の空調が30度に設定されてしまっているようなものです。氷をたくさん部屋においたり、窓を開けたりして一時的に温度を下げても、氷が融け、窓を閉めればまた元の30度に戻ってしまいます。ダイエットが厳しく、しばしば失敗する理由は私たちが絶えず、自分の身体と戦っているからなのです。体重を減らせば、体は元に戻そうとする。ですから賢い解決方法は体の恒常性維持の機能を認識し、それを下の方向に調節することです。空調の設定温度を快適な21度に下げればいいのです。

肥満症はカロリーの取りすぎでおこるのではありません。それは肥満の原因ではなく、むしろ結果です。肥満の原因は、体のホルモンバランスの崩れが、体が体重を高すぎる状態に設定させてしまうことでおきているのです。ホルモンのバランスを崩す要因は実は一つではありませんが、特に重要な主役となるホルモンがインスリンです。(脇役は抗ストレスホルモンのコルチゾールであるが、ここでは触れません)インスリンは貯蔵のホルモンです。私たちが食べるとき、インスリンは上昇しエネルギーをグリコーゲンと脂肪として蓄積します。私たちが食べないとき、インスリンは低下し、私たちは貯蔵したエネルギーを使います。

食べることと食べないことのバランスがとれている限りこのシステムもバランスが取れています。

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The Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめ ナンバー1

 

今まで投稿したThe Obesity Codeの間欠的ファステングの前提条件のまとめです。少し表現をかえています。

ナンバー1

何が人を肥らすのでしょうか?砂糖や穀物、でんぷん質の食べ物つまり糖質です。現在、糖質を控えることでやせる食事療法、糖質制限が広まってきましたが、実はそのことは1900年代以前に、すでに当たり前に分かっていたことでした。誰もが常識だと思って疑わない、医師や栄養士から、またダイエットの特集記事などでもひたすら言われている、「カロリーの取りすぎが肥満の原因だ。もっと食べるのを控えて、運動しなさい」という指導は、実は以前にはなかったのです。

食品をカロリーで考えるというのは1900年代からは始まった新しい(科学的な!)考え方です。

このころ、抗生剤の発見や衛生環境の変化などがあり、それが人の平均寿命を飛躍的に伸ばし、そして人の死因では結核や感染症が減少し、心臓疾患が目立ってきました。実際のところは、心臓疾患のリスクが高まるのは60歳代からであり、その前に結核などで亡くなることが多かっただけで、心臓病が増えていたわけではなかったのです。ともあれ、アメリカでは犯人探しが始まって、ここで初めて脂肪が悪者にされます。ただここで問題が出てきます。脂肪が悪いということになると、必然的に食べるものはタンパク質か炭水化物しかありません。タンパク質は脂肪を多く含むものが多い。となると炭水化物を増やすしかありませんが、炭水化物は肥る原因といわれています。この矛盾を解決してくれたのがカロリー理論でした。つまり、人を太らせるものは特定の食品ではなく、あくまでもカロリーの全体量である。カロリーの取りすぎと運動不足が人を肥らせる原因であると、根拠もなく決められてしまったのです。

そして、アメリカでは1980年以降、政府の決定によって、食事のガイドラインが定められ、5年ごとに改訂されます。その中にはあのフードピラミッド(炭水化物か一番下の基本となる食品とされた)が含まれています。世界中がそれに従いました。すべては低脂肪、低コレステロールであり、そして誰も砂糖に注意を払わなくなりました。食品加工者はこのことを見つけ出し、加工食品の味を上げるため砂糖をくわえる量を増やします。精製された穀物の消費も増加しました。その結果どうなったでしょうか?まさに、アメリカ政府が食事の内容に介入してから肥満症が増大し、そしてそれは世界中に広まってしまったのです。

カロリーを制限しても運動を増やしても、体重の減少は一時的でやがて、元に戻ってしまいます。なぜこれではうまくいかないのでしょうか?それは、カロリーの取り込みとカロリーの消費はお互いに独立していて関連しないというカロリー制限理論の前提条件が間違っているからです。実際にはお互いに連動して変化します。つまり、カロリーを減らせば一日に必要なエネルギーの不足分は、蓄えていた皮下脂肪を燃やすのではなく、基礎代謝を抑えることによって調節されてしまうのです。運動を増やした場合はどうでしょうか?この場合、運動していないときの消費カロリーを抑えてしまったり、飢餓感を増やして摂取するカロリーを増加させたりしてやはり結局調節されてしまいます。
例えていうと、あなたが一月に100万円稼ぎ、同じだけ支出していると仮定します。もし月収が50万円になってしまったら支出には何が起こるでしょうか?貯金を取り崩して、100万円使い続けますか?あなたはそんなやがて破産してしまうことが、すぐに想像できることをするほど愚かではないでしょう。代わりに50万円に支出を控えて、予算のバランスをとろうとするでしょう。収入と支出は依存する変数です。片方の減少は直接もう一方の減少を引き起こすのです。
実際におこっていることは深刻です。ダイエットに先立って一人の女性が一日に1600カロリーの食事をしていたと仮定します。彼女は医師や栄養士の指示に従い、適度のタンパク質と低脂肪のカロリー制限の食事に取り組み、一日当たり摂取量を500カロリー減らします。すぐに彼女のエネルギー消費量もまた一日当たり500カロリーか、もしかするとそれ以上落ちます。基礎代謝が低下するため、不快な気分で疲れやすく、寒さを強く感じ、飢餓感が強く常にあります。しかしそれに執着していれば、最終的には改善するに違いないと思い込んで続けたとします。最初は彼女の体重は減少しますが、彼女のカロリー消費量がカロリー摂取量に合わせて減少するにつれて、体重の変化はなくなります。彼女は頑張って努力を続けますが、一年後状況は改善していませんでした。同じ量の食事をしていたにもかかわらず、彼女の体重はゆっくりと戻り始めていきます。冷えや疲れがあまりにひどかったので、ついに失敗した食事法をやめ、一日当たり1600カロリー食べることに戻します。彼女の代謝は一日当たり1100カロリーの支出に低下しているので、脂肪が急に増え体重がもどり、もっと悪いことには以前よりさらに肥りやすい体になってしまいました。彼女の周りの人たちは暗黙裡に彼女は意思が弱いと責めます。よくある話ですよね?

でも彼女の体重が増えたのは彼女のせいではありません。

それどころかそれは始めから予想できたことだったのです。

 

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しっかり食べて間欠的ファスティング

カロリー制限で痩せようとすることは、そうはさせまいとする自分の身体と終わりのない戦いをすることになり、心身ともに消耗します。摂食障害の誘因ともなります。

間欠的ファステングの方法論は食べないことに目が行きがちですが、実は食べるときにしっかり食べるというのが大前提ですので、そこは従来のカロリー制限を伴いやすいファステングとは区別してください。

インクレチンホルモン

胃はそれ自身がインクレチンというホルモンを分泌しそれがインスリン分泌を増やすことが分かった。

静脈投与のグルコースは胃をバイバスするので、インクレチン効果は見られない。

経口で摂取したグルコースの後のインスリン分泌におけるインクレチンの効果は50%から70%に相当するかもしれない。これまでのところ分かっている二つの人のインクレチンホルモンは、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)です。

両方のホルモンはDPP-4と呼ばれるホルモンによって不活化されます。インクレチンは胃と小腸から食べ物に反応して分泌される。GLP―1とGIPの両方は膵臓からのインスリンの分泌を増加させる。脂肪、アミノ酸、グルコースはすべてインクレチンの放出を刺激し、そしてそのようにしてインスリンのレベルを高める。カロリーを全く含まない非栄養性の甘味料でさえインスリンの分泌を刺激する。例えば、サッカリンは人において22%インスリンレベルを高める。
インクレチンの効果は胃に栄養素が摂取されて数分以内にはじまり、ピークはおよそ60分である。インクレチンには別に重要な役割もある。それは胃の内容が小腸に送られて空になるのをおくらせ、グルコースの吸収をゆっくりとさせることである。

 インクレチン効果は脂肪酸やアミノ酸がどのようにしてインスリンの分泌刺激における役割を果たすのかを説明している。

ただ炭水化物だけではなく、すべての食べ物がインスリン分泌を刺激する。

よってすべての食べ物は体重の増加をおこしうる。

そしてそれゆえに我々はカロリーに対して大きな混乱を招いてしまったのだ。

高たんぱく食は体重増をおこしうるが、それはカロリー的内容のためではなく、むしろインスリン刺激効果によってである。もし炭水化物が唯一のまたは主要なインスリン分泌の刺激でなかったなら、炭水化物を制限することは我々が信じていたほど常に利益的ということではないかもしれないということになる。

 

以上のことがThe Obesity Codeに書かれていました。

 

食事によって消化管から分泌される「インクレチン」と総称されているホルモンがあり、血糖依存的に膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進する。そしてこれを不活性化するのがDPP-4であり、このDPP-4阻害薬がインクレチン関連薬で、結果的にインスリン分泌を刺激し血糖値を下げるが、血糖依存的なので低血糖をおこしにくく使いやすいため、現在広く臨床で使われている。

 

とこれぐらいが僕の大まかな認識でありました。

 

インクレチンは血糖依存的、つまり血糖が上がった時だけ働くホルモンで、かつ直接の血糖の方がずっと強いインスリン分泌刺激だと思っていたわけです。

ところがすべての食べ物で分泌されインスリン分泌刺激になると書いてあり、しかもその効果の割合が50から70%!

では血糖依存的というのは間違いなのでしょうか?

どうも混乱してしまいますが、結果的に血糖が下がるかどうかはグルカゴン(血糖を上げるホルモン)との関連が大事なようです。

特に糖尿病においてはインスリンやインスリン抵抗性以外にこのグルカゴンに関連した異常が近年注目されていますが、この部分は非常に複雑です。

糖質中毒からの離脱

インスリン抵抗性の治療において、まず、最初に糖質制限つまり断糖は糖質中毒からの離脱のために絶対に必要です。

ここを否定されては話になりません。

この時期は、肉の過食も、糖質制限スイーツも有効な手段だと思います。

ただし、ある程度糖質中毒であったことがはっきりわかるぐらい自覚症状の改善があり、さらに体重の減少が一旦落ち着いてしまった段階では、糖質中毒に戻るリスクを少なくするために、糖質選択にきりかえて、質の良い食材をしっかりととり、食事の間隔をあけることで、栄養の質と吸収力を改善させることに重点を移した方がよいと思います。

これでさらにケトン体を利用する時間も増えますから生活の質、活動の質も向上していくと思います。

いろいろな方法はありますから、その人に合ったやり方でよいと思いますが、同じやり方にこだわる必要もありません。

間欠的ファスティングは治療法の選択肢の一つ

間欠的ファスティングに関して、個別の適応や、うまくいくとか、いかないとか、危険だとか、女性と男性は違うとか、栄養を満たすのが先とか、アジア人のインスリンの分泌の違いとか、そもそもできないとか、いろいろあると思います。

あって当然なんです。

それがあるからこそ、なぜそうなのかを正確に知るためにも、その枠組みとなる理論(人の身体はホルモンの調節と恒常性の維持のうえに成り立っている)をしっかり共有できないと、成功例も失敗例もその理由を検証していくことができません。

様々な要素が絡んでいるからこそ、共通の考えの枠組みが絶対に必要です。

これがないと個々の経験が全体の進歩へつながりません。

栄養の問題も腸内細菌の問題等もこの枠組みの中で検証していくことができると思います。

 

中医学には弁証論治という基本原則があります。

証に基づいて治療するのですが、この場合の弁証とはあくまでも仮説です。

それに基づき治療し、結果がでなければ再度違う角度から弁証し治療しなおします。

弁証を絶対視することはありません。

かといって弁証は単なる理論であり人の身体はそんなに単純ではないと否定してしまっては、行き当たりばったりの治療となり経験が生かされません。

 

枠組みは必要なのです。

 

間欠的ファスティングはいろいろな治療法のなかの選択肢の一つ(といっても様々なやり方があり得ますが)です。

まだやるべきではない人、できない人、やってはいけない人がいるのは当然です。

ですが治療の選択肢が増えることによって救われる人がたくさんいるはずです。

 

 

そもそも方法論に正しいも、間違いもない。ただ、応用範囲の広いものと、狭いものはある。狭くたってピタッと合えば、あった人には最適。だから、方法論の欠陥をお互いに指摘しあっても意味はない。それより共通点を探した方がはるかにいい。

 

おまけ
中医学では弁証論治という手法にもとづき患者さんを治療します。

新井先生流にいうと、観測事実は望、聞、問、切の四診に相当し、理論仮説が弁証です。

それにもとずき治療を行い治療効果がえられれば実証例とされ、その弁証は正しかったと判断します。治療効果がえられない場合、再度弁証をしなおしたり、修正していくことが大切です。

弁証そのものは多くの実証例から導き出される理論ですが、あくまで仮説であり、治療効果がなければあっさりすてて、違う方向から弁証しなおすこともしばしばあります。

中医学の理論はとても厳密ではありますが、応用するときは自在に取捨選択をおこなうので、治療効果のない理論をむりやり患者さんに押し付ける弊害からまぬかれているわけです。

中医学のみならず患者さんをなおすための医学であれば当たり前のことに思えますが、効果がなくともガイドラインは絶対視し、結果を検証しない現代西洋医学はいったい誰のための医学になってしまったのでしょう。