鈴木内科クリニック・鈴美館

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運動の限界 厳しい現実

運動の限界 厳しい現実

運動の限界 厳しい現実

確かに、運動には大変大きな健康上の利点がある。

医学の父といわれている古代ギリシャの哲学者ヒポクラテスも

“もし正しい栄養と運動を多すぎもせず、少なすぎもせず、すべての個々人に与えることができるなら、健康に対する最も安全な方法であるということがわかるであろう。”

といっていた。

1950年代、心疾患への増大する懸念から、身体活動や運動への関心も大きくなり始めた。1966年までにはアメリカ公衆衛生局が身体活動を増加させることが体重を減らすためのもっともよい方法の一つであると提唱し始めた。エアロビック教室が嵐の後のマッシュルームのように芽吹き始めた。
ジム フィックスの本“奇跡のランニング”は1977年のベストセラーとなった。彼が2回の心臓発作により50歳で亡くなった事実は、わずかな後退にしかならなかった。ケニークーパー医師の“新しい有酸素運動”は私が通っていた高校で1980年代読むべきとされていた本である。より多くの人たちが、余暇の時間に身体的活動を組み込むようになった。

 

運動する割合が増えるにつれて肥満率が低下することを期待するのは当然と思える。

結局、世界中の政府が体重減少のために運動を推進するために何百万ドルもそそぎこんだ。

イギリスでは1977年から2008年にかけて規則的な運動習慣は男性で32%から39%まで、女性で21%から29%まで増加した。
しかし問題があった。これらのすべての活動は肥満に対して少しも効果がなかったのだ。我々が昔に帰って汗をながすようになっても、肥満は容赦なく増加した。

憂鬱な真実がここにある。

身体的活動が増加しようと減少しようと肥満の流行とは関係がない。

運動量を増やしても肥満は減らない。それらは無関係だった。

ある人はもっと運動しろといい、他の人はするなという。

肥満はその量にかかわらず増加する。

 

子供の肥満を減らすのに運動が重要だろうか?

短く答えればノーだ。

2013年のある論文5で、3歳から5歳の子供の身体活動(加速度測定法を用いて測定)と彼らの体重を比較した。著者は活動と肥満の間に関連性はなかったと結論付けた。

 

何が間違っているのか?

 

カロリー理論にもともと内在する考えは、身体活動の減少が肥満の流行にカギであるという考えである。

労力を減らす例えば車などの装置の増加が、我々の運動量を減少させ、肥満に導く。

ビデオゲームやテレビ、コンピュータの増殖もまた座ってばかりいる生活スタイルに貢献していると信じられている。優れた詐欺的手腕のように、これは最初はとても理にかなっているかのように聞こえる。ただちょっと問題がある。 そう、ただ正しくないのだ。

 

Herman Pontzer氏は現代のなかで狩猟採集の原始的な生活スタイルをしている部族の研究者である。タンザニアのハッザ族は一日に食べ物を集めるために15から20マイル移動する。彼らの一日のエネルギー消費量は典型的なオフィスワーカーよりかなり多いと思うかもしれない。Pontzer氏はニューヨークタイムズの記事の中で驚くべき結果を公表した。

 

“我々が分かったことは、すべてのこの身体的活動にもかかわらず、ハッザ族が一日に燃やしたカロリー量はヨーロッパやアメリカの典型的な男性と区別できるほどではなかったということである。”

 

運動量の減少が肥満の原因となる役割を演じていることなど、最初から起こりえないことなのである。

 

カロリー支出

一日に使われるカロリーの量(カロリーアウト)はより正確に定義づけると、全エネルギー支出となる。全エネルギー支出は基礎代謝(以下に定義した)、食物の熱産生効果、非運動活動による熱産生、運動後過剰酸素消費、そしてもちろん運動の合計である。

ここでの重要点は全エネルギー支出は運動量と同じではないということである。全エネルギー支出の圧倒的な多数派は運動ではなく基礎代謝量である。

それは呼吸や体温の維持、心拍出量の維持、重要な臓器、脳機能,肝機能、腎機能等の維持といった体という家庭内を保つための仕事である。

 

例を見てみよう。軽作業をおこなう平均的男性の基礎代謝量は一日におよそ2500カロリーです。適度なペースの歩行(一時間に2マイル)毎日45分間は約104カロリーを燃やすだろう。

いわばそれは全エネルギー支出の5%の消費でさえないということだ。カロリーの大多数部分(95%)は基礎代謝に使われる。

非運動性活動による熱産生は寝たり、食べたり、運動したりする以外の活動によって使われるエネルギーです。例えば、歩いたり、ガーデニングしたり、料理をしたり、掃除や洗濯などです。

 

食べ物の熱産生効果とは食べ物のエネルギーの消化や吸収に使われるエネルギーです。ある食べ物、例えば食事性の脂肪は容易に吸収され、代謝にもわずかのエネルギーしか必要としない。

タンパク質は加工がより大変で使うにはよりエネルギーを必要とする。

食べ物の熱産生効果は食事の量や食事の頻度そして三大栄養素の構成によって変化する。
運動後過剰酸素消費とは(アフターバーン現象)は細胞の修復や燃料の補充、そして運動後の他のリカバリー活動に使われるエネルギーです。

基礎代謝、食物の熱産生効果、非運動活動による熱産生、運動後過剰酸素消費を測定することは複雑なので、これらの要素がいつも同じであるという単純で間違った仮定をしてしまった。この仮定が、運動が全エネルギー支出の唯一の変数であるという決定的に不備のある結論を導いてしまった。

 

このようにしてカロリー支出を増やすこととより運動をすることが同一視されることとなった。一つの大きな問題点は基礎代謝は同じでいるわけではないということだ。

カロリーの取り込みの減少は基礎代謝を最大40%にまで下げうる。

カロリー摂取の増加で50%まで増加させることも可能である。

 

運動と体重減少

従来、食事と運動は、あたかもそれがどちらも同様に重要であるかのように肥満の治療のための処方箋とされている。

しかし食事と運動は50対50のパートナーではない。

食事はバットマンで運動はロビンだ。

食事が95%の働きをし、すべての注目を得るのに値する。

だから論理的に言って食事に焦点を当てるのが賢明だ。

運動は健康にとって重要だ。

しかし、体重を減らすためには、食事と同様には重要なのではない。

運動には多くの利点があるが、体重減少はその中にはないのだ。

 

The  Obesity Code より

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