鈴木内科クリニック・鈴美館

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ケト適応の生理学 ナンバー2

ケト適応の生理学 ナンバー2

ケト適応の生理学 ナンバー2

 

ケト適応には2つの段階があります。ケトン食開始数日が最もきつい時期です。糖質代謝中心の悪循環サイクルを断つために、グリコーゲンの貯蔵は少なくなっていくにもかかわらず、糖質をとることを避けなければなりません。脂肪の代謝はまだ最適化されておらず、ケトン体の産生もまだそれほど増えません。

グリコーゲン1gに対して3,4gの水分が貯蔵のために必要なので、グリコーゲンの減少に伴ってこの時期およそ2㎏もの水がなくなります。またインスリンは腎臓からのナトリウムの排泄をおさえることで体に水をためこみやすくさせますが、インスリンレベルの低下は余分な水分を抜けやすくさせます。したがって、この初期の時期の体重減少はこの2つの効果によるものですから、単に水が減っただけだ(脂肪が燃えたわけではない)という批判はよく聞かれます。これはそのとうりなのですが、そのあとは違います。

 

グリコーゲンが枯渇すると、脂肪が分解され肝臓でケトン体が産生され尿中にも出てきます。これは測ることができますから、十分糖質が制限できているか知ることができます。これがケト適応における2段階目の始まりとなります。ケトン体はエネルギー源として利用できるようになっていきますが、まだ安定した適応レベルにはなっていません。ケトン体の利用に関しては、筋肉と脳において興味深い相互作用があります。ケトン体がまだ少ないうちは筋肉は直接エネルギー源として使いますが、増えるにしたがって使う量は少なくなり、代わりに脂肪を燃料とするようになります。一方で脳は、ケトン体の血中濃度の増加に比例してケトン体を使うようになります。このことはつまりケトン体のレベルがある閾値を超えると脳への供給が急に増えることを意味します。この時点で脳はケトン体に頼ることができるようになり、それはもはや燃料の欠乏の影響がなくなることを意味するので、精神的な機能を維持するために一日中、頻回に食事をする必要はなくなります。筋肉の方は今や事実上、限りないエネルギー源となる脂肪に頼るようになります。これは特にアスリートにとって価値があることです。

このケト適応の最初または二つ目の段階でおこっていることを理解すれば、多くの批判的な研究(体重の減少は水が抜けただけ、精神的、身体的機能を悪化させる)が炭水化物を制限した初期の段階、またはケト適応が完成する前の段階のいわば初期費用に対してのもので、その後の長期にわたる利点に関してのものではないことがよくわかると思います。

より早くより苦痛なくケト適応するにはどうしたらよいか

以上のことから、ケト適応において最も困難な時期は最初の段階です。グルコースを少ししか利用できなくなっていくのに、脂肪やケトン体の代謝はまだ効率的ではない状態だからです。この時期効果的なのは、食事で脂肪をしっかりとることです。食事由来の脂肪が重要な脂肪酸と栄養源の元となります。ケト適応の期間、しっかりと脂肪を食べることがエネルギー供給を可能にします。

二つ目の困難はナトリウムの排出に伴う水分の不足です。これが疲労感や脱力、頭痛などの原因となりえます。塩分は一日5gはしっかり取ること。またカリウムやマグネシウムも筋肉がやせたり、こむら返りを起こすのを防ぐためにしっかり取る必要があります。これらのミネラルは肉の中に豊富ですが、肉を調理すると煮汁に容易に出ていくのでこれをとってスープとしてとるとよいようです。

最後に低糖質の食事を続けなければなりません。最も悪いシナリオは2,3日おきに糖質をとってしまい、ふりだしに戻ることを繰り返してしまうことです。非常に低糖質な食事を少なくとも十分にケトン体が産生されるようになるまでは継続的に続けなければなりません。これには4,5日かかります。そしてその後も代謝の変化はすくなくとも2週間かそれ以上続きます。完全なケト適応の経験をするには、一か月ははぼゼロレベルの糖質制限が必要とされています。

以上はThe Ketogenic Diet For Health というサイトからの引用です。興味ある人や疑問のある方は直接調べてみてください。
だいぶ厳しいと思われたでしょうか。初期の体重減少ののち、適糖になってそこから体重が落ちないという方は、もう一回厳密にやってみる必要があるかもしれません。多くの人は中断を繰り返しながらも、それなりの適応はされていくようです。質的な変化であるという意味は、いったん完全適応の状態を経験すれば、じつはそれは脂肪転換酵素の増加を意味しており、今度は逆に糖質を一時的にとっても、比較的早く脂肪燃焼モードに戻ることができるようになるということです。
ケト適応状態での素晴らしい運動パフォーマンスの論文はちょっと前に紹介しましたが、あと何回かケト適応に関連する話題を紹介する予定です。(つづく)

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