鈴木内科クリニック・鈴美館

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03月

鶏は野菜

鹿児島の家内の子供のころの話。

庭に飼っていた鶏を家内のばあちゃんが絞めました。

家内がうわーかわいそうと言ったら、ばあちゃんは、鶏は野菜だといったそうです。

なんか心に残ったお話でした。

肥満症は脂肪細胞のホルモン的調節障害

肥満症は脂肪細胞のホルモン的調節障害である。

体は体重を家の室温調節器のように設定し維持しています。

体が体重を高く設定しすぎると、肥満症が発生する。

もし現在の体重が設定した体重より下になれば、体は飢餓感を刺激するか代謝を落とすかして体が設定した体重にとどくように体重を増やす。

だから、過度に食べてしまったり、代謝が落ちてしまうのは、肥満の原因ではなく、結果なのです。

 

The Obesity Codeより

 

肥満症はカロリーの取りすぎでおこるのではない。そうではなくて、体のホルモンのバランスの崩れが、体に体重を高すぎる状態に設定させてしまうことでおきる。

考え方の枠組み

The Obesity Code が素晴らしいところは、考え方の枠組みを提供してくれるところにあります。確かに、インスリン抵抗性の重要性やタンパク質でもインスリン分泌があること、そして間欠的ファステングの方法などは目を引きますが、それ自体はこの本で初めて発見され、紹介されたというわけではありません。以前から分かっていたことです。

肥満を理解する枠組みを新しく作り上げるためには、まず従来のカロリー制限理論が出来上がった背景とその不完全さを徹底的に理解する必要があり、そこに多くのページがさかれています。そして肥満症はホルモンの異常であるという新しい枠組みを提供し、その治療法へと続いていきます。

 

従来肥満の原因と考えられてきたものを取り上げてみると・・・・

カロリー、砂糖、精製された炭水化物、小麦、すべての炭水化物、食事からとる脂肪、赤身の肉、すべての肉、乳製品、間食、食べ物中毒、睡眠不足、ストレス、食物繊維不足、遺伝、貧困、富、腸内細菌叢、幼少期の肥満 などがあげられます

 

様々な理論がお互いに主張しあい、あたかも本当の肥満の原因が一つしかないかのように排他的になっている。

例えば低カロリーと低炭水化物食を比較する試みでは、もし一つが正しければ、もう一つは間違いであると仮定している。大抵の肥満研究はこのような方法で行われている。

 

これらの理論はすべて、いくつかの正しい要素を含んでいるので、著者はこのような迫り方は間違っているとしています。

 

カロリー理論をとりあげてみても、すべて間違っているわけではありません。

ただ半分だけ作られた橋のようなもので、それだけでは役立たないということです。

著者の例でいえば(たとえ話がとてもたくさん出てくる本です)

心臓発作の原因を考えると
家族歴、高コレステロール血症、年齢、喫煙、性別、ストレス、糖尿病、身体活動の不足、高血圧などがあり、どれもリスク要因となります。
例えば喫煙がリスクを高めると主張して、そのことで糖尿病がリスクではないといったらおかしなことになります。さらに非喫煙者でも発作を起こすから喫煙がリスクでないとすることもおかしいわけです。

この例ではよくわかると思いますが、肥満に対する議論はそんなおかしな話がつねにおこなわれています。

最近でも腸内細菌叢に焦点を当てることがとても大事であり、そのために糖質を含んでいても有用な炭水化物はとるべきであるという主張で糖質制限を批判する意見がありましたが、正しいと思います。

しかし腸内細菌叢の問題だけで、すべてを解決することはできません。

逆に糖質制限だけもすべてを解決することはできません。

すべて解決できないからといって、そこにまたカロリー制限理論や運動療法をくみあわせてもだめです。

間欠的ファステングは有用な手段ですが、それですべてが解決するわけではありません。

 

そこも強調しておきたいと思います。

花粉症の漢方

漢方医なので今の時期おすすめな漢方(ちょっと遅かったか!)

 

花粉症に小太郎漢方の玉屏風散(ぎょくへいふうさん)エキス細粒
またはイスクラ衛益顆粒S(えいえきかりゅうえす)

 

どちらでもいいと思います。3日目くらいから効いてきます。抗アレルギー剤のような効き方ではありませんが、対症療法としては効果的です。

 

食事で治すのが基本であることに変わりありません。

カロリー制限と運動療法は欠陥理論

糖質制限の是非云々より前に、糖尿病学会にかかわらず、ほとんどすべての医学会がカロリー制限理論と運動療法を生活指導の基本にしているということが大問題であるということです。

事実上成功することが極めてまれであることが、何度も証明されてきた理論を患者に押し付けている。

この理論はむしろ失敗することが約束されているといってもいいぐらいの欠陥理論である。

強調しておきたいのは、様々な病気の原因となる肥満症の治療の根幹は、インスリン抵抗性を中心としたホルモンの異常であるという共通認識からスタートしなければならないということです。

ノークス博士の書いたTHE OBESITY CODEの序文

一般向けではない話です。
医師であり、スポーツ科学の権威であり、自らもウルトラランナーでもあり、かつてカーボローデングの提唱者であったティム ノークス博士はマフェトンが正しかったことや自分の誤りを認め、バンティングダイエット(MEC食に近い)というローカーボ食を現在は推奨しています。そのノークス博士の書いたTHE OBESITY CODE の序文の抜粋を紹介します。

彼の興奮がよくわかります。

ティム ノークス博士が序文の中で触れている少なくとも3年の間、自分の中で解決できなかった問題とは、まさにタンパク質とインスリン分泌の問題だと思われます。

 

NATURAL BORN  HEROESのなかでも “もうすぐ午後一時、ノークスは午前中ずっと学会に缶詰め状態で、主に彼の専門家としての最大のミスについて話し合っていた。” という箇所があるのですが、時期的にもこのことを指しているようです。

 

以下、序文抜粋

2014年12月より前、私はJASON FUNG医師の存在を知らなかった。

あるとき、 二型糖尿病の二つの大嘘、いかに二型糖尿病を自然に元に戻すか という彼の二つの講義を、ユーチューブで偶然みつけた。私自身は病気ではないが2型糖尿病に特別な関心があるものとして、私は自然に興味をそそられた。

この聡明な若者は誰だ?

彼が確信をもって2型糖尿病を治せるといっているのはなぜだ?

しかも自然にだって?

そしてなんと勇敢にも自分の職業に対して嘘を言っていると責めている。

FUNG医師が正当であるだけでなく、どんな医療も不要にしてしまうことができるということさえわかるのに時間はかからなかった。彼の示した理論は、すくなくとも3年の間私の心の中で解決されることなく、弾みまわっていたものであった。しかし、私は彼ほど同じように明晰に理解することも、同じように強調したり、平易に説明することもできなかった。彼の二つの講義が終わる時までには、私は若き大家を目撃したことを知ったのだ。最後には、私は自分が何を見落としてしまっていたのかを理解した。

FUNG医師がした二つの講義は、現在の一般的な2型糖尿病の医学管理のモデルを徹底的に破壊するものであり、そのモデルとは世界中様々なすべての糖尿病学会によって強制されているモデルである。さらに彼はこの間違った治療モデルが、必然的に不幸にもそれを受けざるを得ないすべての患者の健康を害していることまで説明している。

FUNG医師の最新の貢献は、2型糖尿病の治療がインスリン抵抗性という根本原因よりも、むしろ血糖の上昇という症状に焦点をあててしまっているという洞察にある。そしてインスリン抵抗性の最初の治療は炭水化物の摂取を制限することであるべきである。この単純な生物学を理解することで、この疾患があるケースでは元に戻ることができるかもしれないということがわかるし、また逆になぜ現在の炭水化物の制限をしない2型糖尿病の治療の結果が悪くなっていくのかも分かる。

The Obesity Code  FUNG医師はおそらくかつてない肥満に関する分野の最も重要な本を作り出した。
その強みは反駁できない生物学と注意深く示された証拠に基づいていることだ。平易で、確信のある、わかりやすい伝え方の理路整然とした文章で書かれていて、連続する各章が体系的に発展し、一層ごとに論理的な単純さをもって、エビデンスに基づく生物学の肥満のモデルを完全に意味のあるものにしている。それは懐疑的な科学者を確信させるのに充分な科学を含むだけでなく、生物学の基礎知識のないひとにもわかりにくくなっていない。これほどの偉業を成し遂げる驚くべきサイエンスライターは、いまだかつてほとんどいなかったであろう。

必要な解決策はFUNG医師が今や示した。肥満症は、多元的な疾患である。我々に必要とされるのは、いかにすべての要素がともに一致するのかを理解できるための、骨組みと構造と首尾一貫した理論である。あまりにしばしば我々は、現在の肥満症のモデルの真の原因はただ一つであると仮定し、ほかの多くを次の候補者としてきた。終わりのない議論が続いてきたが、どれもすべて部分的には正しいのだ。

彼の表現した真実はいつの日か自明のこととして認められるだろう。その夜明けが早ければ早いほど、我々みんなにとってより幸いである。
ティム ノークス
ケープタウン大学名誉教授

「超一流の食事術」 「最強の食事」

再びこの二冊を読み返してみた。なんのことはない。間欠的ファスティング書いてあります。

 

正確にいえば、間欠的ファスティングの準備段階までの話。
この2冊の本の共通点は主に4つです。
糖質制限ではなく糖質選択。
よい油をとり、悪い油をとらない。
本物の食材をとり、偽物の食品をとらない。
食べるタイミングが大事。つまりいつ食べるかです。

運動の限界 厳しい現実

運動の限界 厳しい現実

確かに、運動には大変大きな健康上の利点がある。

医学の父といわれている古代ギリシャの哲学者ヒポクラテスも

“もし正しい栄養と運動を多すぎもせず、少なすぎもせず、すべての個々人に与えることができるなら、健康に対する最も安全な方法であるということがわかるであろう。”

といっていた。

1950年代、心疾患への増大する懸念から、身体活動や運動への関心も大きくなり始めた。1966年までにはアメリカ公衆衛生局が身体活動を増加させることが体重を減らすためのもっともよい方法の一つであると提唱し始めた。エアロビック教室が嵐の後のマッシュルームのように芽吹き始めた。
ジム フィックスの本“奇跡のランニング”は1977年のベストセラーとなった。彼が2回の心臓発作により50歳で亡くなった事実は、わずかな後退にしかならなかった。ケニークーパー医師の“新しい有酸素運動”は私が通っていた高校で1980年代読むべきとされていた本である。より多くの人たちが、余暇の時間に身体的活動を組み込むようになった。

 

運動する割合が増えるにつれて肥満率が低下することを期待するのは当然と思える。

結局、世界中の政府が体重減少のために運動を推進するために何百万ドルもそそぎこんだ。

イギリスでは1977年から2008年にかけて規則的な運動習慣は男性で32%から39%まで、女性で21%から29%まで増加した。
しかし問題があった。これらのすべての活動は肥満に対して少しも効果がなかったのだ。我々が昔に帰って汗をながすようになっても、肥満は容赦なく増加した。

憂鬱な真実がここにある。

身体的活動が増加しようと減少しようと肥満の流行とは関係がない。

運動量を増やしても肥満は減らない。それらは無関係だった。

ある人はもっと運動しろといい、他の人はするなという。

肥満はその量にかかわらず増加する。

 

子供の肥満を減らすのに運動が重要だろうか?

短く答えればノーだ。

2013年のある論文5で、3歳から5歳の子供の身体活動(加速度測定法を用いて測定)と彼らの体重を比較した。著者は活動と肥満の間に関連性はなかったと結論付けた。

 

何が間違っているのか?

 

カロリー理論にもともと内在する考えは、身体活動の減少が肥満の流行にカギであるという考えである。

労力を減らす例えば車などの装置の増加が、我々の運動量を減少させ、肥満に導く。

ビデオゲームやテレビ、コンピュータの増殖もまた座ってばかりいる生活スタイルに貢献していると信じられている。優れた詐欺的手腕のように、これは最初はとても理にかなっているかのように聞こえる。ただちょっと問題がある。 そう、ただ正しくないのだ。

 

Herman Pontzer氏は現代のなかで狩猟採集の原始的な生活スタイルをしている部族の研究者である。タンザニアのハッザ族は一日に食べ物を集めるために15から20マイル移動する。彼らの一日のエネルギー消費量は典型的なオフィスワーカーよりかなり多いと思うかもしれない。Pontzer氏はニューヨークタイムズの記事の中で驚くべき結果を公表した。

 

“我々が分かったことは、すべてのこの身体的活動にもかかわらず、ハッザ族が一日に燃やしたカロリー量はヨーロッパやアメリカの典型的な男性と区別できるほどではなかったということである。”

 

運動量の減少が肥満の原因となる役割を演じていることなど、最初から起こりえないことなのである。

 

カロリー支出

一日に使われるカロリーの量(カロリーアウト)はより正確に定義づけると、全エネルギー支出となる。全エネルギー支出は基礎代謝(以下に定義した)、食物の熱産生効果、非運動活動による熱産生、運動後過剰酸素消費、そしてもちろん運動の合計である。

ここでの重要点は全エネルギー支出は運動量と同じではないということである。全エネルギー支出の圧倒的な多数派は運動ではなく基礎代謝量である。

それは呼吸や体温の維持、心拍出量の維持、重要な臓器、脳機能,肝機能、腎機能等の維持といった体という家庭内を保つための仕事である。

 

例を見てみよう。軽作業をおこなう平均的男性の基礎代謝量は一日におよそ2500カロリーです。適度なペースの歩行(一時間に2マイル)毎日45分間は約104カロリーを燃やすだろう。

いわばそれは全エネルギー支出の5%の消費でさえないということだ。カロリーの大多数部分(95%)は基礎代謝に使われる。

非運動性活動による熱産生は寝たり、食べたり、運動したりする以外の活動によって使われるエネルギーです。例えば、歩いたり、ガーデニングしたり、料理をしたり、掃除や洗濯などです。

 

食べ物の熱産生効果とは食べ物のエネルギーの消化や吸収に使われるエネルギーです。ある食べ物、例えば食事性の脂肪は容易に吸収され、代謝にもわずかのエネルギーしか必要としない。

タンパク質は加工がより大変で使うにはよりエネルギーを必要とする。

食べ物の熱産生効果は食事の量や食事の頻度そして三大栄養素の構成によって変化する。
運動後過剰酸素消費とは(アフターバーン現象)は細胞の修復や燃料の補充、そして運動後の他のリカバリー活動に使われるエネルギーです。

基礎代謝、食物の熱産生効果、非運動活動による熱産生、運動後過剰酸素消費を測定することは複雑なので、これらの要素がいつも同じであるという単純で間違った仮定をしてしまった。この仮定が、運動が全エネルギー支出の唯一の変数であるという決定的に不備のある結論を導いてしまった。

 

このようにしてカロリー支出を増やすこととより運動をすることが同一視されることとなった。一つの大きな問題点は基礎代謝は同じでいるわけではないということだ。

カロリーの取り込みの減少は基礎代謝を最大40%にまで下げうる。

カロリー摂取の増加で50%まで増加させることも可能である。

 

運動と体重減少

従来、食事と運動は、あたかもそれがどちらも同様に重要であるかのように肥満の治療のための処方箋とされている。

しかし食事と運動は50対50のパートナーではない。

食事はバットマンで運動はロビンだ。

食事が95%の働きをし、すべての注目を得るのに値する。

だから論理的に言って食事に焦点を当てるのが賢明だ。

運動は健康にとって重要だ。

しかし、体重を減らすためには、食事と同様には重要なのではない。

運動には多くの利点があるが、体重減少はその中にはないのだ。

 

The  Obesity Code より

「The obesity code」と「The Complete Guide to Fasting」

The obesity code とThe Complete Guide to Fastingはきっちり読みました。

その内容の凄さに驚愕しました。何より著者の、100年にわたる不毛な議論に終止符を打ち、共通の枠組みを共有し、新たな発展につなげようとするその意識の高さに大変感銘を受けました。巻末の参照すべき論文の膨大な量が、著者の並々ならぬ真実を求めようとする姿勢の表れの一つであると思いました。

著者の思想の根底にあるものは、人間の身体というものは素晴らしくよくできた仕組みがあり、それをもっと信頼すべきであるということ。そして食に関して不自然な食べ物があまりに増え、それを医療も政府も容認し、見逃すだけでなく、問題をすり替えてきたこと。そして、圧倒的なのは近代の栄養学や予防医学自体が、難治性の肥満症を作り出してきたことや現在の糖尿病治療に対する完膚なきまでの批判です。

結論はすでに出していますが、やはり結論だけではその意味の重大さが理解できないというのも仕方がないことだと思います。

なのでやはり少しずつ順を追って紹介していくことにしますが、最低でも3か月から半年かかりますのでお付き合いください。

倹約遺伝子仮説では肥満症の説明にはならない

肥満の遺伝的かたよりを説明する最初の試みは倹約遺伝子仮説である。

それは1970年代に一般的になった。この仮説では、すべての人間が進化的に生き残るメカニズムとして体重を増やす傾向を持っているとしている。

議論はこのように進む。

旧石器時代、食べ物は少なく手に入れるのは困難だった。飢えはもっとも強く基本的な人間の本能の一つだ。倹約遺伝子はわれわれにできるだけ食べるように強制する。そして体重を増やすこの遺伝子を持っていることは生き残るうえで有利である。

体の食べ物の蓄積(脂肪)を増やすことは食べ物が少なくなったときに、より長く生き残れる。それらを蓄える代わりに、カロリーとして燃やす傾向のある人々は選択的に取り除かれてきたのだとする。

しかし倹約遺伝子は現代の何でも食べられる時代に適応すると、体重を増し、肥満になるにつれて病気になってしまう。

しかし我々は単純に脂肪を増やせという遺伝子の勧めに従っているのだ。

この倹約遺伝子仮説の欠陥を考察する。

最も明らかな問題は、野生の状態で生き残ることは体重が少ないのも多すぎることにも左右されない。

太った動物は動きが鈍く痩せた仲間より機敏ではない。

捕食者は捕まえるのがより難しい痩せた獲物より、太った獲物を好んで食べるだろう。同じように太った捕食者はやせてすばしっこい獲物を捕らえることはより困難であるとわかるだろう。体の脂肪は必ずしも生き残るうえで利益があるわけではなく、かわりに非常に不利益にもなりうる。

太ったゼブラやガゼルがいますか?

太ったライオンやタイガーがいましたか?

 

人間が遺伝的に食べすぎるように仕組まれているという仮説は正しくない。ただ空腹のホルモンの信号に従ってたくさん食べたら、食べるのやめる時ををわれわれに伝えるたくさんのホルモンがある。

 

食べ放題のセルフサービスの食事のことを考えてみよう。

お腹いっぱいになってしまうので単純にやめずに食べ続けることは不可能だ。

食べ続ければ気分が悪くなるかもどしてしまうかもしれない。

たくさん食べさせる遺伝的傾向などはない。

代わりに食べすぎに対して強力な防御機構が内蔵されている。

倹約遺伝子仮説では慢性的な食糧不足が肥満になるのを妨げていたと仮定している。

しかし、伝統的な社会では一年中豊富な食糧があったところはたくさんある。

 

例えば、トケラウ、南大西洋の辺鄙な部族ではココナッツやパンノキ、魚などで生活しているがこれらは一年中手に入れられる。

にもかかわらず産業が興り伝統的な食事が西洋化するまでは、彼らの中に肥満は見られなかった。現代の北アメリカでさえ、大恐慌以降広範囲な飢饉は一般的でない。

しかし肥満の増加は1970年代だけから起こったのだ。

 

野生動物の世界では、正常な生活サイクルの部分として例えば冬眠するような場合を除いて、豊富な食糧があるときでさえ病的な肥満はまれである。

豊富な食糧は個体数の増加をもたらすが、サイズを巨大化させたりはしない。

ラットやゴキブリで考えてみよう。食べ物が減ればラットの数が減り、食べ物が増えればラットの数は爆発する。正常以上の大きさのラットは多くなるが、病的な肥満のラットではない。

 

非常に高い体脂肪率を持つことは生き残るうえで利点はない。

男性のマラソンランナーは5%から11%の体脂肪だ。この量でも一か月以上食べないで生き残るのに十分なエネルギー量である。

 

ある種の動物は定期的に太る。例えば冬眠に入るクマが定期的に体重を増やすがそうしても病気にはならない。

しかし人間は冬眠はしない。太ることと肥満であることでは重要な違いがある。

肥満は健康上有害な結果をもたらすまで太っている状態である。

クマにくわえてクジラやセイウチなど、他の脂肪を蓄えている動物は肥っているが健康上の問題がないので肥満ではない。彼らは実際、遺伝的に太るようにプログラムされている。

 

我々はそうではない。人間において進化は肥満に対して好意的ではなく、むしろ痩せている方を好む。

 

倹約遺伝子仮説では肥満症の説明にはならない。

では何が説明できるのか?

肥満の根本的原因で主役となるのは、高インスリン血症による複雑なホルモンバランスの乱れである。

赤ん坊のホルモンの輪郭は、生まれる前の母親の体の中での環境に影響され、高いインスリンレベルの傾向に設定されると、のちの人生での肥満に関連してくる。

カロリー不均衡としての肥満症の説明では、食べることや運動することは自発的な行動であるので、単純にいってこの主とした遺伝子的効果を考慮に入れることができない。

肥満症がホルモンの不均衡によるとすると、より効果的にこの遺伝子効果も説明できる。

 

The Obesity Code より